電車でおでかけ3・遠足会議
アン先生とアレックス先生が生徒たちに連絡事項を話している間に、副担任の私たちは、先に学校へ帰る。学校に着いた子たちに感想用紙を配る役割だ。
加瀬先生と他愛ない話をしながら電車に乗り、瑞穂高校のある瑞穂駅に着いた。
改札を出ると、左上が自然に持ち上がった。いや、モフモフしたなにかに左上を持ち上げられたと言った方がいいだろう。左わき腹よりしたも毛皮に包まれる感触がある。
「ジン?」
小声で問うと、後ろから風が起こった。尻尾でも振ったのだろうか。しばらくもふもふと左腕を動かし、頭と思われる部分を撫でていると
「水川先生?」
と加瀬先生に不思議そうに見られた。ジンがそっと離れていったのが分かった。
「いえ、学校に帰りましょうか。」
学校に着き、感想用紙を持って教室へ向かう。そうすると、何人かちらほらと帰ってきだした。感想用紙を提出すれば、今日の課題は合格だ。アレックス先生が来るのを待ち交代し、職員室へ帰る。
A組の前を通りかかると、アン先生が話しているのを熱い視線で見つめる加瀬先生がいた。人の恋路を見るのは好きだ。幸せになってくれると嬉しい。これからも見守りつつこっそり楽しませてもらおうと口元がニヤニヤするのを抑えながら職員室へ向かった。
「「お疲れさまでした。」」
アン先生とアレックス先生が職員室に帰ってきた。
「お疲れ様です。」
「来週の遠足の会議をします。」
そう言って、アン先生が資料を配る。10時海浜公園駅集合、BBQをするそうだ。瑞穂高校の遠足は春と秋にあり、春はBBQ、秋は大学見学と市街地散策だそうだ。
BBQの用意は他クラスは予算を配り、生徒が買ってくるそうだが、留学生クラスは、教員が準備するそうだ。お菓子代300円だけ渡されて各自自由に買いに行くらしい。
教員は8時30分に学校裏の駐車場に集合となった。
遠足での役割分担を決める。集合・指揮は普通科の学年主任の先生が行う。普通科の生徒は6人一組で行動班を作っているので、留学生科もクラス別の行動でいいだろうということだ。BBQのあとは、カヌーやカヤックなどのマリンスポーツを楽しむことができそうだ。
私の役割は前日に、アレックス先生とお肉を買いにいくだけだった。
「よろしくお願いします。」
「こちらこそ。」
挨拶は大事だ。
「当日の魔法の使用はどうしますか?」
「そうね・・・。普通科の生徒が危険に巻き込まれてはいけないので、いつも通りにしましょう。でも、姿を消して木の上で休むなど、集団行動を乱すのはダメと釘を刺しておきましょうね。」
「はい」
何点か確認した後、
「遠足のあとは、学年で飲み会があります。みなさん出席でよろしいですか?」
加瀬先生が言う。学年は知らない先生ばかりで緊張するが、出席することにした。
遠足の会議のあとは、今日の感想用紙を回し読みする。みんな電車を楽しめたようだ。遠足の日の乗車に自信のない子も当日は誰かと一緒に行くようにするようだ。
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