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天命騎士団、救出(4)

ジンは無視してユーマに視線をやった。「その前に、ひとつ教えてくれないか?」


「なんでしょう」


「いきなり現れたり、いなくなったりは、なんの魔術だ?」


「そう見えたのは、ちょっとした催眠術です。たいしたカラクリはありません」


「カトーを追うのにニオイをたどった。一定の間隔ごとにしかニオイは残っていなかった。まるで瞬間移動だ。催眠術では説明がつかない」


「バレましたか。じつは東洋の神秘、忍術を使いました」


そんな忍術はねーよ、と喉元まできた言葉を呑み込んだ。


ともあれ、ユーマの正体にだいたいの当たりはついた。そのユーマもカトーの正体を見極めようとしているようだ。


「もう一度、非礼は詫びます」ユーマがリリアンジェの前で膝をついた。「私を助けていただけませんか、騎士様」


「わかりました。魔人の討伐は、騎士がなすべき責務でもあります」しばらくの間があってから、リリアンジェが頷く。


「おお!」と喜ぶユーマの隣で、アラタナが深々とため息をついていた。


魔人討伐は明日に決まり、今日はこの屋敷に一泊することとなった。大きな浴場で疲れと汚れを落とし、全員にあてがわれた個室のベッドに座る。



夜七時に晩御飯のため集合することになっていたので、四時間ほど眠ることができるが、ベッドに横になるだけで眠りはしなかった。一週間ぐらいなら眠らずいても、パフォーマンスが落ちることはない。そのように鍛えている。


七時となり、ジンは部屋を出る。リリアンジェもちょうど部屋を出てきた。


リリアンジェは白いドレスを着ていた。シルクの生地に施された鮮やかな刺繍の数々、かなり高価なドレスだろう。


「いや、違うんです。もとの服はアラタナ君が洗ってくれるというので……。部屋にあったのはこんな服しかなくて……」


「ああ、似合ってるよ。どこの高貴な令嬢かと思った」


「や、やめてください!」リリアンジェはブンブン首を振る。


騎士としては凛としているが、こういういじりは苦手なようだ。


食堂に入ると、すでに豪華な食事が並んでおり、ユーマ、アラタナ、カトーも座っていた。


「うわー、リリおねーちゃん、そのドレス似合ってる! すっごく綺麗!」と、アラタナ。


「そんなことないからっ!」慌てた様子でリリアンジェがいう。


「たしかに素晴らしく似合っています」とはユーマだ。「そのドレス貰っていただけませんか? リリアンジェ様のためにあるドレスだと思われます」


「こんなのいただくわけにはいにません! ただ借りてるだけですからっ!」


「黄金に輝く美しい髪、翆にきらめくエメラルドの瞳。美の女神フレースの降臨かと思いました」


ユーマの追撃に、「うそ、うそ、うそ! やめてください!」とリリアンジェは手足をばたつかせる。


「ほら、カトーも見てるばかりじゃなく、なにかいってやってください」


「今さらなにをいってんだと思うね」


リリアンジェの真っ赤な顔が急に白くなり、カトーを見据える。「文句があるならいいなさいよ」


「別にドレスを着ようが、剣を振ってようが変わらない。団長は気高く可憐で美しい。今さらいうまでもなく、わかりきったことだ」


「バカァー!」


またもやビンタをくらい、カトーは宙を舞っていた。


皮肉と受け取ったのか、照れ隠しだったのか? ともあれ、なんと答えるのが正解だったのだろうか? ジンは首をかしげながら、さすがにカトーが不憫に思えた。


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