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保護惑星の魔石採集者  作者: あおおに


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5/7

オオカミ獣人との死闘

 俺がファイヤージャベリンを起動させようとしていると、志堂くんも「俺もライトジャベリン使いますよ!」と言って来た。

「いや、それより目眩まし系の技はないのか?」

「ありますよ!」

「え、あるの?」

「フラッシュといって……」

「あ、名前でだいたい分かった。……アヅマ、フラッシュ撃つから、目ぇやられるなよ!」


 アヅマには、それで通じたと信じるしかない。

 志堂くんに頷くと、志堂くんは大袈裟に両手を振り回してポーズを取ると、「フラーッシュ!!」と叫んだ。

 呆気に取られそうになりながら、慌てて目を閉じる俺。

『ぐわっ!!』

 オオカミ獣人らしい悲鳴が聞こえた。今だ!


「ダッシュだ!!」

 先に立って、目を押さえたオオカミ獣人の横を走り抜ける。

 俺、志堂くんと走り抜けたところで、オオカミ獣人が足音だけを目当てに拳を振る。

 しかしそれは、アヅマの蹴りがガツンと跳ね飛ばした。

『ちぃっ!小賢しい!!』

 オオカミ獣人が吐き捨てる。って、しゃべった!?


 しゃべったのも気になるが、今は生きのびる事が先だ。俺とアヅマは志堂くんたちを追い立てながら、拠点に走り込んだ。

「はぁはぁ……!」

 大きく息を吐きながら結界の向こうを見やるが、獣人の巨体が現れる様子はなかった。とりあえず逃げられたらしい。





 俺たちは会議に入った。

 会議なんぞ会社員時代でも好きでなかった俺だが、こんな事態が起こっては仕方がなかった。皆の知恵と意見が必要だ。

「……と言う訳で、何か有効な方法を思いついたら、言って欲しい」

 俺、アヅマ、榊原、間久部、鈴木さんや竜ヶ原さんたちCAさん、浜部たちもう一つの大人組、そこに工藤さんや志堂くんも顔を並べている。


 なんで俺が音頭を取ってるんだとぼんやり思いながら、皆の顔を見回す。

「大吉さん、オークの魔石で何か武器を買えませんか?」

 間久部が言う。なるほど。騒ぎにかまけて、オークの魔石を放ったままにしていた。間久部は、こういう事によく気がつく。

 俺がオークの魔石3個を左腕の腕輪に吸収させると、6000ポイントになった。1個2000ポイントか。ゴブリンと大違いだ。


「6000ポイントか。何が買えるかな?」

 全員が腕輪を起動させて、買える物を調べ始める。

「銃は無理か、さすがに」

「いや、銃買うぐらいなら、魔法で良いだろ」

「聖銀だ、聖銀。聖銀が弱点だ」

「高校生の鑑定だろ、それ。信用出来るのか?」


「いっそ、皆さんの能力を明かし合った方が良くないですか?」

 皆がごちゃごちゃ言ってるところへ、まともな意見を放り込んだのは、志堂くんだった。

「なるほど。それは言えるな。浜部さんたちは、どんな能力があるんだ?」

「なぜ、我々から明かさねばならない?君たちから明かしたまえ」

「俺とアヅマの能力は、さっきの話から分かってるでしょ。そっちも明かしてもらえませんかね?」


「あー、あー、俺たちから明かしますよ!」

 志堂くんたちが割って入って来るのを、俺は制した。

「高校生とCAさんたちは、いい。やるなら、俺たち大人組だけだ」

「そうだ。高校生はじっとしていたまえ」

 浜部も偉そうに、そう言う。


「だから、あんたたちの能力は?」

「誰か役に立つ能力があるか?」

 浜部が自分の配下に訊く様に問いかけるが、誰も何も言わない。

「悪いが、ワシたちには役に立てる能力はなさそうだ」

「ああん?」

 険悪な雰囲気になる俺たちと浜部グループ。そこで工藤さんと志堂くんたちがコソコソ離れて行ったが、俺はそれで良いと思った。工藤さんの目が何かを訴えている様に見えたけど、この件に高校生を巻き込む気はなかったからだ。






 結局、会議からは浜部グループも抜けて行った。

 榊原は調理に役立つ能力ばかりだし、間久部も感知系ばかりだ。俺とアヅマでやるしかない。CAさんたちも協力させろとうるさかったが、俺は強硬に却下した。これは同じくオオカミ獣人と戦ったアヅマも賛同してくれた。

「買えるとすれば、聖銀ナイフがギリギリだな。だとすると、どうしてもアヅマの運動能力頼りになっちまうが……」

「構わんぞ、俺は」


「じゃ、買うぞ」

 俺がポチると、あっさり聖銀ナイフが届いて来た。

 簡素な革の鞘に入っているが、青みがかかった美しい両刃のナイフだった。柄を持つと、何かピリピリする。これが、聖銀のエネルギーか?

「アヅマ、すまん。頼む」

 アヅマにナイフを渡す。

「おう」


 俺たちがゾロゾロと結界の所まで移動すると、間久部が「この先に待ち構えてるぞ」と言い出した。

「奇襲でも仕掛けて来る気か?」

「いや、道の真ん中に腕を組んで立ちはだかってる」

「ちっ、ヤツらしい」

 そう言えば、言葉を話す様なヤツだったなと思い出す。どうやら、ヤツの言葉は7か国語を話す俺にしか理解出来なかった様だが。7か国語の中に獣人語が入っていた訳だ。


「じゃ、行ってくる」

 アヅマと2人だけで歩き出すと、すぐにヤツの姿が見えて来た。相変わらずデカくて、強そうだ。

 じっと立っているだけで、殺気がビリビリと伝わって来る。うわー、逃げてぇ。

『グルルル……』

 唸るオオカミ獣人が、ひどく嬉しそうに見える。


「じゃ、行くぞ」

 ファイヤージャベリン、5連発!

 ドカドカと命中する炎の槍を、避けようともしないバカ獣人。少しは、堪えろ!

 しかし、本命はアヅマだ。ファイヤージャベリンの爆発が晴れた時、もうアヅマはオオカミ獣人の目の前にいた。

 聖銀ナイフを鋭く振り降ろす。


 ナイフは音もなく獣人の左肩口に突き刺さった。

『ぐわっ!』

 獣人が振り回す手がアヅマを吹き飛ばす。

 ナイフは刺さったままだ。何かシュウシュウと煙を上げている。

 獣人はナイフを抜こうとするが、柄を掴もうとすると、何かの力に拒まれる様だ。

『せ、聖銀か、くそっ!』


 やはり聖銀は弱点だった様だ。が、これではヤツは倒せない。

 どうする?俺が飛び出して、ナイフを心臓に刺し直すか?

 ええい、とりあえず、ファイヤージャベリンだ。あれ、3発しか出ない。魔力切れか。

 オオカミ獣人が初めて腕をクロスさせて、炎の槍をガードした。

 これで手打ちだ。急に俺の視界が一段暗くなった。

 まずい。当然、肉体の動きも鈍くなっている。膝が笑う。身体が重い。

 アヅマは、どうした?


 その途端、声が聞こえた。

「今よ!」

 工藤さんの声だ。

磔刑(たっけい)!」「バインド!」「アイスチェーン!」

 いくつもの声と同時に、いくつもの能力がオオカミ獣人の動きを止めた。

『なっ!?』


「次!聖別の槍!!」

 ギュン!と音を立てて投げられたのは、ゴブリンの槍か?なぜか穂先が青白く発光している。

 槍はオオカミ獣人の腹にぐっさりと突き刺さった。

『げはっ!』

「最後よ!聖属性攻撃!!」

「ホーリーライトニング!」「ホーリージャベリン!」


 中級魔法、聖属性のジャベリン。

 上級魔法、聖属性の雷攻撃。

 二つの魔法がオオカミ獣人の巨体を貫き、焼き尽くした。

「おおっ!」

 俺には驚く事しか出来なかった。

 端っから戦力外扱いしていた高校生たちが、力を合わせてこれだけの事をしてくれるとは。

「今の槍は?」

「槍の穂先だけ聖別しました!」


「ほほう、なるほど。……アヅマを頼む!」

 そう言うと、俺はオオカミ獣人に近づいた。

 真っ黒になってはいるが、元々真っ黒だったので、本当に死んだのかどうか確信が持てない。

『おーい、死んだか?』

『ほう、お前、獣人語が話せるのか?』

 やけにイケボな返事が返って来てしまった。


『ちっ、まだ生きてるのか』

『心配するな。俺はもう帰る。お前たちの戦い方には、十分満足した』

『それ、何しに来たんだよ?俺たちを試しに来たのか?』

『そんな大した話ではない。ただの俺の興味だ』

『じゃ、最初から俺たちを殺す気はなかったと?』

『いや、くだらない連中なら、皆殺しにしていたさ』

『うへぇ』


『それより、帰るから、このナイフだけ抜いてくれないか?自分じゃ柄も持てないんだ』

『へいへい。襲うなよ』

 俺はオオカミ獣人の肩口から聖銀ナイフを抜いた。

『痛っ!今、グリグリっとしたろ!』

『ちょっとだけだよっ!槍は抜かなくて良いのか?』

『こっちは、触れないのは穂先だけだ。問題ない』


 オオカミ獣人は自分で槍を抜くと、一挙動で立ち上がった。

 ギョッとする雰囲気が辺りを包む。

 そりゃ、倒したと思った相手がピンピンとしてたら、そうなるだろう。

『俺は、ガムイ。お前は?』

『大吉』

『ダイキチか。覚えておく』


 そう言うと、ザッという音を残して、オオカミ獣人は姿を消した。

 とんでもない運動能力だ。本気で来られたら、俺のジャベリンは当たらなかったろうし、アヅマも瞬殺されていたろう。

「大吉さん、あいつは!?」

「うん、帰った」

「帰ったって、大丈夫なんですか?」

「ああ、満足したらしい。ただ、俺たちがくだらない真似をしてたら、また来るってさ」


「え、えー!?」

「それはそうと、アヅマは?」

「ああ、すまん。簡単にやられた」

「あ。大丈夫そうだな。じゃ、良かった」

「とりあえず帰ろうぜ。一応、説明するわー」

 俺たちは連れ立って拠点に戻るのだった。

読んでいただいて、ありがとうございます。

こんなお話でも面白いと思って下さったら、『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にしてポイントを入れてもらえたら嬉しいです。

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