表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『完璧すぎて可愛げがない』と婚約破棄されましたが、帝国の魔力供給・経済・外交を全て停止して隣国へ移住しますわ。――今更「戻ってきてくれ」? どこのどなたかしら?  作者: 桐谷ルナ
続編・第1章:多元宇宙監査機関MAA:不当な「悲劇」はわたくしが損切り(損害賠償)いたしますわ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/91

第48話:不渡りの運命。……わたくしたちの絆に、利息を付けるのはどなたかしら?

「――フフ、アハハハハ! 見なさいエルゼ! 天は、いや神はわたくしたちを見捨ててはいなかったわ!」


 足元の石畳を突き破り、王都の広場に溢れ出した漆黒のバグ

 逃げ惑う民衆を尻目に、ヴィルフリートの隣に立つ偽聖女ミレイユが、その黒い泥を身体に纏わせながら狂ったように高笑いしました。

 彼女の瞳はドロドロの闇に染まり、かつての可憐な面影は一単位も残っていません。


「この力……湧き上がってくるわ! エルゼ、あなたがどれほど巨大な船を見せびらかそうと、この『神の怒り』の前では無力よ! ここであなたを断罪し、わたくしたちが真の支配者になるのよ!」


 ミレイユが腕を振り上げると、漆黒の泥が鋭い槍となり、わたくしに向かって殺到しました。

 ですが。


「――オーナーの視界を、生ゴミで汚すな」


 シグルド様が黄金の剣を鞘のまま一閃。それだけで、神の怒りとやらを名乗る黒い泥は、悲鳴のような音を立てて蒸発しました。


「な……っ!? わたくしの、神の力が……!」


「……。あら。……。それは『神の力』ではなく、ただの『不渡り手形』ですわよ、ミレイユさん」


 わたくしは扇子をパチンと閉じ、銀の計算尺を空間に翳しました。

 

「監査執行。……。皆さま、ご覧なさいな。彼女が誇る力の正体を」


 空中に巨大な銀色のスクリーンが展開され、王国の「裏帳簿」が次々と映し出されていきます。

 

「証拠その一。……。ミレイユさん、あなたが『聖女の奇跡』と称して民に施していた癒やしは、王国の地下に流れる星の寿命マナを前借りしていただけ。……。証拠その二。……。ヴィルフリート様。あなた、その『前借り』の事実を隠蔽するため、国家予算の三割をミレイユさんのドレス代や宝飾品としてマネーロンダリング(資金洗浄)していましたわね」


 スクリーンには、ヴィルフリートの直筆の横領指示書と、ミレイユが宝石商と交わした密約の映像が、一単位の狂いもなく再生されていました。


「な……ッ、なぜそれを! 隠蔽工作は完璧だったはずだぞ!」


「完璧? ……。ふふ。……。三流の粉飾決算ですわ。……。そして証拠その三。……。今、この国を崩壊させているその黒い泥は、あなた方が使い込み、支払えなくなった『星の負債』そのものですわ。……。つまり、この国を滅ぼそうとしているのは、わたくしではなく、あなた方二人ですのよ」


 その瞬間、広場を取り囲んでいた貴族や民衆の空気が、凍りついたように変わりました。


『な、なんだと……!? 聖女の奇跡が、星の命を削っていただと!?』

『王太子殿下は、我々の税をあの女のドレスに……!』

『ふざけるな! 国を滅ぼす悪魔め! あの時エルゼ様を追放したから、こんなことに!』


 先ほどまでわたくしを罪人呼ばわりしていた観客たちが、一斉に手のひらを返し、ヴィルフリートとミレイユに石を投げ始めました。怒号と罵声が、二人の足元を完全に孤立させます。


「ち、違う! 誤解だ! 民よ、静まれ!」


 ヴィルフリートは顔を青ざめさせ、膝から崩れ落ちました。彼を取り囲んでいた近衛騎士たちでさえ、剣を捨てて軽蔑の目を向けています。

 すべてを失ったヴィルフリートは、震える手でわたくしに向かって這い寄ってきました。


「エ、エルゼ……! 悪かった、私が愚かだった! ミレイユとの婚約は破棄する! だから、もう一度私と……いや、私をあなたの共同経営者にしてくれ! あなたを愛しているんだ!」


「……」


 わたくしは、すがりつこうとする彼の手を、冷酷な見下ろす視線だけで縫い留めました。


「……。あら。……。一兆ゴールドの資産を持つわたくしに、負債まみれの不良債権が『共同経営』を申し込むなんて。……。投資の基本から学び直していただきたいですわね」


「エ、エルゼ……!」


「――準備は、すべて整いましたわ。……。あなた方の謝罪を、わたくしが受け入れるとでも? ……。一度裏切った不誠実な取引先クズに、二度目の融資チャンスを与えるほど、わたくしは甘い経営者ではございませんの。……。シグルド様」


「ああ。……。お前の口座は、とっくに『凍結』されているんだよ、元王子」


 シグルド様が冷たく言い放つと同時、二人の足元から吹き上がった黒い泥が、彼らの身体を完全に飲み込みました。

 彼らにはもはや、星の負債に抗うだけの「価値(魂)」が残っていなかったのです。


『ギャアアアアアアッ!』


 二人の絶叫が途切れ、漆黒の泥は彼らの肉体を触媒として、天をも穿つ巨大な「怪物」へと変貌を遂げました。

 それは、この世界に書き込まれた『悲劇のプロット』そのものの化身。


「……。ふぅ。……。ゴミの処理が終わったら、次は大型の産業廃棄物のお出ましですわね」


 わたくしは、世界を飲み込もうとする漆黒の巨獣を見据え、シグルド様と共に計算尺を構えました。

 

 さあ、不渡りの運命様。……。わたくしたちの永遠の愛(黒字)の前に、その醜い赤字の巨体ごと、完全に『強制清算』して差し上げますわよ!

手のひらを返す民衆。崩れ落ちる王子。そして、証拠による完全無欠の社会的抹殺!

エルゼ様の放つ「ざまぁ」の連撃に、元婚約者たちは一単位の反論もできず、自らが溜め込んだ負債(泥)に飲み込まれていきましたわ。

「謝罪を受け入れない」という冷徹なトップの判断、読者の皆様のフラストレーションを一掃できたはずですの。


しかし、二人の魂を苗床にして、ついに次元のバグが「悲劇の化身(最終ボス)」として実体化いたしました。


次回、第49話。

「約定完了。……全次元、一単位の狂いもなく黒字化いたしましたわ」。

愛と資本の力を極めたエルゼ様とシグルド様が、世界を滅ぼすシステムそのものを物理的に買収(粉砕)いたしますわよ!


第一章完結まであと僅か! 最高のグランドフィナーレを見届けたい投資家の皆様、ぜひ【ブックマーク】と【評価】をお願いいたしますわ。

皆様の投資アクションが、エルゼ様の放つ最後の一撃の「レバレッジ」になるのですから!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ