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三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~  作者: 杵築しゅん
神聖領ガイアスラー

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241 流民と治安維持(五)

 到着した【サンアンシスロード】で最初に向かうのは、勿論ホワイトウルフ親子の所だ。

 ゲートの入口からアレス君と名前を考えていたんだけど、お母さんホワイトウルフには超古代語で賢母という意味の【メイアス】と名付け、雌の赤ちゃんには守護者という意味の【リリアス】と名付けた。


 私は超古代語で賢者という意味の【ガイアス】に、大きいという意味の【ラー】を付けて【ガイアスラー】だけど、【アス】は女性の賢者や賢母や聖人や勇者に付けられるらしい。

 男性の賢者や賢父や勇者には、【アール】を使うとサーク爺から聞いたので、雄の赤ちゃんには勇者という意味の【コロアール】と名付けた。

 気に入ってもらえるかどうか分からないけれど、名前がないと不便だもん。


 今日は二匹の赤ちゃんの目が開いていて、一段と可愛くなっている。

 能力学園の皆さんは、お伽噺の中の神獣を初めて見て感動していた。

 ちゃんと名前の由来をお母さんホワイトウルフに説明し、シリスが補足するように何かを伝えてくれたので、お母さんホワイトウルフのメイアスは、嬉しそうにワンと吠えて了承してくれた。


 さて、ここからは二手に分かれて行動する。

 私と【ロードの申し子】は第一扉の先へ向かい、時間停止装置に大トカゲ二頭分の肉と、ダシを取るための骨付き肉を収納しに行く。

 前回【ロードの申し子】は、蜘蛛……いや、美味しい白身を食べ損なっているので、大トカゲを収納する金属の箱を他の倉庫から取ってきた後、少しだけ味見をする。


 アレス君は【最速踏破者】と一緒に、第一扉から一キロ範囲にある公共重要施設の半分くらいを、能力学園の皆さんに公開する。

 興奮して大変なことになる事態が予想されるので、そうならないよう、【最速踏破者】の六人が見張りをしてくれる。

 遺物のお触りは禁止と私が念を押しておいたけど、役に立たない気がする……


 弟子三人組は【ロードの悪魔】の二人と一緒に南へ進み、ロードに置いてある支援物資の仕分け作業をする。

 特に衣料品は奪い合いになるだろうから、本当に着替えを持っていない者に限定する必要がある。

 運よく子供用の服もあったけど、着れる服は全部で二百着くらいしかなかった。


 弟子三人は魔力循環を会得していたので、私が購入した木製の食器やスプーン等を入れた、使用者を限定していない空間拡張ボックスを持たせてある。

 新しい食器は、町中から掻き集めても二百五十人分が精一杯だったので、食事を五回の交代制にして、午前十時から三十分おきに、炊き出しを提供する予定だ。


 流民が落ち着いて地上で働ける段取りができたら、地上組は重労働だから、朝と夕に地上で二回炊き出しをする予定にしている。

 ロード内で仕事をする者は、申し訳ないけど一日一回の炊き出しになる。

 因みに、私たちや学園関係者は、第一扉の先か、五キロの仕切り壁の先で日に二回の食事をするつもりだ。

  

 ……各自が持参した食料は、流民の目の前でなければ、勝手に食べても問題ないけどね。



 用心深く第一扉を開けると、幸運にも大トカゲの気配はなかったので、急ぎ足で段取り良く作業を進めていく。

 基本的に肉は二日に一度の予定で、昨日教会で炊き出しに入れていたから、本日の炊き出しに肉は必要ない。

 第一扉の先の時間停止装置に収納した食料は小分けして持ち出し、公共重要施設がある地点で発見した、小型の時間停止装置に移して管理するつもりだ。


 無事に大トカゲを時間停止装置に収納し、【ロードの申し子】が美味しい白身を味見したので、急いで第一扉へと戻る。

 なんだか奥の方で音がしたけど、本日は地底生物や大トカゲと戦っている暇はないからスルーだ。

 第一扉を通過して、神獣メイアスにお土産の美味しい白身を提供した。授乳中はお母さんにも栄養が必要だもんね。試しに大トカゲも少し置いておいた。



 次に私は、ゲートから下りてきて直ぐの東側にあった集会所を、ゲートの管理事務所として使用するため、軽く掃除をして空間拡張ボックスから机や椅子を取り出して置いた。

 これから先、ゲートからロードに到着した者は、一人の例外も許さず、必ず管理事務所で手続きをすることになる。


 ゲートの入口には、まだ入場許可を出す事務所ができていないから、勝手に進入される危険性もある。

 だからゲートを下ってきて【サンアンシスロード】に到着する場所に、今から簡易扉を設置し、施錠しておけばロードに入ることはできない。

 扉に見張り穴を開けておけば、不法侵入者かどうかも確認できる。


 今回は、第一扉の先の区間で、外れて役に立たなくなっていた木製の扉を二枚と、扉が設置されていた頑丈な金属製の扉枠まで外して持ってきたから、設置を【ロードの申し子】にお願いする。

 ちゃんと蝶番とか釘だって持ってきたよ。念のために、お宝部屋から工具や大工道具なんかも頂いてきた。


 いやもう、あのお宝部屋、なんでもあるんだよ。凄く広い倉庫の中に、びっしりと棚が並び物が整頓されているから、壮観で夢のような空間なんだよね。

 工学部の皆さんなんかに見せてしまったら、エヘエヘ笑いながら一週間くらいお宝部屋で暮らしそうだ。危ない危ない。

 落ち着いたら案内するけど、あの区間は大トカゲや巨大蜘蛛が出るからなぁ……


 さあさあ、流民の皆さんが到着する前に、部屋割りを決めておかねばならない。

 一般住居として使用する西側三キロ区間にあった住居の数は、三百三十戸だ。

 商店が十軒で、集会所は二か所。頑張って全部にナンバリングしたもんね。

 一戸に4人が入居しても、流民が千百人なら二百七十五戸あれば足りる。もう少し人数が増えても対応できると思う。


 王立能力学園の皆さんには、管理事務所に近い北側か、五キロ地点の仕切り壁に近い場所を選んでもらう予定で、教会大学の皆さんにも、同じ場所辺りを提供するつもりだ。

 お金のために近々東側の部屋を売り出すから、お宝が空になった部屋も使える。部屋数に問題はないはず。


 一番の問題は照明だ。

 ロードは教会が買った広域ランプ10基でなんとかなりそうだけど、各家の照明は、クズ魔核を使う安いランプを掻き集めたけれど、100個くらいしか無い。

 蝋燭は一番大きいのを300個用意したから、一戸に一個は配布できる。でも、絶対数が足らない。うむ~。

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

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