遠足3
カヌーの時間が終わった。浜辺を見ていると、エルフ三人組に声をかけている普通科の生徒がいた。
青春だなーと思って見守るが、お眼鏡にかなわなかったみたいで、連絡先の交換は断られていた。ご愁傷さまです。
少しの自由時間が過ぎ、解散の時間となった。
学年主任の先生が気を付けて帰るように指示している。まっすぐ帰る生徒のほうが少ないのだろう。きっと。見つからないように帰れよっと思いながら生徒たちを見送る。
「17時に中央駅の居酒屋、マーメイドに、村田で予約していますのでお集まりください。」
と言われいったん解散となった。
「水川先生、いったん帰られますか?帰るなら送りますが。」
「帰ります。よろしくお願いします。」
加瀬先生も帰るが、アン先生はこのままお買い物に行くそうだ。三人で車に乗り込む。
車の中では、疲れてもいたので、二人の会話をぼーと聞いていた。
「アレックス、俺最近変?」
「うん。」
「そんなあっさり。」
教員の仮面が取れた二人の会話は聞いててなぜかリラックスできた。
「や、だって変だよ。何かあったんだろうなーってわかる。」
「そっか。」
「相手は全く動じてないよな。」
「そうなんだよー。って」
と言いながら、後ろを振り向く。私の存在忘れてましたね。
「多分、気持ちには気付いてるのでお気遣いなくー」
「え!水川先生!」
「水川先生でなくてもバレバレ。むしろ温かく見守ってくれてる水川先生でよかったよ。」
「う・・・ありがとうございます。」
「いえいえ、応援してます。どうぞ、どうぞお二人でお話ししてください。」
「どうも。」
「で、どうするの?」
「どうしよう。」
「何もしなかったら、このまま笑顔で流されて終わりだね。」
「俺もそう思う。」
「悪い人ではないよ。ただどうあがいてもかなわない相手なだけだよ。」
「ですよね。」
「どうにか行動すれば受け入れてくれるんじゃない?」
「うん。行動してみる。」
おおー行動するんだ。楽しみだなあ。
加瀬先生が降り、しばらくして、私も降りた。
「ありがとうございました。また後ほど。」
「はい。また後ほど。」
飲み会に行くのが楽しみだ。
急いでシャワーを浴びて着替えて用意をする。いつもより少しだけ濃いめに化粧をしてみた。何してるんだろ。仕事の飲み会は仕事。頭によぎったあの人の笑顔を今日も仕事仕事と唱えながら封じ込める。
仕事仕事と言いながら、髪の毛は念入りに梳かし、服もいつもより明るいものを選ぶ。少しでも打ち解けられたらいいなと思ってしまうのを抑えられない。いつもより少しだけをいっぱい詰めて家を後にした。
読んでくださってありがとうございます。




