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25−3話 最終話

 「早乙、桜!俺の側にいて欲しい。け、「お客さ〜ん。着きましたよ〜」


 チッ。良い所を邪魔しやがって。

 諭吉を一枚取り出すと釣りはいらないと告げ、呆然とする彼女の手をとった。


 「ここは?」

 「俺のマンション」


 さあ、中に入ってと促す俺に心太方式で部屋へと彼女を招き入れた。

向かい合ってソファに座った俺たちは、交わす言葉もない。

終始無言だ。


 これじゃあ間が持たないと俺は彼女にフランス行きのチケットを渡した。


 「俺と一緒にフランスに行かないか?」

 「え?仕事は?」

 「フランス支社に行くことになった」

 これはデマカセデモなんでもない。俺が祖父と父に頼んでもう一度支社で学び直したいと言ったら、フランス支社になったというだけ。


 酔ってる彼女に結婚を迫り、指輪を渡したら「悪いけど、演奏の邪魔になるから着けれない」と素気なく返された。それなら…金のチェーンに指輪を通してネックレスにしてみればいいと渡したが、それもネックレスも演奏の邪魔になると返された。

…なら奥の手だ。そう思って取り出したのは俺の携帯。この中には俺に取っての対桜用の最後で最大の奥義がある。これさえも素気なく返されたら、俺は…立ち直れない。


 「家なら、俺が用意した屋敷がある。きっと君も気に入るはずだ」

 「家?別にいらない」


 断る気満々の早乙女の手元に携帯を置いた。携帯でその屋敷の画像を見せると、早乙女は瞠目した。はらはらと大粒の涙を零すと手で口を押さえ、まさかとかうそ!とか言っている。驚きで震えている早乙女の唇に、俺はにんまりとほくそ笑む。


 情報提供ありがとな、エロ爺改め、ルッソー。


 「気に入らないか?「行く!行きます!ここに住めるんですか?ソニアの家に…」

 

 「早乙女桜さん、俺と結婚してください。この屋敷は俺から君への愛の証だ」

 こうして、俺はようやく本当にようやく、早乙女桜との婚約が決まった。俺達は来年の春には、フランスに行くことになっている。そして今俺は、フランス語の特訓中。講師はもちろん、愛する俺の婚約者の桜。

桜とはすでに俺のマンションで同棲中。しっかり手もつけた。そしてただ今桜のお腹には俺の子供がいる。

 

 あのコンサートからすでに五年の月日が流れた。

俺の横には三才になる双子の娘達と一才半の息子達がいる。


「「パパ〜!!ママの演奏、何時始まるの?」」

「もうすぐだよ。ママは今夜もみんなに魔法をかけてくれるんだよ」

「まほー?」


 首を傾げる息子に俺は笑ってそうだと答える。

幸せの魔法だと。



「起きてください!新倉さん、起きて!」

「ん?あれ?桜?子供達は?」

「はぁあ?あなた一体何ほざいてんですか!しばきますよ!フランス語を教えて欲しいと私に頼んだのはあなたでしょ!社長命令じゃなかったら、絶対お断りしてました!」


 さっきのは夢?だったのか…。俺と桜の間に子供達がいて彼女の演奏を心待ちにしているって。はぁぁぁ〜。


 あのコンサートの後、城島礼はイギリスで妻と一緒にいた所を現地警察に逮捕された。彼らの息子が遊ぶ金欲しさにクラブで女の子達をレイプしたことが、大衆紙にすっぱ抜かれた。このことが切っ掛けで今まで彼に怯えていた女性達が訴えを起こした。そんな中、息子が十年前の事件を当時のガールフレンドに武勇伝で話していたことがバレ、城島礼とその妻は殺人容疑と殺人擁護で逮捕された。


 城島の逮捕で捜査は盗作疑惑にもメスを入れた。ここにはルッソーが証言として裁判に立ち向かうとまで息巻いているとか。桜=ティンクの曲は誘拐犯に渡る前に、すでにルッソーが事前にティンクの名で著作権を取っていたことがわかり、城島の名前は地に落ちた。


 そして俺はと言うと、まだ桜とは恋人にもなっていない。ただのお茶友達だ。

少しでも距離を縮めようとフランス語の講師をしてもらっていると言うわけ。


「じゃあ最初からね『結婚してください』新倉さんどうぞ?」

『結婚してください』

「良く出来ました。『僕の()になってください』」

『僕の()になってください』

「いいですよ。あなたのプロポーズお受けします」


 彼女の目には俺の笑顔が写っているはずだ。君は本当の幸せを手に入れるために、今まで沢山の苦労を重ねて着たけど。それは残響の音楽としてみんなの心に残るだろう。



 桜、いつか君の心にもきっとサクラサク。願わくば君の横にはいるのは俺でいたい。



  ー完ー







躓きながらでしたが、漸くこのサクラサクを終わることが出来ました。

読んでくださった方々にも感謝し尽くせません。

有り難うございました。

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