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三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~  作者: 杵築しゅん
神聖領ガイアスラー

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231 迫る大飢饉(十)

 まさか本当に時間停止装置なんてモノがあったんだ。ほえ~っ……


『あぁ、残念だけーど、魔核の供給が切れてるーね』


『そうね、いくら巨大な魔核でも、一万年間は起動できないわね、ゴモラさん』


 パトリシアさんが、現実を突きつけながらも、三十センチはある魔核を見て驚いている。


「凄いな、こんな大きな魔核は初めて見たぞ!」

「信じられない大きさだ」


 リーダーとサブリーダーが魔核を見て、信じられないと首を何度も横に振る。


「これ、時間停止装置らしいよ。もしも動いていたら、食料が大量に手に入ったかもしれないのに残念。

 この瓶の中の種みたいな物は、もう食べられないかもしれないけど、土に撒いたら芽を出さないかなぁ?」


 私は大瓶の中に詰まっている沢山の種を見ながら、夢を語ってみる。


「どうだろうなぁサンタさん。ダメもとで挑戦すればいいさ。もしも芽が出たら儲けもんだしな」


【ロードの悪魔】のドットルさんが、笑いながら励ましてくれる。


「よし、この部屋は重要な施設だから、帰る時に魔法で封印しておこう。取り合えずホワイトウルフの親子には、此処で休んでもらおう」


 私はリュックから毛布を取り出して床に敷き、子狼をそっと寝かせる。アレス君も子狼を寝かせて、名前を付けなきゃねって笑う。

 リーダーが水の入った深皿を持ってきてくれたから、水をたっぷりと足して、食べるかどうかは分からないけど、シリスが好きな干し肉を置いておく。

 真っ暗は怖いかもしれないからって、アレス君が携帯用小型ランプを部屋に置いてくれた。


「さあ、大トカゲに会いに行こうか!」


 流民の食料問題解決と、ホワイトウルフのお父さんの敵を討つために、第二扉を目指して出発だ。



 懸案事項の一つである側道が見えてきたけど、今日のところは、このまま第二扉まで進んで、もしも大トカゲに遭遇しなかったら扉の構造や魔核等を確認して、閉められるものなら第二扉を閉めよう。

 探索の安全確保ができれば、全ての部屋の扉を開けて【サンアンシスロード】の検証ができる。

 第二扉以外に地底生物が侵入できる経路があれば、早急に見付ける必要があるけど、今は見えている所からコツコツやっていくしかない。


 第二扉が見える曲がり角まで来たら、大トカゲ同士が喧嘩をしていた。その数は十五頭だ。

 縄張り争いなのか、雌を巡る雄同士の争いなのか、はたまた覇権争いか、まあ、敵の数が減るなら棚ぼた的に肉が手に入るから問題ない。


「このまま暫く様子を見よう」

「そうだねアレス君。あの数を相手にするのは骨が折れそうだけど、半分くらいに減ってくれるか、戦力ダウンしてくれるなら有難いよね」


 互いに首に噛み付き、首を激しく振っている光景を観察しながら、私とアレス君は大トカゲがギリギリ視線に入る場所まで下がり、休憩することにした。


「あれだけの数は初めて見たが、よく見たら、争っているトカゲ同士の種類が少し違うようだ」


 リーダーは青い顔をして、あの数と戦う想像はしたくないなと言う。


「ああ、優勢に戦っている方が少し首が短くて足も短いが、尻尾を上手く使って攻撃を加えているようですぜ、リーダー」


 さすがサブリーダー、よく見ているし観察眼が鋭い。


「私は皮も欲しいから、噛み傷だらけになるのは嫌だなぁ」

「そこかよ! サンタさん」

「サンタさんとアレス君と一緒だと、いつもこんな感じだ。討伐することより素材採取が優先だからな、ドットルさん」


 頬に傷がある者同士で強面の【最速踏破者】のリーダーと、【ロードの悪魔】のリーダーが、ちょっとだけ緊張感を解いて会話している。

 本当は怖くて逃げだしたいところかもしれないけど、素材さえ無視すれば魔法で討伐するのは簡単だと言ってあるから、【最速踏破者】と【ロードの悪魔】は、後衛で取り逃がしたトカゲだけを討伐することになっている。


 おやつも食べ終わって水筒をリュックに収納していたら、首の短い茶色に黒色の斑模様のトカゲの方が勝利したみたいで、深緑に赤の縞模様のトカゲが四頭ほど倒れており、生き残っている4頭は逃げるように撤退していく。

 勝利した斑模様のトカゲも、2頭は倒れて動かない。生き残っている五頭が「ギャーギャー」と勝利の雄叫びを上げている。


「倒れているのは全部で六頭。フッフッフ、あれを頂けば暫く休めるねリーダー」


「そうだな、サンタさん。だが、あれをどうやって回収する気だ?」


 喜んでいる私と違い、リーダーは難しい顔をして質問する。


「う~ん、ちょっと様子を見て、何処かへ行ってくれたら有難いけど、もしもこっちに向かってきたら、炎の攻撃で追い払うつもりだけど、どう?」


「炎を怖がれば有効だろうが、そうじゃないなら戦うしかない。ところで、前回討伐したトカゲと、第二扉の前に居たトカゲは、今日の二種類と同じ奴か?」


「いや、僕の記憶では違う種類だったと思うよリーダー。いったい何種類の大トカゲが居るんだろう?」


 アレス君の話を聞いて、確かに以前討伐したトカゲは二種類だったし、前に第二扉の前に居た群れは、もっと大きかった気がする。

 

「もしかして、此処は大トカゲの楽園?」


「おいおい、そんな恐ろしいことを言うなよサンタさん。いつか第二扉の先に挑戦する気なんだろう? 命がいくつあっても足らないぜ」


【ロードの悪魔】のルーデンさんは、かなり及び腰だ。

 イオナロードには大トカゲがたくさん出没していたけど、【ロードの悪魔】の二人が所属していたモエナ支部のロードには、大トカゲは殆ど出没しないからなぁ。


 なんて話をしていたら、勝利した首と足の短い斑模様の五頭の内三頭は、第三扉の方に向かって移動していき、二頭がこちらに向かって移動を開始した。


「ここで戦ったら、味方が援軍にやってくる可能性が高い。もう少し後退して戦おう」


「二頭なら任せて安心だから、そうした方がいいだろう。よし、後退しよう」


 私の提案にリーダーも同意して、先程の側道がある場所まで急ぎ足で戻って、アレス君が皆を連れてメインロードで待ち伏せし、私とシリスは側道に隠れて挟み撃ちにする作戦で行く。

 待つこと五分、二頭がアレス君たちに気付き動きを止めた。


 ……ヤバい、側道の奥から足音のような引き摺るような音がする。 

いつもお読みいただき、ありがとうございます。

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