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保護惑星の魔石採集者  作者: あおおに


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17/23

第一層の探索

 ダンジョンの探索、2日目。

 初日はお試しだったので、本格的な探索は今日からになる。

 古代遺跡ダンジョンはいくつもの階層に分かれており、今のところ8層までの到達が報告されているらしい。それ以上は、補給問題がネックとなって、進むのが難しい様だ。補給の心配はない俺たちとしては、魔物を倒す実力さえ伴えば、更に深層が目指せる訳だ。

 が、慎重に、慎重に。いいトシなんだから、調子に乗って大怪我してる場合ではないのだ。


 それでもラプトル型には問題を感じない俺たちは、真っ直ぐに1層の奥に向かう。

 索敵役の清水さんも、出来るだけラプトル型は避け、ティラノ型を主体に探している様だ。ティラノ型もすでに倒し方を確立しているので、進行もスムーズである。

 他のパーティを見た感じでは、物理攻撃役がメインとなっており、魔法使いがいても初級魔法がせいぜいで、効率的にティラノ型を倒すのは難しい様である。


 と。

「新しいタイプがいるわ。四つ足ね」

 清水さんの索敵に新種が引っかかった。

 慎重に歩を進めると、トリケラトプス型の魔物が目に入った。牛ほどの大きさに、額から2本、鼻先から1本伸びた鋭い角。手強そうだ。

 しかも、視界に入った途端、俺たちに向かって突進して来た。


「多摩さん、シールド!」

「はい!」

 多摩さんの防御魔法が展開され、ガキィッ!とトリケラ型を受け止める。

「魔法!」

 そこに俺のファイヤージャベリンと竜ヶ原さんのサンダージャベリンが突き刺さる。


 が、よろめくだけで、トリケラ型は倒れない。タフだ。

「うらぁっ!」

 アヅマが蹴りを入れるが、全然効かない。

 それでもトリケラ型の意識がアヅマの方を向いたので、その横っ腹に再び俺と竜ヶ原さんの魔法の槍が命中する。ガクリと膝を折るトリケラ型。


 粒子化するトリケラ型を見て、ホッとする俺。

「次は、最初から上級魔法で良いかもな」

「ええ、そうするわ」

 竜ヶ原さんも神妙にそう答える。

「あ、なんかドロップしたわよ」

 宮島さんが声を弾ませる。


 見れば、ティラノ型よりはっきり大きい魔石とともに、鞘に入った剣が落ちていた。

「うわ、こんな物まで落とすのか」

 拾ってみると、街で買った物より重量感と高級感のある立派な長剣だった。

「アヅマ、剣を使ってみないか?」

「え?反則攻撃は苦手なんだがな」


「さすがに、トリケラ型に素手は無理だろ?」

「まあな……」

 仕方なさそうに長剣を受け取るアヅマ。

 鞘から抜いて剣身を眺める。

「綺麗なもんだな」

 軽く振るだけで、ビュン!と風が鳴る。

「ふん。悪くないかもな。使ってみるよ」


 次に出たのもトリケラ型だった。

 またも接敵した瞬間に突進して来るのを、多摩さんのシールドが受け止める。

 続いて、竜ヶ原さんのサンダーストライク。轟音とともに、ふらつくトリケラ型。

 トドメはアヅマだ。振り下ろした長剣が首の半ばまで達し、あっさりと巨体が粒子化する。

「お、いい感じ?」

「反則攻撃も悪くないな」

 アヅマがニヤリと歯を見せる。





 更に進むと、少し大きめのティラノ型が現れた。

 体高、2.5メートル。目つきが悪い。全身が黒っぽくなり、頭部がイガイガしている。いや、尻尾もイガイガしてるな。あんなので殴られたくないものだ。

 ここまで来ると、他のパーティも少ない。どう見ても、初心者向けじゃないしな。

 ノソリと動く巨体。

 アヅマが飛び出すと左足に斬りつけてから、素早く飛び退いた。

 太腿から血が噴き出し、動きが止まる黒ティラノ型。


 そこに、竜ヶ原さんのサンダーストライクが炸裂。

 黒ティラノ型が頭から火花を散らし、身体をぐらつかせる。

 更に俺のファイヤージャベリンが頭に命中し、その身体が粒子に変わる。

「ふぅ……」

 結果は完勝だが、敵のプレッシャーが凄い。あんなのに剣で挑める神経が分からない。


「ちょっと休憩しよう。お昼ぐらいだろ」

「そうね」

 壁際の、魔物も冒険者もいない辺りで腰を下ろす。

 身体よりも神経が疲れていたのが分かる。

 清水さんも索敵を休む為に、代役のゲコ太を呼び出す。


「良かった。ちゃんと復活したんだな」

「ええ、1日ぐらいで復活出来るみたいね」

「悪かったな、ゲコ太。サンドイッチ食べるか?」

 冗談で、銀河通販で買ったサンドイッチを差し出すと、いきなりビャンと舌が伸びて奪って行った。

「のわっ!」

「ありがとう。この子、何でも食べるから」


「そ、そうか」

 アヅマも面白がって唐揚げを見せると、やはり舌が伸びて見事に持って行った。

 宮島さんと多摩さん、竜ヶ原さんには、いまいちウケは良くない様だ。

 まあ分からなくもないが、ちょっとずつ可愛く見え始めたのも事実だ。

 ゲコ太が見張りをしてくれてる間に軽く食事を済ませ、食後のコーヒーを飲む。やはり、文化的な生活は良い。


 ついでに、トリケラ型と黒ティラノ型の魔石を、腕輪に吸収させてみる。

 トリケラ型、魔石1個で1万ポイント。黒ティラノ型、2万5千ポイント。

「これは、十分に風呂もいけそうだな」

「そうね。楽しみだわ」

「男女別に二つ買っても良いな」

 と言うか、一つだけなら、確実に女性陣に占領されるのが目に見えている。





 休憩を終えると、俺たちはまた進み始めた。

 今日は、ダンジョンの中で一泊する予定なのだ。あと半日、進めるだけ進んでみる。

 やがて、他の冒険者の姿がまるで見えなくなり、代わりと言っては何だが、黒ティラノ型がウロウロするエリアにやって来た。視界内に7〜8体も見える。

「これは、1体やってる間に、確実に他のに見つかるな」

「大吉さん、この先に階段らしいのがあるわ」

「むう。じゃあ、ここを突破する必要があるのか」


「他のパーティも、こんな所を突破して行くのかしら?」

「下の階を目指す連中は、同時に協力して進んで行くのかも知れんなぁ」

 竜ヶ原さんの疑問に、俺なりの答えを返す。

「私たちは、どうするの?強行突破?」

 なぜか嬉しそうに、竜ヶ原さんが言う。


「それしか、ねぇだろ」

 物騒な意見の好きなアヅマが、すかさず賛成する。

「私、頑張ります」

 防御魔法の多摩さんも、明らかに自分の見せ場が増えると喜んでいる。

「あたしも、頑張ります」

 治癒魔法の宮島さんは、あんまり頑張る事がない方を願おう。


「じゃあ、行くか。多摩さんには、頑張ってもらわないといけない。アヅマは、半ば遊撃的に頼む。清水さん、ゲコ太で敵のコントロールをお願い。俺と竜ヶ原さんは、全開で行く」

「了解!」

「分かったわ!」

「はい!」

 

 まずは清水さんがゲコ太を呼び出し、黒ティラノたちの間をピョンピョン跳ばせる。

 黒ティラノたちがゲコ太に注意を向けた途端、アヅマが飛び出して1体の首筋に剣を一閃させた。むろん、それだけで倒れる黒ティラノ型ではない。が、注意がアヅマにも向く。

「行くぞ」

 そこから俺と竜ヶ原さんの全開攻撃が始まった。

 肉弾戦にさえならなければ、黒ティラノ型と言えど、俺たちの敵ではないのだ。


 竜ヶ原さんのサンダーストライクを受けた黒ティラノ型は、1発で瀕死となる。

 俺のファイヤージャベリン5連発を受けた黒ティラノ型も、それで瀕死になる。

 そこにもう1発ジャベリンを撃ち込むか、アヅマが斬り込むかすれば、敵は倒れる。

 が、2体倒したところで、黒ティラノたちの意識がこちらを向いた。動きは遅いが、ドスドスと足音を立ててこちらに近づいて来る。

 それを阻むのは、多摩さんの防御魔法とアヅマの肉弾。


 またも俺の5連発ジャベリンと竜ヶ原さんのサンダーストライクが炸裂し、2体の黒ティラノが倒れる。

 残り3体。

 防御魔法とアヅマが1体ずつ押さえて。

 5連発ジャベリン。サンダーストライク。

 残りの1体が飛び出す。


 とっさに俺は剣を抜いて、黒ティラノ型の喉に剣先を突き込んだ。

 俺だって、肉体強化が常時7倍なのだ。これぐらい出来る。出来る筈だ。

「大吉さん!」

 竜ヶ原さんの悲鳴が聞こえた気がしたが、聞き間違いだろう。

 ガチガチと大顎を鳴らしながら、黒ティラノ型が傷口が広がるのも構わずに、身体を押し込んで来る。

 ヤバい、ヤバい。


 と、横からアヅマの剣が黒ティラノ型の脇腹に突き込まれた。

 身体がくの字になる黒ティラノ型。さすが、アヅマのパワーは凄い。

「2人とも、退いて!」

 竜ヶ原さんの声に、俺とアヅマは剣から手を離し、一気に飛び退いた。

 間髪入れず、そこに炸裂するサンダーストライク。


 最後の黒ティラノ型が粒子化する。

 地面に落ちる俺とアヅマの剣。

 俺も思わず地面にへたり込んだ。思わずやってしまったが、やはり黒ティラノ型相手の肉弾戦は怖かった。

「大吉さん、死んだ?死んじゃった!?」

「生きてるよ、竜ヶ原さん」


「良かったー……」

 竜ヶ原さんもへたり込む。

「そんな簡単に殺してくれるなよ」

「だって……」

 あれ?竜ヶ原さん、べそをかいてないか?


「はいはい。悪いけど、また敵が湧く前に、階段だけ降りようか」

 清水さんの声に、多摩さんと宮島さんがドロップを集め始める。どうやら今回も、宮島さんの出番はなかったらしい。

 俺もなんとか立ち上がると、まだ座り込んだままの竜ヶ原さんに手を伸ばす。

「さあ、立てよ」

 竜ヶ原さんも、赤い目をしたまま、そっと俺の手を取った。




 


読んでいただいて、ありがとうございます。

こんなお話でも面白いと思って下さったら、『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にしてポイントを入れてもらえたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
アヅマさん、長剣を反則攻撃って。フォークや毒霧じゃないんだから。 ピンチを経てやっと大吉達の距離も少し縮まりましたか?
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