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保護惑星の魔石採集者  作者: あおおに


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22/23

魔物の卵と新しい魔法

 数日後、タグマンに行っていた間久部たちが拠点に戻って来た。

 皆、元気そうである。良いリフレッシュになった様だ。

 ただ、ノウンの存在と風呂ができた事を知った時は、やけに悔しがっていたが……。

 それはそうと、間久部たちは大量の手土産を持ち込んでくれた。食器や手鏡がかなり高く売れたらしい。

 それらの売却額で様々な衣類や食材、玩具、書籍等を買い込んで来たという。


 しかし、一番の目玉は、なんと魔物の卵であった。しかも、二つ。

 食材としてではない。

 魔物をテイムする為である。

 ここで登場するのが、高校生の中野姉妹である。中野悠理(ゆり)と茉理(まり)の双子の姉妹。二人ともが大の動物好きでテイム能力を持っている。5体のウルフも、彼女たちがテイムしたものだ。


「え、私たちがもらって良いんですか?」

「むしろ君たちにしか扱えないからね。ウルフたちはここの番犬代わりとして役に立ってるし、この子たちも頼むよ」

 間久部が二枚目ボイスで頼むと、なぜか姉妹そろって赤くなっている。

「ありがとうございます。立派に育てます!」

 間久部の卵じゃないからな、それ!


「どれぐらいで孵化するんだ?」

「マスターが魔力を流し込んだら、2〜3日で孵化するって言ってましたよ」

「イレーズさんも、面白い物を押し付けて来たな」

「現金ばかり持ち帰るのも問題ありそうでしたんで、こんな物まで買っちゃいましたが、駄目でしたか?」

「いやいや、面白そうだし、役に立つと思うし、俺は良いと思うぞ」

「だったら良かったですが」


 勝手に高い買い物をしたのを気にしていたのか、間久部がホッとした表情になる。

「あ、あと、浜部さんたちにも会って来たんですが」

「まだカネは続いてたか?」

「ええ、まだ大丈夫そうでした。それが、馴染みの上客たちと付き合いを始めた様で」

「へえ〜」

「今は何とも言えませんが、将来的に役に立つかも知れないので、いくつか魔石を渡しておきました」


「ほほぅ。俺じゃ、そうはいかなかったかもな。良いんじゃないか。あの爺さんはともかく、間久部の目は信じるよ」

「ありがとうございます」

 不良営業マンだった俺と違い、間久部は敏腕営業マンだったに決まっているのだ。

「それと、これは提案なんですけど」


「ん?」

「タグマンに屋敷を買うか借りるかしませんか?あちらに常駐の人間を置いても良いと思うんです」

「ああ、いずれはと思ってたけど、そんなに街に住みたがっている者がいたのか?」

「そこまではっきり聞いた訳じゃないですけどね、明らかに向こうの方が生き生きとしている子が何人かいましてね」

「なるほどな。高校生やCAさんたちは、そうかも知れんなぁ。分かった。次回は不動産も見て回ろう」


「今回もちょっと見て回ったんですけどね、なかなかの物件がありましたよ。……風呂はついてませんでしたけど」

「風呂は、広くて良いのを作ってもらおう。間久部も、そろそろ入って来たらどうだ?詳しい事は、また後で聞くし」

「待ってました!じゃあ、ちょっと入って来ます!」


 




 俺と間久部が話してる間に、手土産はほとんどさばけてしまっていた。

 何冊か書籍が残っているぐらいだ。

「あれ、人気のない本もあるんだな」

「文字が読めないんですよ」

 高校生の一人が本を渡してくれた。

 確かに、他の本とは違う文字が書かれている。……が、7か国語能力を持つ俺には、読めちゃうんだな、これが。


「なになに、人工精霊創造の魔法?」

 なんか興味深いタイトルに惹かれてページをめくると───。

 膨大な情報が頭に流れ込んで来た。

 目が文字を追うのを止められない。

 手がページをめくるのを止められない。

 脳に新しい知識が刻まれるのを止める事が出来ない。


 目の前が真っ白になり、光の中を真っ黒な文字列が踊る。

 踊り踊って、一文字ずつが俺の頭の中に収まって行く。

 なるほど、そうか!

 それだけの事か!

 俺の頭脳の一部に、人工精霊創造の魔法が刻み込まれた。






 目を開けると、目の前にノウンがいた。

 可愛らしい顔で、俺の目をのぞき込んでいる。

「魔導書を読んだな?」

「ああ、そうみたいだ」

「ちょっとした魔力の爆発があったんで来てみれば……。気をつけよ。こういう本の中には、危ない物もある。それこそ、二度と帰って来れなくなってしまう様な物がな」


「ええっ!?そんなの見分けがつかないよ」

「見分けよ。そうせねば、生きていけんぞ」

「無茶を言うなぁ」

「一冊を読んだお主には、次に出会った本が、危ない物かそうでないかは自ずと分かる筈じゃ」

「だったら良いけどな」


「で、何の魔法を覚えたのじゃ?」

「ん。これ」

 手に持った本を見せようとしたが、ただの白紙の本に変わっていた。

「魔導書は一度使うと、そうなる」

「そうか。俺が覚えたのは、人工精霊創造の魔法だ」

「ほぉ。人工の精霊とな。また面白そうな魔法を」


 ノウンは湖の方に向かって歩きながら、俺を手招きした。

「ちょっとこちらで見せてみよ」

 俺はノウンについて、湖まで歩いた。

「作れる精霊に属性はあるか?」

 俺は自分の頭の中をのぞき込む。

「ふむ。火と水が作れるみたいだ」

「お主の持っている属性と同じじゃな。では、水の精霊を作ってみよ」


 俺は頭の中に刻み込まれた文字列を、言葉にしてなぞった。

 と。

 俺の胸の前にきらきらとした水が集まっていく。

 水は固まって粒となり、ゴルフボールぐらいの大きさになり、ソフトボールぐらいの大きさになり、やがてバレーボールぐらいの大きさで成長を止めた。

 見た目は、水でできたスライム。うねうねと表面が波立っている。


「なるほど。それが人工精霊か。レベルが上がれば、また形が変わるやも知れぬな」

 俺は指先で水スライムをつついてみた。

 ポワンポワンとした手応え。

「魔法は使えそうか?」

「あー、中級魔法まで使えるみたいだ」

「それもお主と同じという訳か」

「そうだな」


「ウォータージャベリン」

 俺が呟くと、水スライムから水の槍が発射され、湖面の上を飛んで行った。

「これでお主は手数が2倍になるの」

「それは、助かるな」

「ただ、どこまで便利かは分からぬぞ。此奴を呼べる時間が決まってるやも知れぬし、お主からどれだけ離れられるかも分からぬ」

「なるほど。少しずつ検証していくよ」


「そうじゃな。では、まず精霊を自在に消せるかじゃな」

「ふむ」

 これは魔法を解除すると思えば、簡単に消す事が出来た。集まっていた水が、パシャッと湖に落ちる。

「では、すぐに創造し直せるか」

 もう一度呪文を詠唱すると、また人工精霊が現れた。

「お。意外と便利ではないか」


「きゃあ。何、その可愛いの?」

 不意に声が聞こえたと思ったら、竜ヶ原さんだった。

「ああ、水の精霊なんだ」

「え、いつの間に、そんなのが喚べる様に……って、後でいいわ、そんな事。それ、触っていい?」

「いいよ」


 最初は俺みたいに指先でツンツンしてた竜ヶ原さんも、水スライムが潰れないのを確認するや、そーっと抱きしめた。

「ポワンポワンしてて、気持ちいい〜!皆に見せて来るね」

「あ……」

 妙にはしゃいで、水スライムを持って行ってしまう竜ヶ原さん。

「さて、どれぐらい離れられるのかのぉ?」


 パシャッ!

 地面に水が落ちる音と、竜ヶ原さんの悲鳴が聞こえたのは、20メートルぐらい離れた地点だった。

 この後、びしょ濡れになった竜ヶ原さんにお小言を食らう事になる。

 解せん……。



読んでいただいて、ありがとうございます。

こんなお話でも面白いと思って下さったら、『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にしてポイントを入れてもらえたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
間久部の卵www おっさんは常に理不尽に怒られるんだよなあ(はあ)。
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