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保護惑星の魔石採集者  作者: あおおに


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15/23

古代遺跡ダンジョン

 一日半かけて、俺たちはダンジョンに到着した。

 俺たちの拠点から見ると、大きな岩山を挟んで反対側になっていて、知らなければなかなか到達出来そうにない場所だった。

 ダンジョンの入り口周りには露店が立ち並び、ちょっとしたキャンプ地の様になっている。

 俺はともかく、他のメンツは、こんな大人数の現地人を見るのは初めてだ。かなり物珍しそうにしている。


 露店では、ダンジョンアタックに必要そうな物と、ダンジョンから出た物とが売られていた。

 干し肉やビスケットが、ずいぶん高い値段で売られている。

 森でイノシシとかを狩って、ここで調理して売れば、良い儲けになるかも知れない。実際、そうやって儲けている者も少なからずいる様に見える。

 それより、高校生の鑑定持ちを連れて来て、露店で掘り出し物を見つけさせれば……。いかんいかん、今はダンジョンの探索だ。


 他にもポーションの類や、予備の武器も売ってるし、ダンジョン産の物品の買い取りもやっている。

 治療所もあれば、簡易な宿屋や食堂もある。

 それらしい商売の女性の姿さえある。

 ここは、小さな街になっている様だ。


 と、いきなり知ってる顔を見つけた。

 なんとまた、ガイアスだ。

 相変わらずの薄汚れた革鎧姿だが、やけに機嫌の好さそうな調子でダンジョンから出て来た。

 ヒラヒラと手を振ってみせると、ギョッとした表情に変わる。後ろのパーティ仲間に何か言ってから、俺の所に近づいて来る。


「悪い悪い、驚かす気はなかったんだ。ただ、こんなトコで見かけたものでさ」

「いや、構わん。ここに潜るのか?」

「ああ。その気だ。あんたたちは、上手く儲けた雰囲気だな」

「お、おぅ。ちょっと調子が良くてな」

 ガイアスがニヤッと笑う。


「それは良かった。で、そんなベテランから見て、俺たち駆け出しに助言出来る様な事ってあるか?」

「そうだな。……金属人形のいる部屋の話は知っているか?」

「金属人形?いや、聞いた事ないな」

「たまに、昨日まで何もなかった場所に出来る部屋があってな」

「ほうほう」

「そんな中に金属の人形がいたら、絶対に部屋に入ろうとするな」


「なんでだ?」

「奴ら、異常に強い。もう挑戦するとかいうレベルにないぐらいに強い。必ず、命を落とす」

「そんなにか?」

「これまで、仕掛けた腕自慢が何人もいるが、1人も助からなかった」

「うわぁ……」

「始末が悪いのは、奴らのいる部屋には、明らかにお宝と分かる物があるって事だ」


「金塊みたいな?」

「そういうのもある。魔剣の類とか、鎧とかもある。でも、どんなお宝が見えても、絶対に手を出すな」

「うう、分かった。ありがとう。知らなきゃ、絶対に手を出してたよ」

「いくら、あんたらが腕に自信があろうと、あれは無理だ。じゃあな、確かに忠告したぞ」

「ああ、あんたたちも気をつけてな」

 ガイアスはそう言うと、手も振らずに去って行った。


 まさかガイアスからまともな助言が聞けるとは思わなかったが、それは周囲の冒険者たちも同じ様で、「おい、ガイアスが助言してたぞ。誰だ、あいつら」って声がいくつも聞こえた。

「大吉さん、いつの間にあの男を手懐けたのよ?」

 竜ヶ原さんも驚いていた。

「タグマンでもちょっと顔を合わせてな、銀貨一枚奢ってやったんだけど……」

「そんなもので、あんなに素直になるの?」

「ねえ……」


 でも、良い話が聞けた。

 突然現れる部屋なんて、ウルスの話にもなかった。かなりレアなケースなのだろう。知らなきゃ、絶対に引っかかる。

「じゃ、今の話も踏まえて、ちょっと潜ってみるか?」

「ああ」と、嬉しそうにアヅマ。

 CAさんたちも、やる気十分だ。


 石組みの門をくぐると、いきなり空気が変わった。森の中の湿度の高い空気が、急に乾いた古臭い匂いのする物に入れ替わったのだ。

「これは……」

 後ろを振り返ると、確かに外の光景は見えるが、どこか薄皮一枚をかました様な非現実感をまとっている。

「……面白い!」





 中も石組みの床に石組みの柱が並んでいて、多くの冒険者が行き交っている。数人がかりで魔物と戦っているパーティも見える。

「外から見た印象より、広いわね」

「私たちのテントと同じで空間拡張されてるんじゃない?」

 清水さんと竜ヶ原さんの言葉の通り、中はずいぶん広かった。

「マップは平気か?」

 腕輪の通販システムで見つけたオートマッピング機能を、回復役の宮島さんの腕輪にダウンロードしたのだ。

「今のところ、大丈夫です」

「よし、進もう」


 今回、マッピング機能を初めてダウンロードしたが、腕輪には色んな機能が追加出来るらしい。それこそ、スマホの様にだ。もちろん、通話機能もある様だ。これからバンバン魔石を取って、バンバン便利な機能を追加せねばならない。

「前から、何か来るわ。初めての気配」

 清水さんの声に、アヅマがスッと前に出る。

 姿を現したのは、人間大の青黒い肌の恐竜───ラプトル型の魔物だ。先程、他のパーティが戦っていた魔物である。


「まず、タメでやらせてくれ」

 アヅマが物騒な事を言い出すが、相手の強さを見るには、その方が分かりやすいのも確かだ。

「無理するなよ」

「おう!」

 身体に光を纏うと、アヅマがスルスルと前に出る。


 ラプトルが鋭い爪のついた腕を振るう。

 アヅマは、その攻撃を正面から受けた。プロレスラーのせい?相手の力を図る為だよな?

 ラプトルの攻撃は、アヅマの防護膜を破れなかった様だ。

 爪を弾いた途端、アヅマがラプトルの頭を掴み、強引に投げた。背中から石畳に叩きつけられるラプトル。

「ぎゃうん!」


 その喉元に、アヅマの足が踏み降ろされる。

 ボキリッ!

 不快な音とともに砕けるラプトルの頸骨。いや、そんな簡単に?

 ラプトルの身体は黒い粒子となり、消え去った。

 残ったのは、青黒い魔石とラプトルの爪が数本。

 そう。ダンジョンの魔物は、倒すと消えてしまうのである。解体をしなくて良いのは助かるが、肉が当たり前に手に入らないので、補給が難しいのだ。


 まあ、俺たちは魔石さえ手に入るなら、食べ物は通販で手に入れられるから、補給の心配はない訳だけど。

「アヅマ、大丈夫か?」

「ああ、この程度ならタメでも何とかなるな」

「お前、新しい敵を見つける度にタイマンする気じゃなかろうな?」

「……」

「おい、こっち見ろ」


「ねえ、あれ……」

 不意に、防御魔法使いの多摩さんが緊張した声を上げる。

 その指差す方向には、石組みの壁にぽっかり開いた部屋があった。

「うそっ、さっきまであんな部屋なかったわよ」

 索敵役の清水さんが狼狽える。


 十何畳かの広さの部屋の中には、口の開いた宝箱が置かれていて、中には金貨や宝石が詰まっていた。

 そして、そのそばに立っているのは、女性を模した金属の人形が3体。

「これか、ガイアスの言ってたのは。いきなり、出くわすとはな」

 まさか、俺たちの存在の異質さが、ダンジョンの防衛機構に反応したとか言うまいな。

「おかしい。さっきまで周りにいた冒険者が一人もいなくなってる」

「ファンタジーを通り越して、オカルトかよ」


「ね、ねえ、手を出さないわよね?」

 竜ヶ原さんが、いきなり俺の目をのぞき込んで来る。

「出さん!出さんが……このまま帰るのもな」

「ダメよ!手を出しちゃダメ!!」

「清水さん、あのカエルで試すって出来る?」


「え、ゲコ太に?」

「名前付けちゃったかー。じゃ、やめとくか。絶対助からないって話だし」

「いえ、ゲコ太なら、やられても時間を置けば復活出来るから」

「無理に宝石を取れっていうんじゃなく、あの人形の強さが見たい」

 そうしないと、タイマン特攻しそうなバカがいるし。

 清水さんも何かを察したのか、チラッとアヅマを見る。

「分かった。偵察だけね」


 俺たちはもう少し距離を取ってから、清水さんのカエル───ゲコ太を送り出した。

 体長50センチのアマガエルが、ピョンピョン跳んで行く。

 人形たちは、反応しない。

 しかし、ゲコ太が部屋の境を越えた瞬間、ヒュン!という音だけが聞こえた。

 次の瞬間、ゲコ太の身体はズタズタになり、部屋から蹴り出されていた。


「ゲ、ゲコちゃん!!」

 清水さんが悲痛な声を上げる。

 ゲコ太は一瞬にして白い粒子と化して、姿を消した。

 まさに瞬殺。

「今の、見えたか?」

「いえ、全然」


「アヅマは?」

「あいつらの両手が刃物になって、ゲコ太を切り刻んだ」

「すげえな、見えたのか。で、まさかやる気はないだろうな?」

「ああ、さすがに無理だ。殺される未来しか見えねぇ」

「清水さん、ゲコ太はゴメンな」

「……いえ、お役に立てたなら、良かったわ」

 そう言う清水さんの頬が白い。ホントに、ごめん。


「じゃ、ここは離れて、普通に魔石を取ろうぜ」

「お、おう」

「はい」

 俺たちは、そそくさと金属人形のいる部屋から離れた。すると、すぐに他の冒険者も姿を現し、例の部屋は清水さんの索敵に引っかからなくなった。


「今回は、ガイアスに助けられたな」

 俺はガイアスという男を少しだけ見直し、このダンジョンが一筋縄ではいかない所だと痛感するのであった。

 

読んでいただいて、ありがとうございます。

こんなお話でも面白いと思って下さったら、『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にしてポイントを入れてもらえたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
初見殺しですね。でも、最初は情けないやられ役かと思ってたおっさんに助けられて良かった。
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