闇に蠢くもの
「行きます!土よ!大地は全てを創造し全てを破壊する!ボクの魔力を糧としその力を示せ!大地崩壊!」
クリスの手を突き出すと前方の床が割れ敵を次々と吞み込み押し潰していく。かなりの威力だ。四十五層のアンデット類には効果的な魔法のように見える。
「よし!逃げるぞ!」
俺達はひとしきり魔法を撃ってから後方の階段を駆け上がる。レベル上げには最適だがやられる敵にとってはテロみたいなもんだな。
クリスも入れて四人で迷宮に入るようになってから毎日同じ事を繰り返して今日で六回目になる。予定では明日には武器が完成するはずなので、受け取ったら本格的に攻略を開始する。
四十四層に到着し、そのままレベル上げをする。四十四層は堅いゴーレムが多いため効率は悪いが、ある程度の苦戦もしておかないといざという時に身体が動かなくなるかもしれないので慣れるためだ。
四十四層に入ってすぐに二体のゴーレムと遭遇し戦闘になる。
「くぅ……!やっぱり堅いな」
自分の倍程の高さのゴーレムに向かって跳躍し頭を素手で殴りつけるが僅かに砕くだけで致命的なダメージは与えられない。
素手で戦う練習をしているのだが、様々な種類の魔力を纏わせてもイマイチ効果が上がらない。
「はっ!」
アーシェはメイスを振るい少しずつゴーレムを削っていく。メイスの戦闘力も高いが、剣でも強そうに思える。
「土よ!大地の魔力よ!鋭き槍となり敵を貫け!アースランス!」
クリスの石の槍が一体のゴーレムに突き刺さり倒れる。物理系の魔法は割と効いている。
残った一体がミーニャに向けて腕を振り下ろす。ゴーレムの動きは速くないため避けるのは容易なはずなのだがミーニャが動かない。
「ダメだ!ミーニャ避けろ!」
走り出すが、間に合わない。直撃したかに思えたゴーレムの腕はミーニャには当たらずにすぐ横の地面をえぐる。飛び散った石がミーニャの身体を掠めて血を滲ませる。
それでもミーニャはゴーレムを見つめたまま動かないでいる。なぜかゴーレムは止まったまま動かない。ミーニャの側に駆け寄りゴーレムから引き離す。
「ミーニャ!大丈夫か!?」
「うん。大丈夫だよ!」
恐怖で放心状態なのかと思ったら意外にもミーニャは元気だった。
「避けなきゃダメだろう!怪我してるじゃないか!?」
「だって、当たらないと思ったんだもん。ごめんなさい」
止まったままだったゴーレムが轟音を立てて崩れる。何が致命傷だったのかは不明だが倒したようだ。
「次からはちゃんと避けろよ?アーシェ!ミーニャを治療してやってくれ」
「はい……。ごめんねミーニャちゃん。怪我させちゃったね」
アーシェは自分では前に出て傷だらけになるが、他人が傷つくのを嫌う。しばらく落ち込んでしまうのだ…。
毎日戦闘ばかりで疲労が溜まっているかもしれないな……。今日はこれで引き揚げる事にしたほうがいい。
「今日は戻ろう。帰ってゆっくり休んだほうがいいな」
そう言って四人で手を握り輪になる。ブリジットのオススメ亭を探し出し転移する。
名前:ミツハル・ヒカゲ
種族:人
出身地:ニホン
年齢:24
所属:北
適性:魔導剣士・二刀剣士・拳闘士
属性:光闇土風水火雷
ランク:10
Lv:68
体力:989/1250
魔力:1115/2788
腕力:1014/1223
敏捷:890/978
知力:688/720
名前:アシェル・アレクシス・ファルシュ・ロンデリオン
種族:人
出身地:ニール
年齢:16
所属:北
適性:神聖術士・メイサー
属性:光水
ランク:8
Lv:54
体力:187/421
魔力:98/733
腕力:80/389
敏捷:72/296
知力:772/802
名前:ミーニャ・トルバ
種族:獣人ネコ科
出身地:トーレス
年齢:12
所属:北
適性:狩人・風術士・錬金術士
属性:風
ランク:9
Lv:62
体力:660/668
魔力:1087/1105
腕力:530/532
敏捷:870/891
知力:429/429
名前:クリス・ウィンダー
種族:エルフ
出身地:深緑の森
年齢:16
適性:フェンサー
属性:風水土
ランク:3
Lv:48
体力:152/463
魔力:181/499
腕力:208/395
敏捷:202/485
知力:344/500
帰ってからカードを確認する。それぞれがレベルアップしている。現在のステータスを見るとアーシェの負担がすごい。この数値では身動きが取れなくなるレベルの低下だ。ミーニャに新しい適性が出ていたが、何か変わったか聞いても「わかんない」だそうだ。クリスのレベルも四十五層で十分にやれるだけ上がった。
今度こそは先に進まなくてはいけない。未だユリウスは何も仕掛けてはこないが、仕掛けてからでは遅いのだ。一刻も早く最下層までいかなくては……。
いつもお読みいただき感謝感謝でございます!評価や感想などいただけると喜んで走り回って雪だるまもつくっちゃうかもしれません。おじさんが独りで雪だるまつくってたらシュールですよね!




