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電車でおでかけ

日々の業務に追われる日々が続いていた。といっても特殊な留学生科イベントがまたやってくる。来週には遠足が控えていて、その学年で行く上に現地集合だ。瑞穂高校は進学校。普通なら電車に乗って現地集合でも誰一人遅れることなく到着するはずだ。電車のない異世界から来ない限りは。

そう。留学生科の生徒たちは電車に乗ったことがないのである。

今日は、電車に乗る練習をする日だ。

切符の買い方も一応学んだが、今時切符を買う若者も少ないであろうという政府からの配慮により、生徒たちには交通系ICカードが支給された。彼らには、日本のことを良く知ってほしいという思いにより、このカードさえ使えば、電車乗り放題だそうだ。新幹線などは除くらしいが。それでは何の練習をするのかというと、ただ単に電車を乗る練習らしい。

「今日は、来週の遠足に備えて電車に乗る練習をします。ICカードを配りますのですぐに名前を書いてください。絶対に無くさないようにしてくださいね。電車はみなさん映像で見たことあると思いますが、日本にはたくさんあります。行きたい場所とどのルートで行くか、よく確認してくださいね。今日は城跡公園まで行きます。各自スマホで城跡公園への乗り換えルートを調べ、紙に書いてください。」

それぞれがスマホで調べているのを見守る。そんな中、ランスだけが、ぼーとしていたが、確認する5分前にいきなり書き始めた。

―漢字がわからない―

急に頭にこの言葉が響いた。

「ランス!!!」

「???」

「テレバシーは使うな!」

今のがテレパシーか。なんと急に書き出したと思っていたのはテレバシーで答えを聞いていたらしい。

「失敗した。レオがひらがなで伝えてくるから焦っちゃって。」

「自分でやれ。あと、今日黒板掃除な。」

「ははは」

「レオもだ。」

「はーい」

レオは完全に巻き込まれているが、素直に掃除をするようだ。


一時間目が終わると、出発の準備をする。今日は城跡公園でお弁当を食べる。16人で移動するとちょっと多い気がするので、クラスに分かれて移動することにした。A組が先に出発して、B組が出発する。アレックス先生が前に立ち、私は後ろからついていくことになった。

「これが改札機だ。ICのマークがついている機会を使うこと。」

生徒たちは初めての駅や電車なので、アレックス先生の話を真剣に聞いている。

「電車の方向を確認するんだ。城跡公園に行くためには、まずどこに行くんだ?」

「中央駅です。」

「中央駅に行く電車はどっち?」

「こっちです。」

「正解。じゃあこっちに乗るぞ。」

真剣なみんながかわいいなと思いついていった。

電車に乗るのが初めての生徒たちは窓からの景色に釘付けだ。いろいろなものに興味があるらしく、あれは?これは?とお互いに指さしあっている。


中央駅に着いた。中央駅では乗り換えをしなければならない。上にある標識を見て正しい電車の駅まで行かないといけない。

「環状線、環状線・・・」

「あった!」

リックが見つけた。

「リックやるじゃん。」

一番に見つけたリックを誉めながら、乗り換えのホームに向かう。ここでもまた停車駅を確認して乗り込む。楽しそうだ。ほほえましいなあ。電車に乗る新鮮な気持ちなんて覚えてないなあと思いながら見守った。


「城跡公園前駅ー、城跡公園前駅ー、」

到着を知らせるアナウンスが鳴り、電車から降りた。さあ、あとは改札を抜けるだけだ。どの改札が一番近いかな。わかるかな。

「改札だ!!」

「待って、ここにどの改札から出たらいいか書いてあるよ。」

エレインが気付いたようだ。6人みんなで看板をのぞき込む。

「3番だって。3番はどっち?」

「あっちかな?」

最初とは逆の改札から出ることにしたようだ。ニヤニヤしないように必死だ。一生懸命な生徒たちはとてもかわいかった。


「水川先生、顔に出てますよ。」

「え!?」

「嘘ですよ。」

「もーからかわないでくださいよ。」

「かわいいでしょ?」

「はい。一生懸命でとてもかわいいです。」

アレックス先生と笑いあいながら、城跡公園に向かう生徒たちの後ろを歩いた。


読んでくださってありがとうございます。

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