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保護惑星の魔石採集者  作者: あおおに


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7/7

戦士たちの休日

「暇だな、おい」

「暇だ……」

 俺とアヅマは湖畔に転がり、退屈と戦っていた。

 天気が良い。気候も最高だ。

 湖の水は恐ろしく透明度が高く、すいすい泳ぐ小さな魚の姿がはっきり見える。ここがファンタジー惑星でなければ、足でも浸けたいところだ。


 俺とアヅマは、強制的に休みを取らされているのだった。

 狩りには、高校生組と間久部、CAさんたちと榊原が赴いている。おかげで俺たちの身体が空いたのもあるが、この惑星に着いてから俺たち2人は働き過ぎなのだそうだ。

 確かに不良会社員だった俺は、地球にいた頃は適当に力を抜いて毎日を送っていた。他人の事なんか、ロクに気にしなかったし、何かに命を賭ける事もなかった。


「今度魔石を取ったら、釣り竿でも買うか」

「異星人も釣りをするのか?」

 俺は左腕の腕輪を起動させて「釣り竿」と言ってメニューを出させると、ずらずらと釣り竿の一覧が出てきた。

「ほう、竹竿から謎物質製の全自動釣り竿まであるぞ」

「なんだよ、全自動釣り竿って」


 俺たちが非生産的な会話をしていると、清水さんと竜ヶ原さんが近づいて来た。

「あれ?2人は狩りに出なかったの?」

「今日は、一部メンバーを入れ替えたのよ。索敵と攻撃魔法を使える子は、他にもいるからね」

「なるほど。層が厚い」

「高校生たちも少しずつメンバーチェンジしてるわ」

 どうやら、本当に俺たちは用済みらしい。


「それはそうと、何してるのよ、こんな所で」

「やる事ないんだよ」

「定年後の親父ね、まるで」

「ぐさっ!」

「こんなとこでゴロゴロしてないで、シャワーでも浴びてスッキリしたらどうなの?」

「シャワー?」


「シャワーよ、シャワー。水が上からザーッて出るやつ」

「いや、シャワーは分かるが、地球じゃあるまいし、シャワーなんか浴びれないだろ」

「は!?何言ってるのよ、テントに付いてるでしょ、シャワー!」

「え、うそっ……」

 清水さんと竜ヶ原さんは、ちょっとイヤそうに俺たちから距離を置いた。


「じゃあ、あなたたち、この惑星(ほし)に来てから身体を洗ってないの?あれだけ汗をかいといて」

「あ、え、う、うん……」

「ひっ!」

 抱き合う清水さんと竜ヶ原さん。

「だったら、着替えなんて……」

「着替える物がないじゃないか」

「ひっ!」


 そこから説教が始まった。

 CAさんたちは、前日の狩りで得た魔石を使い、下着の替えや生理用品等、必要な日常品を買い揃えたらしい。おまけに、腕輪の販売システムにはクリーニングのサービスもあり、着ていた下着なんかは綺麗に洗ってくれるという。

 今CAさんたちが目指しているのは、この惑星で動くのに適した高機能ジャージを人数分そろえる事だそうだ。


「文明開化の音が聞こえるぜ」

「完全に出遅れてるな、俺たち……」

 へこむ2人のおっさん。

「で、下着ぐらい買わないの?」

「ポイントが全くない。聖銀のナイフなんかで使っちまったからな」

「そうね、あなたたちはみんなの為にポイントを使っちゃったものね」


 そこで、清水さんと竜ヶ原さんが嬉しそうに顔を見合わせた。

「そういう訳で、私たちがあなたたちの下着を買ってあげるわ」

「え?いいよ……」

「いいえ!あなたたちにはお世話になってるから、これぐらいはさせてちょうだい!」

「えー……」


 そこで清水さんと竜ヶ原さんがキャーキャー言いながら男物のパンツを物色する事、小一時間。

 あー、地球を離れても、女の買い物の長いのは変わらないんだと、アヅマと溜め息を吐く。

 結局、2人が選んだのは、謎素材の高機能ボクサーパンツ。俺のは、黒一色。プロレスラーのアヅマは迷彩柄。まあ、時間をかけただけあって、センスは悪くない。

「じゃ、シャワーを浴びて着替えてらっしゃい。古いパンツは捨てないで、ポイントが入ったらクリーニングに出すのよ。はい、タオルもサービス」

「はいはい。サンキュ」


 テントに戻ると、確かにシャワーが付いていた。

 奥に扉があり、その向こうに立派なシャワーが二つ並んでいたのだった。

「寝る目的でしかテントを使ってなかったからな」

「トイレがあるのに気づいてただけマシだと思いたい」

 俺たちは汗臭い服を脱ぐと、シャワーを浴びた。


「この水は、どこから取ってるんだ?」

「湖だろうなぁ」

「排水はどこへ?」

「垂れ流しじゃない事を願おう」

 そもそもトイレもあるのだ。あの綺麗な湖に垂れ流しだとしたら、重大犯罪だ。


「これは、石鹸やシャンプー、それに髭剃りも要るな」

「うむ。ジャージも欲しいな」

 プロレスラーには、やはりジャージが必須らしい。ちなみにアヅマの着ているのは、ポロシャツとジーパンだ。飛行機に乗るのに、ジャージは控えたらしい。

「しかし、何よりパンツだ。パンツを自前で買えるようにならないと!」

「ああ、なんかヒモの気分だ」


 シャワーを浴びてさっぱりした俺たちは、謎素材の高機能ボクサーパンツに足を通す。

「おお、なんだこれ、妙にジャストフィットするぞ」

「凄いな、異星人の科学」

「高機能ジャージってのも期待出来るな」

「ホントだ。早く着てみたいぜ」


 俺たちがテントを出ると、律儀に清水さんたちが待ってくれていた。

「どう?私たちのパンツは?」

「ぐっ、誤解されそうな言い方するなよ」

「ふふっ、履き心地良いでしょ?」

「ああ、かなり驚いた」

「ちゃんと文明人に戻れそう?」

「石鹸や髭剃りも買うよ」

「よしよし」


 すっかり、俺たちは指導される側である。

「高校生たちは、こういうの知ってるのか?」

「当然!工藤ちゃんに聞いたら、当たり前に気が付いてたわよ」

「さすがだね、今時の子供は」

「おっさん臭い事言わないの!」

「へーい」


 食べ物は今のところ、狩りや果実の採取でなんとかなる。

 そうなると、後は文明的な生活を送れる様にしないとな。

「アヅマ、ちょっと行くか、狩り」

「そうだな。まずはパンツを買おう、パンツを」

「あら、私たちのパンツじゃ不満なの?」

「いやいや、男たるもの、パンツぐらいは自分で買えないとな」

「ぷっ!」


「笑うなよ、男の沽券にかかわる話だぞ」

「それはそうと、あなたたち、今日は休日でしょ」

「いやー、でも、魔石欲しいしー」

「仕方ないわね、じゃあ私たちも付いて行くわ」

「えー」

「何よ、不満?」

「いーえ!」


 俺たちは半日だけ狩りに出て、ゴブリンたちを狩りまくって、石鹸やシャンプー、リンス、髭剃り、パンツのクリーニング代を確保したのだった。


読んでいただいて、ありがとうございます。

こんなお話でも面白いと思って下さったら、『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にしてポイントを入れてもらえたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
交換の元を考えるとゴブリンパンツとも言えなくもない。ジャストフィットゴブリン。なんてこった。
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