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保護惑星の魔石採集者  作者: あおおに


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16/23

恐竜ダンジョン

 俺たちは狩りを続けていた。

 金属人形のせいでだいぶ気持ちが萎えてはいたが、これで帰る訳にはいかない。俺たちには文化的な生活が必要で、その為には魔石が必要なのだ。

「ラプトル型、いたわよ」

 清水さんの索敵に引っかかった魔物を、いそいそと狩りに走る。なんせ、ダンジョンの浅い階層の為に、競争相手が多いのである。


「いた!今度は、俺の魔法を試す」

 俺は宣言すると、ファイヤージャベリンを飛ばした。

 炎の槍は狙いあやまたず、ラプトル型の胸に突き刺さった。グラリと身体が揺れるが、まだ倒れる気配のないラプトル型。すかさず、もう1発ファイヤージャベリンを発射。

 2発目が胸を貫き、今度こそラプトル型は地面に倒れた。


「ジャベリン2発か。まあ悪くない燃費かな」

 黒い粒子と化したラプトル型は、魔石を残しただけだった。が、この魔石がありがたい。クラス的には、大型イノシシのそれを超える感じだ。数百ポイントは、あると見た。

 次に現れたラプトル型は、竜ヶ原さんのサンダージャベリン2発で倒した。

 剣や槍だけで倒そうとすると、動きも素早いし、苦労するのだろうが、俺たちの様に中級魔法が使えれば、そう難しい相手ではない。


「でも、ガイアスが儲けたって言ってたのは、何が取れたんだろうなぁ?」

 アヅマがそう切り出した。

「そうだな。魔石や爪ばかり集めたって、そこまで儲からないよな」

「もっと、美味しい敵がいるんじゃないかしら?」

「宝箱を開けたとか?」

 皆、好き勝手に言う。


「まだまだ、ダンジョンについては知らない事だらけだからな。これから、美味しい事もあるんだろう」

 すでにヤバい目にはあっていたので、あくまで前向きな事だけを言っておいた。

「そうね。高価なドロップ品とかもあるかも知れないわね」

「その線が強いかな。まあ、期待しておこう」

 とか言ってると、清水さんが強そうな敵を見つけた。


 見た目は、小型のティラノサウルスだ。小型と言っても、身長はアヅマより高い。2メートル近くある。

 頭部が異様に大きく、その大顎には、サメの様な歯がびっしりと生えている。やはり、前脚は小さい。

「よしっ、俺が行く」

 アヅマが、またタイマンでやる気だ。

「本気か?あんなのと肉弾戦って正気とは思えんぞ」

「データは必要だろ?」

「自分が戦いたいだけだろ」


「へっ!」

 アヅマは走り出すと、いきなり跳んだ。

 ラプトル型に比べて動きが遅いと見たのだろう。ドロップキックだ。

 ティラノ型の大きな頭部に、地面と並行になったアヅマの巨体が炸裂した。大きくよろけるティラノ型。

「うらぁっ!」

 すぐに飛び起きると、よろけるティラノ型に拳の雨を降らせるアヅマ。

 うわっ、殴るだけで痛そうなんだけど。


 ティラノ型が、たまらず身体をよじる。がら空きになる後頭部。アヅマが渾身の一撃を叩き込もうと……。その横っ腹を、ティラノ型のぶっとい尻尾が跳ね飛ばした。

「げふっ!」

 くの字になって吹っ飛ぶアヅマ。

「アヅマ!!」

 俺がファイヤージャベリンを撃とうとすると、アヅマが凄い勢いで立ち上がり、ティラノ型に組みついた。


 おい、今のでダウンしないのか。

 しかし、組みついたのは失敗だった。ティラノ型がアヅマの右肩をガブリと噛んだのだ。

 アヅマには、光る防護膜がある。あるが、ティラノ型の噛む力がとんでもなく強そうに見える。

 ミリミリミリッと何かが軋む音が、辺りに響く。

「おい、アヅマ!?」

「すまん、救援頼む!」


 アヅマが白旗を上げた途端、竜ヶ原さんの上級魔法、サンダーストライクがティラノ型の尻尾に炸裂した。一撃で尻尾が千切れ飛び、思わずアヅマの肩から顎を外すティラノ型。その頭部に、俺のファイヤージャベリンが命中。続いて、竜ヶ原さんのサンダージャベリンも命中。

 倒れる前に、ティラノ型が黒い粒子と化す。

 コロンと落ちる、明らかに大きな魔石。


「アヅマさん、生きてます!?」

 治癒魔法使いの宮島さんが、大慌てでアヅマに駆け寄る。

「大丈夫、大丈夫。早めに助けてもらったから、肩も怪我してないし」

「お腹は?尻尾にバチーンってされたお腹は?」

「ああ、こっちはちょっと痛いかもな」


 アヅマがTシャツの裾をまくると、見事にムキムキにバキバキに割れた腹筋に、赤黒い痣がビターンと付いていた。

「い、痛そう……!」

「痛そうじゃなくて、早く治癒魔法かけてあげてよ」

 怪我を見て引く宮島さんの背中を、清水さんが叩く。普段、冗談ばかり言っている清水さんも心配そうだ。


「あう。治癒魔法かけまーす」

 宮島さんの手から、淡い光がアヅマの痣に照射される。

 すると……。

「おお、凄い」

 瞬く間に痣が消えていくではないか。

「痛くなくなった!」


「良かった。ちゃんと効いた」

「そう言えば、宮島の治癒魔法、初披露だったわね」

「うん。だから、ちゃんと効くか心配で」

「大丈夫。ばっちり効いてくれたよ」

 アヅマが親指を立てる。

「私の出番だけない……」

 防御魔法使いの多摩さんが、ボソリとつぶやいた。





 とりあえずその日は、それをきっかけにダンジョンを出た。

 他の冒険者たちもテントを立てている広場に、俺たちもテントを立てる。このテントも、魔石で交換した、銀河文明の簡易式ではあるが十分に高機能なテントだ。見かけは4〜5人分の大きさだが、中身は10人ぐらいが楽に過ごせる広さがある。さすがにシャワーやトイレは付いてないが、俺たち全員で寛ぐには問題ない。

 テントの中に落ち着くと、早速魔石を腕輪に吸収させる作業に入る。

 誰がやっても良いのだが、俺の腕輪でやる事になった。


 まず、ラプトル型。1個、1000ポイント!

 アヅマと狩った子牛程のイノシシが100ポイントだった事を思えば、これは破格の数字だ。

 続いて、ティラノ型。1個、3000ポイント!

 オークよりも高い!

 さすがに手強い相手が出て来るだけの事はある。

「これは、儲かるな」

「本当ね。これは、アレが買えるんじゃない?」


「アレ?」

「お風呂よ、お風呂」

「ああ、なるほど」

「折りたたみ式の簡易的なお風呂でも良いかと思ったけど、こんなに儲かるなら、アクリルとかのちゃんとしたのが買えるんじゃない?」


 俺は腕輪でバスタブを検索してみた。

 折りたたみ式だと、安いのが5000ポイントぐらいであるが、アクリル製や木製は10万ポイントぐらいになっている。

 今日、試しに数時間やっただけで5000ポイント稼げた事を思えば、10万ポイントぐらい、簡単……か?

「ちょっと悩ましい数字だけど、狙ってみるのは良いかもな」


「タグマンには、お風呂はなかったの?」

 清水さんが聞いてくる。

「うん。俺の知る限りは、なかったなぁ。宿屋にも、娼館にも……」

「娼館?」

 竜ヶ原さんが、やけに平板な声を出した。なぜか、背筋が冷えた。


「大吉、娼館なんか行ったのか、やるなぁ」

 アヅマがヤバい乗り方をして来る。

 これは、マズい。なぜか、マズい事だけは分かった。

「いや、これは黙ってるつもりだったんだが……」

「へえー」

 竜ヶ原さんが怖い。なぜだか、とても怖い。


「……浜部氏と橋元氏が、娼館に入り浸りになっちゃってさ」

 ごめん。2人には、犠牲になってもらう。

「え、あのオッサンたちが?」

 アヅマ、俺たちも十分にオッサンだぞ。

「ああ。だから、こっちに戻って来る前に、わざわざ娼館まで浜部氏に会いに行ったんだよ」

「わあ、信じられない、あのハゲ親父」

 清水さんも、口が悪い。


「え、もしかして、帰って来なかったっていうのは、娼館に入り浸ってるから?」

「そう」

「高校生たちには、さすがに言えない話ね」

 竜ヶ原さんの矛先が、明らかに浜部氏に向いた。

「じゃあ、もう帰って来なくていいね、あの人たちは」

「ははは……」


 レオーネちゃん、俺はもう君に会えそうにないや。

 

読んでいただいて、ありがとうございます。

こんなお話でも面白いと思って下さったら、『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にしてポイントを入れてもらえたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
自爆スイッチを教頭に素早く差し替える妙技。大人しく竜ヶ原さんとくっつけばいいのに。
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