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冒険者の妻

 俺達はガルドの案内でゲイルの家に向かった。中央区にへ向かって歩き、高級住宅街を抜け、様々な商店が並ぶ通りの路地裏に家がひしめき合っていた。アパートのような建物の一室がゲイルさんの自宅になっており、玄関のまえでは、幼い男の子が一人で遊んでいる。


「エレンいるか?ガルドだ」


 扉は開けたままだったので、ガルドが外から声をかける。


 奥から足音が聞こえ柔和な表情の女性が現れる。


「あら、ガルドさん。お久しぶりです。ギルド長がウチにいらっしゃるなんて、どうかなさいました?」


 ガルドがいきなり土下座した。


「すまねぇ!エレン!仕事中に魔物に襲われてゲイルが死んじまった!俺の責任だ!すまねぇ」


 床に頭を擦り付けガルドが謝る。奥さんは目に涙を溜め震える声で言う。


「ガルドさん。顔を上げてください」


 それでもガルドは土下座スタイルを貫く。


「もぅ!いい加減にしてください!ギルド長たる者が簡単に頭を下げないでください!」


 エレンさんに怒られガルドが顔を上げる。


「冒険者の妻になったときから覚悟はしてました。いつかはこうなるんじゃないかって……。いつもガルドさんやクランの皆さんの話ばっかりして冒険バカな主人でした。本当に皆さんの事が好きだったんだと思います。だからゲイルは後悔なんてしてないはずです。ゲイルが後悔してないのに私がメソメソするわけにはいきません」


 エレンさんは気丈に振る舞う。ガルドの方が泣きそうだ。


「エレン。ありがとう。俺達は幸せ者だ……」


「そちらの方々は?」


「あぁ……。こいつ等はゲイルの最期を看取ったやつらだ」


 ガルドに紹介され、代表して俺が話す。


「初めましてエレンさん。俺はミツハルでこっちがアーシェです。俺達は旅の途中で戦闘中のゲイルさんを見つけたんだ。襲ってきた敵を倒した頃にはゲイルさんは瀕死の状態で、治療したんだが間に合わなかった」


「あの人はどんな最期でしたか……?」


「ゲイルさんは最期まで戦って、笑顔で死んでいきました。奥さんと子供に愛してると伝えてくれと言い残して……。これを渡してくれと頼まれました」


 俺はゲイルさんの袋と取り出してエレンさんに渡す。


「最期までこんな事を気にして……。ホントにバカ……。皆さん。本当にありがとうございました」


 そう言うと、エレンさんは深々と頭を下げた。



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