表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/46

天命騎士団、対決(3)

槍がいっせいに放たれる。


別の手法もありますが、その挑発、のってあげましょう!


ユーマはカトーの背後に移動した。直後に、はるか先で轟音、光の槍が岩壁を砕いたのだ。


「チェックメイトです。異世界人さん」ユーマは後ろからカトーの肩に手をおいた。


「瞬間移動か?」カトーが振り返る。


「まあ、そのようなものです」


「ところで、そんな不用意に近づいてもいいのか?」


「はい?」ユーマが首をかしげた瞬間に、カトーの左手がその首に迫っていた。碧く輝く手刀だ。A級騎士さえしのぐ動きだった。


このタイミングで防げるような筋力を、私は持ち合わせていない。


そう判断したユーマは時守のなかでも極秘事項となっている術をカトーに発動した。正確にいうと、自身にかけられた術をカトーに移した。


カトーの動きが遅くなり、ユーマは手刀を回避。続けて空間を歪め、後方に移動する。


「今、なにをした?」カトーは驚いた様子もなくいった。


「秘密ですよ」


時間の流れを操れる時守だけが知る秘術だった。この術を時守は自身の身体にほどこし、時の流れを遅くしている。おかげで時守の身体は、一ヶ月で一日しか歳を取らない。


不老不死なんていうのは尾ひれのついた逸話だが、ユーマは六歳でこの術を発動させてから七百年ほどを生きているのだ。


「一瞬だけ時を操り、俺の時間を遅くしたんだろ」


なぜわかった? カトーには、私が早く動いたようにしか感じられないはずだ!?


「時を操る? 時の流れは不変のものです。なにをバカバカしいことを……」ユーマはそう惚ける。


「そうか? 別の時守が、時の流れは絶対的ではなく相対的だと教えてくれたぞ」


柔和なイメージを与えるユーマの細い眼が、カッと見開く。「その時守の名を、いえっ! 掟を破ったモノは、粛清せねばならない!」


「アインシュタイン・ソウタイセイリロン」


「そのような名の時守など、今も過去にも存在しない!」


「カマをかけただけさ。時守に知り合いなどいない」


「キサマ!」怒りにまかせ、最速で魔法を起動した。


ユーマの頭上には光の珠が輝いている。それはユーマの屋敷と同等の大きさで、最上級光魔法のひとつだ。この速度でこれをなしえる魔導士は、時守以外では現世に十人もいない。


巨大な光の塊がカトーに向かって飛ぶ。


ユーマとしてはカトーを殺すつもりなどなかった。時守を嵌めるような態度をとったカトーに自分の力を見せつけてやりたいだけだ。


体術もA級ランクであることを示したカトーだ。跳ね返すのは不可能だろうが、逃げて回避するとこぐらいはできるはずだ。


だが、カトーは数歩左に動いて止まった。そこでは光魔法の射程距離内だ。そしてジンも、魔人をほっぽりだしてカトーの隣にかけてきた。


ヒカリがふたりを呑み込んだ。



     □□□□

 


ジンは水遁と土遁で自身を守りはしたが、かなりのダメージを負った。


カトーも蒼く光る左手で身体を護っていたようだが、無事ではない。服はボロボロでいたるところから出血がある。


自分も似たような姿となっているのだろうと思いながら、まずは後方を確認した。


土にまみれているが、リリアンジェはほぼ無傷だった。


「アレをなんとかして、団長を背負って逃げれるか?」カトーがいい、来た道を塞いでいる光の壁を顎で指す。


「まあ、やれんこともないが……。俺が離脱してからは、カトーが魔人と時守の相手をするのか?」


「あるていどの時間稼ぎはできるだろう」


「安全な場所に団長を降ろしたら、すぐに戻る」


「だめだ。そのまま王都まで逃げろ」


「死ぬきか?」


「時間を稼いだら、俺も逃げる」


「逃げる必要はないよ!」


アラタナの甲高い声が響き、ジンはギョッとした。ほんのさっきまで戦っていた魔人の位置に少年……アラタナがいるのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ