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保護惑星の魔石採集者  作者: あおおに


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14/23

拠点にて

 拠点に戻ったら、ウルフに出迎えられた。

 ウルフである。魔物である。

 それが2頭、拠点の中にいたのだ。

 俺たちが拠点に帰り着くと、この2頭が真っ先に走って来て、尻尾を振りながら出迎えてくれたのだ。

 そう。高校生の1人にテイミング能力を持った女の子がいて、飼い慣らしたらしい。番犬代わりという話だが、初対面の俺たちに尻尾を振っている様では、番犬の役目を果たせていない。しかし、いざという時の戦力が増えるのは、望ましい話である。


 ちなみに、シルバーとブラックという名前らしい。

 確かに1頭は銀色の毛並みで、もう1頭は黒色の毛並みだ。

 ガシガシと首筋を撫でてやると、いっそう激しく尻尾を振ってくれた。

 今度は、ユキヒョウとかをテイミングしてもらいたい。俺は犬も好きだが、どちらかと言えば猫派なのだ。


 シルバーとブラックの次に出迎えてくれたのは、清水さんと竜ヶ原さんである。

「お帰りなさい。ずいぶんな荷物だけど、何か買って来てくれたの?あ、ウルスさんたちもいらっしゃい」

「適当に服やら食料やら買って来ましたよ」

「そう言えば、服が変わったわね。間久部くんは似合ってるわよ」

「俺は?」

「まあまあね」

「……」

 人間関係には、忖度ってやっぱり必要だと思う。


 俺が清水さんにやり込められて落ち込んでいると、珍しく竜ヶ原さんがフォローしてくれた。

「大吉さんも……似合ってるわよ」

「ありがとう!お世辞でも嬉しいよ!」

「え、お世辞じゃないのに」

 俺はちょっとだけ復活して、お土産を広げ始めた。間久部や芦屋くん、青山くんも背負っていたお土産を広げ始める。


「お土産を配るぞー!取り合いはするなよー!」

 服は、次に街に向かう者が着れる様に、別にしてある。配るのは、食べ物や玩具なんか、嗜好品の類だ。まだまだ皆は、腕輪の通販システムでも必需品をそろえるのが手一杯で、嗜好品を買えていないと考えたからだが、どうやら大当たりだったらしい。

 ちょっと甘めのお菓子なんか、高校生の女の子を中心に真っ先に持って行かれてしまった。

 辛めの酒のつまみも、意外と高校生受けが良かった。


「あいつら、魔石に余裕が出て来たら、酒ばかり買うんじゃなかろうな」

「高校生が飲むのは、禁止にしますか?」と、間久部。

「うーむ。その辺は、俺たちがとやかく言いたくないな。高校生たちで上手くやってくれると嬉しいんだが」

「ですね。街じゃ、14才ぐらいからアルコール解禁でしたしね」

「え、そうなの?」

 文化の違いと驚くと同時に、間久部の情報収集能力に驚いてしまう俺。


「お前、前職は諜報機関か何か?」

「いえ、ただの営業職ですよ」

「営業成績、良かったんだろうなあ」

「そこそこでしたよ」

「そこで、そこそこなんて言える奴は、あんまりいないよ」


 なんて話をしていたら、だいたいお土産ははけてしまった。

「それより、竜ヶ原さんに、ちゃんと渡すんですよ?」

「え?ああ、やっぱりか?」

「当たり前です!ちゃんと、君の為に選んだとか言うんですからね!」

「お前、それは難易度高いぞ」

「さ、早く!」

「……」


 清水さんと話をしてる竜ヶ原さんに目を向ける。

 スラリとした美人さんだ。

 背中の真ん中辺りまで伸ばされたストレートの黒髪は艶々としていて、肌は白くて透明感抜群。ちょっとふっくらとした唇は紅く、切れ長の大きな目が……。って、今更ながら、凄い美人だな。

 俺が変に見つめるものだから、竜ヶ原さんが気づいて寄って来てしまった。

「どうしたの?何か用?」


 視界の端っこで、間久部がニヤつきながら離れて行くのが見える。

「いや、えーと、その……な」

 とりあえず、ポケットからブローチを取り出す。

「?」

「……竜ヶ原さんに似合いそうな気がして、さ」

「え?」


「ブローチ……」

 俺は竜ヶ原さんの細くて柔らかな手を取ると、その手のひらにブローチを置いた。

「え、え?」

 竜ヶ原さんが呆ける。そりゃ、いきなりこんなオッサンからブローチをプレゼントされたら、そうなるだろう。


「イヤならしょうがないけどさ……」

「ううん、イヤじゃない!」

「ホントに?」

「嬉しい!ありがとう!」

 にっこりと笑う竜ヶ原さん。

 美人のとびっきりの笑顔は、インパクト極大だ。なんか、グラッときた。


 竜ヶ原さんは胸の辺りにブローチを着けてくれた。

「どう?」

「に、似合う。美人は何でも似合う」

「もうっ!」

 竜ヶ原さんがデレた。あの、いつも怖い目を俺に向けていた竜ヶ原さんが。

 間久部、恐るべし。さすが、敏腕営業マンだ。


 竜ヶ原さんはスキップを踏む様に、清水さんのところへ帰って行った。

 早速、清水さんにブローチの報告をしているのが見える。清水さんが優しげな目をこちらに向ける。

 どうやら、保護者様の心象も良くなったらしい。

 よし。ミッション・クリアだ。

 後はダンジョンの……。そうだ、ダンジョンの話をしないと。






 夕方になってアヅマや榊原も狩りから帰って来たので、夕食を囲みながら、ダンジョンの話を持ち出した。

「ああ、古代の遺跡だな。俺たちも何回か行った事があるぜ」

 すると、ウルスが情報を提供してくれた。

「あそこじゃ、同じゴブリンを倒しても、外より良質な魔石を落としてくれるんだ。ゴブリン程度じゃ、あまり値段は変わらないけどな、大きな獲物の魔石ほど値段が違って来るぜ」


「じゃ、けっこう競争率も高いんじゃないのか?」

「浅い階層は、そうだな。けっこうな数のパーティがいる。でも、ちょっと深い階層になったら、ほとんど競争相手はいなくなる」

「どうしてだ?」

「補給の問題だ。水は魔法で出すとしても、食い物は街から持って行かないとならないからな、そう何日も潜ってられないんだよ」


「なるほど」

 頷いてみせながら、俺は腕輪の通販システムを使えば、補給の心配はなくなる事に気がついていた。これは、中の魔物さえ倒せるなら、本当に俺たち向けの案件だ。

「とりあえず、試しに潜ってみたい。アヅマ、頼めるか?」

「大吉は?」

「俺はもう一度街に戻らないと……」

「街は、俺が行きますよ」と、また良いところで間久部が言う。


「俺は戦うより、商売の方が向いてますからね。大吉さんは、ダンジョンに行って下さいよ」

「そうか?すまん。じゃ、タグマンの事は頼んだ。一応、浜部氏が無事かどうかも確認しといてくれ」

「ええ、もちろんですよ」

「じゃ、他に誰がダンジョンに行くかだが」

「はーい」

 清水さんと竜ヶ原さんが手を上げる。

「索敵役と魔法アタッカーは必要でしょ?」


「あとは、手堅く回復役と防御魔法を入れるか」

「じゃ、宮島と多摩ね。坂下は、タグマン行きに回すわ」

 宮島さんは回復魔法、多摩さんは防御魔法使いだ。坂下さんは、バッファーだった筈。

 ここに物理アタッカー兼盾役のアヅマと、器用貧乏な俺が入って、6人編成となる。とりあえず様子見だし、これで良いだろう。


 タグマンへ向かうのは、間久部と坂下さん、数人のCAさんと高校生となる。高校生の中には志堂くんたちがいる。

 女性が多いし、高校生たちも混じってるし、本当なら俺が付いて行きたいし、アヅマあたりも同行させたいぐらいだが、護衛役のウルスたちが心配するなと言うし、間久部も平気そうだし、ここは信用するとしよう。

 今回は、食器や手鏡なんかを持ち込む予定だ。タグマンにも鏡はあるにはあった(娼館とかにね)が、歪みや曇りが酷い物だった。歪みも曇りもない鏡は、良い売り物になるだろう。イゼール氏も、喜んでくれるに違いない。


 翌朝、ダンジョンに向かう俺たちと、タグマンに向かう間久部たちは、拠点の前で二手に分かれて出発した。

 

読んでいただいて、ありがとうございます。

こんなお話でも面白いと思って下さったら、『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』にしてポイントを入れてもらえたら嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
今更ながら、高校生も逞しいけど、CA達の有能さがスゴい‼ 日本でも諜報部隊とかに所属してたの?と言いたくなります。アズマ氏だけが突出する必要がなくて良かった。
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