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黄金のファフニール  作者: とっぴんぱらりのぷ〜
第3章 光を追って
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この世界に生きる

 ブリジットのオススメ亭に戻るとまだ陽は高く昼を少し過ぎた頃だった。

 食堂で軽い朝食を摂り、それぞれの部屋で休む。


 ベッドに横になり、何気なく部屋に転がっていたワンドに触れる。以前にロイからもらった物だ。


「やたら重いし、そろそろ捨てようかな……」


『やっと触ってくれましたね!捨てないでくださいよ!』


「おわっ!なんだ!?リヒトか!?」


 急に頭の中に声が響いた事に驚きワンドを床に落としてしまった。

 返事がない……。まさか、と思いワンドを拾うとリヒトの声が聞こえてくる。


『割れたらどうするんですか!?もっと大事に持ってください!』


「わかったって……。あまり叫ぶなよ。頭が痛くなる。お前はこのワンドの中にいるのか?」


『そういう事になりますね……。ちょっと色々あったみたいでこの中です」


「色々?なんだそれは?」


『すみませんが今は話すことができないんです』


「まぁ、いいさ。話したくなければ。ちょっと攻略で行き詰まってってさ……」


 コンコンと部屋の扉がノックされる。


「ミツハル。ちょっといいですか?」


 アーシェの声だ。


「あぁ。ちょっと待ってくれ」


 扉を開けるとアーシェが深刻な表情で立っていた。


「どうしたんだ?」


「少しお話しがあるのですが、大丈夫ですか?話し声が聞こえたのですが……」


「大丈夫だ。中に入るか?」


 アーシェが頷いたため部屋に招き入れ椅子を用意する。アーシェは椅子には座らずに立ったまま涙を流して話し出す。


「ミツハル……。私は皆さんの足を引っ張っているのではないでしょうか?皆さんが傷つくのをただ見ているだけしかできないんです。ミツハルやミーニャのように強い魔法も使えないしクリスさんの魔法にも敵いません。私はどうすれば強くなれるんですか!?誰かが傷ついたりするのは見たくないんです!ミツハル……教えて……」


 アーシェが青い双眸から涙を流し俺に教えを請う。俺はかける言葉も見つからずただ見つめる事しかできない。


『僕に話をさせてください』


 ワンドになってしまったリヒトをアーシェに渡す。


「これは?」


「この中にリヒトがいた。俺もさっき見つけたばかりなんだが、アーシェと話したいと言っているんだ」


「リヒトさんが?」


「わるいなアーシェ……。アーシェが誰よりも頑張って傷ついているのは知っているのに何も応えてやれなくてごめんな……。俺は少し外に出てる」


 リヒトの杖とアーシェを残し俺は部屋を出る。よくよく考えてみると攻略攻略と自分の事ばかりで、アーシェの事をちゃんと考えてやれてなかった。俺はファフニールの力で元の世界に帰る、ミーニャは強くなりたい、クリスはファフニールに会いたいという目的があるがアーシェは……ただ付き合わせているだけなのか?アーシェはどう思っているんだろう?聞いた事もない。何やってんだ俺は……。

 あまりにも自己中だった事に対して自己嫌悪に苛まれながら当て所もなくメトの街を歩く。どんよりした気分なのにも関わらず、ただ歩いているだけで色々なものが見えてくる。この世界の人々、街並み、生活。普段は目にしても見えてなかったものが目に入る。


「あぁ。みんなここで暮らしてるんだな……」


 それを思った瞬間、モヤモヤしたものが晴れた気がした。俺はこの世界の日影光晴だ。


 この世界を生きよう。


 仲間達の願いを叶えてやろう。


 一緒に生きていこう。


 元の世界なんてどうでもいい。






なんだかまた繋ぎばかりになっつあいました!?いつも読んでいただきありがとうございます!評価・感想などいただけると今日の晩御飯はチキンカツカレーにしちゃいます。というかします。今後もよろしくお願い申し上げます。

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