リヒトとアーシェ
ぶらぶらと夕方まで街を歩き宿へと戻る。夕食どきのためか一階の食堂は宿泊客で溢れていた。その中にアーシェ達三人を見つける。すでに椅子に座って俺の帰りを待っていた様子だ。
「おかえりなさい」
「ミツハル様!どこに行ってたんですかぁ!?出掛けるならボクも一緒に連れて行ってくださいよぉ」
「遅いよお兄ちゃん!ミーニャお腹ペコペコだよー」
「待たせてわるいな。少し散歩してきたんだ」
椅子に座った俺にアーシェが「ここでは開けないでくださいね」と小声で話し袋に入った何かを渡してくる。
「あー!いいなー。食べ物でしょ!?」
「アーシェさん。まさか抜け駆けですか!?」
「いえいえ、これは鍛錬のために借りていた重いメイスです。食べれませんし、もらっても嬉しくないものですよ?大変参考になりました。ありがとうミツハル」
アーシェが珍しく嘘をついている。表情も晴れやかだ。リヒトが上手くアドバイスしてくれたのかもしれない。年頃の男としては何を話したのか気になるところだが。
『それは内緒です。それと、アーシェさん以外には僕がいる事を秘密にしてください。このワンドも目に触れさせないようにお願いします』
『何だかわからないが、わかったよ』
夕食に俺とクリスはエールを頼むが、珍しくアーシェも葡萄酒を飲む。俺が帰ってきてからは笑顔も多く、可愛らしくみえた。
『迷宮に入る時は僕をアーシェさんに持たせてくれませんか?』
「重いし、別に構わないがどうしてだ?」
『あの女性と一緒にいたいと思いました』
「はい!?ま、まさか!?」
『僕はアーシェさんが気になるんです。こんな状態の僕ですが、彼女を護らせてください!』
まるで結婚を申し込みに来た男のようだ。「うちの娘はやれん!」などと返したいところだが、そんなことは言わない。
「わかった。力になってやってくれ。お前がいると心強いよ」
『ありがとう、ミツハル。それと、可能なら武器を頼んでいる方にこのメイスを形がわからないように加工してもらいたいんですが』
「頼んでみるよ。どうして誰にも見られちゃいけないんだ?」
『この魔石は本来、存在してはいけない禁忌の錬金術で造られています。見る人が見れば何が材料かわかってしまうでしょう。僕はこのワンドに殺された事になっていますから……そういう人達の目に触れるわけにはいかないんです』
「殺された!?」
『死んだのかどうかはまだハッキリしません。でも、これを造ったアイツは……ユリウスは僕を殺したつもりでいるはずです』
「ユリウス!お前をやったのはユリウスなのか!?」
『そうです。この人の魔石で造ったワンドで僕の精神を壊そうとしたのはユリウスです。アーシェさんから聞いたユリウスと同一人物だと思われます。ミツハル、僕と一緒に戦ってくれますか?』
「当たり前だろ。俺達でユリウスを倒してメトを救う!」
俺達は再び決意する。守りたい人達のためにユリウスを倒して龍の神子を解放するんだ。
「ところで、一緒にいたいならアーシェの部屋におけばいいんじゃないか?」
『周りは見えるんですよ!見えちゃうでしょ!?色々と』
あぁ……。甘酸っぱ!
カレーがおばあちゃんに食べられてましたorz
ただのチキンカツです。
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