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冒険者登録

 ゲイルさんの家を後にして、結局俺達は北区のギルドに戻ってきてしまった。またまた、ボロいギルド内に入るとさっきまで酔い潰れていた冒険者達がキチンとした出で立ちで立っていた。それぞれが防具を身につけ、精悍な顔立ちは、まるでどこかの国の騎士団のようにも見える。


「ガルドさん!」


「ギルド長!」


「マスター!」


 などと声がかかる。「あぁ」と神妙に返事を返すガルドは冒険者達を見まわしてラウに渡されたエールが注がれたジョッキを持つ。


「キツネは群れない!だが、家族は大切する。家族のために戦い、家族のために散る。勇敢に戦った兄弟、ゲイルに!!」


「「「ゲイルに!!」」」


 ガルドの号令で全員がジョッキを上に突き上げエールを飲み干す。


『仲間想いの良い人達ですね』


「あぁ……。そうだな」


 俺はアーシェとミーニャを見やる。すると二人共頷く。どうやら二人も気持ちは一緒のようだ。


「冒険者登録したいんだが?いいか?」


 近くにいたラウとマウに声かける。


「「はい!もちろんです!」」


 俺達はラウとマウに従い、冒険者登録をするため、カウンターへと移動した。ガルド他、赤いキツネのメンバー達はゲイルの昔話で泣いたり笑ったりしている。


「では、登録するためにご自身の名前と出身地、あと、年齢も教えてもらえますか?えっと、じゃぁ小さい順にあなたから!」


 右多めのラウがミーニャを指名する。


「嘘はつかないでくださいねー。たまに偽名とか使う人がいるんですけど、酷い事になるのでー」


 左多めのマウが警告する。


「ミーニャ・トルバです!トーレス村から来ました!十一歳です!」


 ミーニャが元気良く答えるとラウは金色の卵のようなものに何かを記入する。そして、ナイフを取り出した!


「はいー。よくできました。じゃぁ、ちょっとだけ痛いけど我慢できるかなー?利き手はどっちかな?」


 マウがナイフを受け取り、ミーニャが差し出した右手を取る。何をされるのかとミーニャは泣きそうだ。


「ちょっとごめんねー」


 マウがナイフの先でミーニャの手の平を浅く斬りつける。「いっ」と小さな悲鳴をあげるが、泣かずに耐える。


 斬りつけられた手の平から血が流れる。そこへ、すかさずラウが先程何かを書いた金色の卵のようなものを握らせる。


「握ったままでね。まだだよー」


 といい、今度はキャッシュカードより一回り大きいサイズの鈍い銀色のカードを取り出す。


 カードの上に卵を握った手を持っていく。


「じゃ、おもいっきり握り潰してください!」


「は、はい!」


 ミーニャが返事をして、卵を握り潰す。中から黄身と白身は飛び出さず、ゆっくりとドロッとした金色の液体がカードに零れ落ちる。


 金色の液体はカードの上を走り、文字のようなものを浮かばせる。あいにくと読めない。


「はい!よくできました!ミーニャちゃんの登録はこれで終わりです!」


 とラウがいい、マウはミーニャの手を開き詠唱を始める。


「水よ。水なる血は骨となり肉となる」


 マウの詠唱が終わるとミーニャは驚いた様子で「治ってる」と呟く。


『水の魔法ですね。光の奇跡の力とは違って、身体の再生能力を促進させて傷を治すんですよ!』


 ウンチクバカのリヒトが嬉しそうだ。


『聞こえてますよ!心の声が!』


「じゃぁ、次は胸の大きいお姉さんだね!」


 ラウの言葉についつい胸に視線がいく。確かにでかい。今まで泣き笑ってた赤いキツネのメンバー達も一斉にアーシェに注目する。ゲイル<巨乳のようだ。


『確かに大きいですよね』


 エロウンチク魔王のリヒトが嬉しそうだ。


『だから聞こえてますって!』


「わ、わたしは……」


 アーシェはしどろもどろになりながら、「普通です」とか言っている。


 ラウが先程と同じように卵を持ちスタンバイする。


「アシェ………………です」


 小声で聞き取れない。


「すみません。聞き取れませんでした。もう一度お願いします」


「アシェル・アレクシス・ファルシュ・ロンデリオンです……。出身はニールで、歳は十六になります。呼び方はアーシェで結構です」


 なんだ。アーシェは愛称だったのか?名前長いなー。


『アレクシスなのにロンデリオン?まさか……ですが……偽物?どういう意味ですか……』


 リヒトがいちいち反応するが、作業は進んでいく。


 ミーニャと同じように登録が終わる。


「最後は黒髪のお兄さんですね!」


 嘘をつけないという事は、俺は自分の名前とリヒトの名前、どっちがいいんだ!?どちらも嘘ではないが……。


「俺はミツハル・ヒカゲ。出身はニホンで二十四歳だ」


『大丈夫でしょうか?あ、ちなみに僕は十七歳ですよ!』


「出身はニホンと……。ニホンなんて地名ありましたっけ?あぁ、でもお兄さんはフォーリア地方っぽいので、あるのかもしれないですね。二十四歳には見えないですねー」


 俺は嘘をつかずに答えた。ラウは勝手に納得したようだ。


 同じように卵を握り潰す。左手でおもいっきり……。


 特に異変はなく、他の二人と同じようにカードに文字が刻まれる。


 俺はホッと胸をなでおろす。


「出ました!こちらが皆さんの冒険者カードになります!現在のステータスが刻まれているので確認してください。このカードは皆さんの成長に合わせて変化しますので迷宮攻略の参考にしてください」


「自分の成長でカードが変化する?どんな仕組みだよ」


「このカードは高純度のミスリルでできています。先程潰していただいた玉は企業秘密ですが、血と混ざり合う事でカードとの魔法的な繋がりを持つことができます」


『おぉー。凄い発想ですね!』


 お前も知らなかったのかよ。


「このカードは皆さんの成長に合わせて変化するので、迷宮攻略の参考にしてください。その他にも身分証の代わりにもなります」


 カードを受け取るが読めないため、アーシェに渡し教えてもらう。



名前:ミツハル・ヒカゲ

種族:人

出身地:ニホン

年齢:24

所属:北

適性:魔導剣士

属性:光闇土風水火雷

ランク:1

Lv:1

体力:200/200

魔力:1200/1200

腕力:150/150

敏捷:220/220

知力:550/550



名前:アシェル・アレクシス・ファルシュ・ロンデリオン

種族:人

出身地:ニール

年齢:16

所属:北

適性:神官

属性:光水

ランク:1

Lv:1

体力:50/50

魔力:200/200

腕力:35/35

敏捷:40/40

知力:100/100



名前:ミーニャ・トルバ

種族:獣人ネコ科

出身地:トーレス

年齢:11

所属:北

適性:なし

属性:風

ランク:1

Lv:1

体力:15/15

魔力:20/20

腕力:10/10

敏捷:30/30

知力:20/20


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