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勇者かわいい ~知らんけど、たぶん猫ちゃんがオワコン世界を救うお話~  作者: PYON
第二章 審問官シャーリー・メルク

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アルゴス王ランメル2世01

 わたしはアルゴス王国の王ランメル2世だ。

 困ったことになった。魔族が我が国に宣戦布告をしたのだ。まず、辺境であるカナンを攻め、領主のヴェルドリックを誘拐した。そして、今日、魔族の使者がわたしに贈り物を持ってきた。

 それはヴェルドリックの首だった。

 そして魔王セレスの書状は、わが王国の降伏を求めていた。魔族奴隷の解放と上級貴族とわたしの首をもって降伏の条件とするというのだ。ふざけるな。魔族奴隷と麻薬はわが国の主な貿易の材料だ。主な資源や食糧、産業などがない我が国にとってその二つがなくなると貧乏国になってしまう。もし、魔王のいうとおりにしたら我が国は滅んでしまう。

 そればかりか、500年続いている王政自体が潰されてしまうだろう。

 各国の状況を見ると、民衆が革命を起こし、王族が処刑されるなんてことも起きている。

 その国では民主主義なんていうのが流行り、国民が参加する議会なんていうのが最高決定機関となっているようだ。低能な国民共が政治を行うなんて、そんなことをしたらろくなことにならない。

 これまでも500年の間、聡明な王族や貴族がこの国を納めてきたんだからな。この国にとってわたしたちが統治するのがいちばんいいのだ。

 降伏勧告はのめない。徹底抗戦ということになる。

 こっちには最高の戦力、剣王バルザックが率いる王国軍がいる。それからグラフィードが率いる魔法部隊。アルケミストのボーガンの魔道具もある。

 今回のような奇襲でなければ魔族など恐れるに足りない。魔族など叩きつぶして、全員奴隷にしてやる。そうすれば我が国に多くの富をもたらすだろう。

 今回のカナンで町を守るために戦った騎士がいるようだ。南からの侵攻を退けたらしい。ただ、魔族軍の侵攻は北にヴェルドリックを逃がすための作戦だったということだ。だから、大した戦力ではなかったのだ。いくら剣の天才といっても平民。人間の格がちがうのだ。もし、バルザックと戦ったら一合も戦えないだろう。

 

 それにしても、そのレオンとかいうやつを英雄として祭り上げようとする輩がいるらしい。そんなことは許さない。すぐに沈静化するだろうが、民衆というのはそういうやつを祭り上げる。彼らは乱世では英雄を求めるのだ。他国ではそのムーブが本当に王政を倒したと言う例もある。これは危険だ。排除したほうがよい。

 そのためには諮問機関の審議官を派遣しよう。やつを捕まえて、スキャンダルをでっちあげるのだ。ばかな民衆はそういうものにすぐに飛びつく。不倫とか部下へのパワハラで失脚していった有名人は数えるにいとまない。

 今回は魔族と通じていた。だから魔族は撤退した。それでいいだろう。わたしは諮問機関の長を呼びつけ、レオン逮捕の指示をするのだった。


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