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黄金のファフニール  作者: とっぴんぱらりのぷ〜
第3章 光を追って
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誤解

「「おかえりさない!」」


 場所を確認する前に見事なシンクロ率のラウマウに声をかけられる。目を開けるとボロギルドに立っていた。


「おはよう。ちょっとアダマンタイトを取りに来た。アーシェとミーニャは来てないな」


「はい。今日はお二人ともいらしてません」


 とラウ。


「お願いします!早くアレを減らして下さい。床が抜けそうになっています」


 とマウ。かなり深刻な様子だ。


 ラウと一緒に倉庫に行くと、床が歪んでミシミシと嫌な音を立てていた。


「勝手に売ってもいいからさ。売って建て替えしろよ……。マゴマゴしてたら父親の酒代に変わってしまうぞ?」


「うっ……。確かに……」


「また取りに来るかもしれないからな。あ、それとこの魔石を置いておいてくれ」


「新しい転移の魔石ですか?」


「あぁ。ちょっと新しい仲間が入ったからそいつの分だ。それとギルドも移籍するだろうからその時はよろしくな」


「登録は大歓迎です!」


 俺はギルドの倉庫に置いてあるアダマンタイトを持てるだけ持ってロイの雑貨屋に転移する。


「ガハハハハ。そりゃお前さんも難儀なやつだな!」


「笑い事じゃないですよぉ。ボクは真剣なんですから!」


 目を開けるとそこには外で待っていたはずのクリスとエルフ嫌いだと思っていたロイがお茶を飲んで楽しそうに会話をしていた。


「よぉ!早かったじゃねぇか!」


「あ、ミツハル様。おかえりなさい」


「なんだ?ドワーフとエルフは仲が悪かったんじゃないのか?」


「いや、店の前に黙って立たれても近所の目もあるしよ。店に入れてやろうとしたら、こいつ男だっていうじゃねぇか。俺はエルフの女は嫌いだけど男は別になんとも思っちゃいねぇ」


「だからっ!ボクは心は女の子なんですってばっ!」


「身体が男なら問題ねぇ!エルフにもこんなやつがいるとはな!ガハハハ」


「ひどい……」


「仲良くなれてよかったよ。で、これがアダマンタイトだ。まだまだ沢山あるからな」


 俺は手にしていたアダマンタイトをテーブルの上に置く。ロイはすぐさま鑑定を行う。


「こいつはスゲェ。混ざりものがねぇ本物のアダマンタイトの結晶じゃねぇか」


「それと、これがなんだかわかるか?」


 懐からケッツァーの魔石を取り出しロイに渡す。ケッツァーの魔石は赤みを帯びた普通の魔石とは異なり、オパールのように虹色に輝いている。


「なんだこれは……。魔石なのか?こんなの見たことねぇが、俺でもわかる。すげぇ魔力が詰まってる」


「こいつをはめ込んだ武器なんて作れたりするか?」


「あぁ。ミスリルやアダマンタイトは魔法の伝導率が高いんだ。たまにはめ込んで武器を作るやつもいるが、普通の魔石だと武器の素材を台無しにしてしまうんだが、こいつなら問題ねぇ」


「どうだ。作ってくれるか?」


 ロイは考え込むがクリスを見て笑う。


「ガハハハ!それにしてもおかしくてたまんねぇな。エルフに男女とは!引退して武器はつくらねぇつもりだったが、面白ぇもん見せてもらった礼だ。なんでもつくってやらぁ」


「面白くなんかありません!」


 クリスが抗議の声をあげるが、クリスのおかげで依頼を引き受けてもらえたんだな。詐欺エルフに感謝だ。

 ロイに作成依頼のリストを渡す。小太刀二本、魔石使用の大剣、短剣二本、メイスの他にクリス用にレイピアを追加しておいた。


「この二本の武器はなんだ?見たことねぇ形だがサーベルにしては短いな」


「それは俺のオリジナルで“刀”って武器だ。そのデザイン通りにつくってくれればいい」


「わかった。でも、すぐにはできねぇからな?七日ばかり待ってくれ」


 七日か……、長いな。その間にクリスのレベル上げでもするしかないか。


「よろしく頼む。代金はいくらだ?」


「代金はいらねぇ。そんかわりこれからもアダマンタイトを加工させてくれ。職人としちゃこんな幸せな事はねぇんだ」


「ありがとう。余った鉱石は売るなりして好きにしていいからな?金が必要なら言ってくれ」


 ロイと七日後という約束をしクリスと一緒に転移しようとする。


「クリス。手を握ってくれ」


「手を握るんですか?」


 クリスは頬を赤らめてもじもじする。やめてくれ!変な気分になると心の中で叫ぶ。


「兄さんはそっちもいけるクチなのか?」


「うるさい!変な想像をするな!」


 ロイに怒鳴りつけ目を閉じて北区ギルドに転移する。

読み終えたら評価や感想などいただけると嬉しさで踊り狂うかもしれません。執筆速度も1%くらい上がります!

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