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保護惑星の魔石採集者  作者: あおおに


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6/7

女たちも普通に強い

「そういう訳で、私たちもちゃんと戦えるって、分かってもらえましたよね?」

 工藤さんの可愛い顔が、ずいずいと迫って来る。

 俺とアヅマは、たじたじするばかり。

「だいたい、特殊能力の運用とか組み合わせとか、私たち高校生の方が得意な話に決まってるじゃないですか!」

「ごもっともで」

 40過ぎのおっさんでも、好きな人は好きなんだが、どうにも抗弁出来る雰囲気ではなかった。


「元々、大吉さんたちが全部決めてた方がおかしいんです!それとも、異星人の人にリーダーに任命されたんですか!?」

「いえ、そんな事ありません」

「そうですよね!だったら、私たちも自由に狩りに出ていいですよね!?」

「え!?いや、それはちょっと待て」

「まだ言いますか、この人は!?」


 段々と素が出てきた工藤さんを、必死で説き伏せる俺とアヅマ。

 可愛い子が怒ると、なぜか怖いんだよ。

 しかしさすがに、まだ高校生たちだけで狩りに出させる訳にはいかなかった。

「俺たちの気持ちも分かってくれよ!」

 という訳で、なんとか大人を1〜2人同行させる事だけ了承させた。手強い相手だった。


 しかし、戦いはまだ終わっていなかった。

「じゃあ、私たちの狩りにも、誰か付いて来てくれるのね?」

 そう言い出したのは、CAの清水さんだ。その後ろには、ニコニコ顔の竜ヶ原さんが控えている。

「えー、CAさんたちも狩りに出るの?」

「当然でしょ。私たちにずっと待ってろって言うの?そんなの、あなたたちがある日帰って来なくなったら、私たちも終わっちゃうじゃないの!」


「えー」

 しれっとした表情で物騒な事を言ってくれる清水さん。つまり、ある日俺たちが、狩りに行って返り討ちに合う可能性を言ってる訳だ。まあ、オオカミ獣人みたいな化け物がいたんだから、ないとは言えない話ではあるが……。

「簡単に殺してくれるなよ」

「まだ信用し切れないのよ」

「……そうですか」





 結局、高校生たちにはアヅマと感知系能力を持つ間久部が同行し、CAさんたちには俺と榊原が同行する事になった。

 アヅマと間久部の方は、大丈夫だろう。間久部がいれば不意打ちを食らう危険性も少ないし、不意打ちさえ食らわなかったらアヅマの敵は早々いない筈だ。

 問題は、俺たちの側である。俺の能力は、身体と感知の強化が7倍。火と水魔法が中級という中途半端さ。榊原に至っては、料理関係の能力しか持っていないという。大丈夫か?


「じゃ、行くわよ!」

 急にアネゴ肌になる清水さん。サバサバ美人は、カッコいい。

「おー!」とか言いながら、後に続くCAさんたち。全員で5人。竜ヶ原さんも、当然入っている。

 しかし、CAさんの制服のまま森の中で狩りをするとは、本人たちも思っていなかっただろう。スカートだし半袖だし、虫刺されとかしないかな?変な心配をしてしまう。昔の様にカカトの高い靴を履いてないだけ良かった。


「じゃ、皆の能力の説明、しておくわね。私、清水紀子(のりこ)は索敵がメイン。他にも能力はあるけど、それはナイショ」

「う。はい」

「2番、竜ヶ原咲子、28才。蠍座。身長168センチ。体重はナイショ」

 なぜか俺の目を見て自己紹介する竜ヶ原さん。あ、清水さんに殴られた。

「能力だけ言えっての!」

「……はい。雷魔法が上級までいけます」


「3番、宮島かおり、25才、スリーサイズは……」

「殴るわよ?」

 再び清水さんのツッコミが入る。

「えーと、治癒魔法が得意です」

「4番、坂下真理子、バフとデバフが使えます」

「バフ?デバフ?」

 榊原が不思議そうに質問する。どうやら、こういう話題は苦手分野らしい。


「バフっていうのは、味方の能力を上げる力で、デバフは敵の能力を下げる力です」

 坂下さんは、こういうのが得意分野なのだろう。やけに簡潔に答えてくれた。

「了解した。便利そうな能力だな」

 榊原が言うと、坂下さんがちょっと照れた。あら、可愛い。

「次、5番、多摩千里。防御魔法が張れます」

「それは、バリアーみたいな?」

「そうです。物理と魔法、両方に効きます」


「凄いな。良いチームになってる」

「そういう人選で来ましたからね」

「なるほど……」

 俺とアヅマなんて、そんな事何も考えずに戦ってた。そりゃ、高校生たちやCAさんたちに偉そうな事言えないわな。


「止まって。前方に何かいるわ。多分、ゴブリンね。10体以上」

 清水さんが不意に言う。

 皆、ピタリと足を止めた。

「竜ヶ原、いける?」

「オッケー」

「坂下、竜ヶ原にバフを」

「はい。魔法アップのバフをかけます」


 淡々と準備が整っていく。

「誘き出すわよ」

 清水さんが何か両手で「印」みたいなものを結ぶと、空中から巨大なカエルがまろび出た。40〜50センチはあろうかという大きなカエルだ。気持ち悪い。他のCAさんたちも、明らかに引いた表情をしている。

 カエルはビョーンと跳んで前に出ると、ゲロゲロと鳴いた。

 ええっ、清水さん、わざわざこんな能力もらったの?


 俺と榊原が清水さんを見つめると、「そういう忍者マンガがあったでしょ!?それに、この子も索敵出来るのよ」と、返事が返って来た。

 なるほど。意外とオタクさんだったか。

 それはそうと、突然鳴き出したカエルに釣られ、ゴブリンたちがわらわらと姿を現す。

「いきます!サンダーシャワー!!」

 上空から無数の雷が降り注ぐ。

「ぎゃっ!!」

 一瞬で灼き尽くされるゴブリンたち。

 うはー、上級魔法、恐ろしい。


 雷の雨が止んだ時、もう立っているゴブリンはいなかった。

 それでもヒクヒク動いていたゴブリンは、カエルが踏み潰していく。エグい!

 案の定、CAさんたちもゴブリンを殺す事に、何の痛痒も感じていない様だ。魔石も全員で手分けして、ゴブリンの胸を開いて集めていく。もちろん、さっきまでゴブリンが持っていた武器を使ってだ。異星人さん、そこまで精神的に逞しくしなくても……。ちゃんと「自分」てものが残されているのか、不安になっちまうじゃないか。






 次に現れたのは、イノシシだ。

 アヅマと一緒に倒した個体程ではないが、やはりデカい。

「いけるか?」

「任せて!」

 自信満々な清水さん。

 今度はカエルを出す必要もなく、もう相手には気取られている。


「デバフ。イノシシの筋力を弱体化」

 坂下さんの言葉と同時に、イノシシが何かイヤそうに頭を振った。そこから突進して来るが、どこか迫力がない。

「障壁!」

 多摩さんが叫ぶと、目の前に半透明なシールドが立ち上がる。

 ガキン!

 イノシシが激しくぶつかるも、シールドは小揺るぎもしなかった。


「サンダーストライク!!」

 そこへ上空から落ちる雷の塊。

 激しい稲光。そして、轟音。

 イノシシは雷に打ちのめされ、ドゥと地面に倒れた。一撃でおしまいだ。恐ろしい。竜ヶ原さんは、あまり怒らせない様にしよう。


「す、すげぇ……」

 他に言葉がなかった。

 俺とアヅマで倒したイノシシの方が大きかったのは確かだが、こんな鮮やかには倒せなかった。

「どう?私たちの腕前は?」

「素直に感服しました」


「でしょ、でしょ」

 皆が良い笑顔を向けて来る。

「で、それ、どうやって持って帰る?」

「え?……」

 固まるCAさんたち。


「いや、今日は榊原がバラしてくれるから良いけどさ。運搬系の能力持ちは、いないの?」

「うぅっ、いなかったかも……」

「じゃあ、あんたたちの狩りには、榊原が必須って事で」

「くっ、こんな落とし穴があるなんて……」

 やっぱり、CAさんたちは自分たちだけで狩りをする気だったらしい。が、なんとか男を同行させる理由が出来た。危なかった。


「じゃ、榊原、他の魔獣が出る前にチャッチャとバラしてくれるか?」

「いえ、もう遅いわ。何か来た」

 清水さんの警告とともに現れたのは……。

「き、きゃあ〜〜〜っ!!」

 全長2メートル超の大ムカデだった。キモい!


 キモいが、その前にCAさんたちがパニックになっているのがマズい。

 俺はファイヤージャベリンを大ムカデにぶつけた。が、黒光りする甲殻が、あっさりと炎の槍を弾いてしまう。

「おい!正気に戻れ!お前たちなら、あっさり勝てるだろ!!」

 叫ぶが、CAさんたちのパニックは治まらない。


「榊原!清水さんを引っ叩け!」

 そう言って俺は手近にいた竜ヶ原さんを……絶対怒らせたくないと思った竜ヶ原さんの……。お尻を引っ叩いた。

 パァン!

 小気味良い音とともに竜ヶ原さんの目が正気に戻り……。

「あんた!何触ってんのよ!?」

「いいから、サンダーストライク打てや!」


 視界の端で、榊原も清水さんに殴られてるのが見えた。すまん。清水さんを引っ叩く必要はなかったようだ。

 俺の襟元を掴みながら、竜ヶ原さんがサンダーストライクを放つ。

 気のせいか先程より強烈な光と轟音が、大ムカデをバラバラに吹き飛ばした。

 こ、こわっ……。

 竜ヶ原さんは俺の襟元を掴んだままうっすらと笑うと、妙に静かな口調で言った。

「今回は、お礼を言っておくわ。でも、次はもっと優しい方法にしてよね」

「は、はいぃ……」





 高校生たちの方は、はしゃぎ過ぎてガス欠を起こした者が出たらしい。

 結局、高校生たちもCAさんたちも、狩りの時は俺たちの誰かが同行する事になった。

 それはそうと、浜部グループ、お前たちはちゃんと狩りに行けよ。

読んでいただいて、ありがとうございます。

こんなお話でも面白いと思って下さったら、『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にしてポイントを入れてもらえたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
カエルに意表を突かれました。清水さんやるなあ。CAたち能力のバランスが良いのは日頃の連携の賜物?
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