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『完璧すぎて可愛げがない』と婚約破棄されましたが、帝国の魔力供給・経済・外交を全て停止して隣国へ移住しますわ。――今更「戻ってきてくれ」? どこのどなたかしら?  作者: 桐谷ルナ
続編・第1章:多元宇宙監査機関MAA:不当な「悲劇」はわたくしが損切り(損害賠償)いたしますわ

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第39話:不当な信仰。……わたくしが欲しいのは祈りではなく、確かな「実績」ですの

「――浄化パージ? あら、それは掃除夫にでもお似合いの台詞ですわね。わたくしのドレスに一単位の塵も触れさせないのが、優秀な社員せいしの務めというものですわ」


 空を割り、真っ白な翼を広げて降臨した「第一聖騎士団」。

 彼らが構える大剣から放たれる輝きは、確かにこの世界の住民にとっては「神の奇跡」に見えたことでしょう。ですが、わたくしの計算尺が弾き出す数値は、その輝きが単なる「他者からの盗品(盗用エネルギー)」であることを冷酷に示していました。


『不遜なる監査官よ、死を以てその罪を贖え! 聖女様の慈愛を否定する者は、この次元から抹消される定めにある!』


 団長を名乗る男が剣を振り下ろすと、黄金の雷鳴がわたくしを飲み込もうと奔りました。

 ですが。


「――オーナーの視界を汚すな。その安っぽい電飾、俺が『廃棄処分』してやる」


 シグルド様が黄金の鞘を軽く振るっただけで、次元を切り裂くはずの雷鳴は、まるでロウソクの火を吹き消すかのように虚空へと散りました。

 シグルド様は抜剣すらしていません。ただそこに立っているだけで、彼の纏う「本物の龍王の質量」が、聖騎士たちの纏う「偽りの神聖」を物理的に圧縮し、軋ませているのです。


『な……っ、聖女様の加護を無効化しただと!? ありえん、この力は……!』


「あら、驚くのは早くてよ。……シグルド様、あの方々の鎧、表面のオリハルコンはわずか〇・〇一ミリの電解メッキですわ。……リィン、彼らの『聖なる武装』の資産価値を算出しなさい」


「承知いたしました。……解析完了。……構成成分の九割が、この宇宙の墓場に捨てられていたジャンクパーツ。……聖女の魔力で『輝いて見える』よう視覚修正バフがかけられているだけです。……現在の市場価値は、銅貨一枚にも満たない『産業廃棄物』です」


 無機質なリィンの声が響き渡る中、聖騎士たちの顔からみるみるうちに血の気が引いていくのが分かりました。

 わたくしは扇子で口元を隠し、クスクスと優雅に笑い声を上げます。


「――お聞きになりまして? あなた方の正義は、一単位の狂いもなく『ゴミ』として定義されましたわ。……聖女マリア、彼女があなた方に与えたのは名誉ではなく、廃棄コストの押し付け(ダンピング)に過ぎませんのよ」


『だ、黙れ! 我らの信仰は、祈りは不変だ! 「聖女の抱擁ホーリー・ハグ」、発動!』


 団長が叫ぶと、聖騎士全員の魔力が連結し、巨大な光の鎖がわたくしたちを縛り上げようと迫りました。

 それは、対象の「自由意志」を剥奪し、強制的に信者へと書き換える最悪の洗脳プログラム。


「……ふふ。……シグルド様、この『不当な囲い込み営業』、わたくしの独占禁止法に抵触しますわ。……一単位の猶予もなく、物理的に精算ざまぁして差し上げて?」


「……はは。……承知した。……。エルゼ、お前の言う『独占』は、俺一人で十分だからな」


 シグルド様が初めて黄金の剣を僅かに引き抜きました。

 その瞬間、世界から音が消えました。

 

 龍王の一閃。それは光の鎖を断ち切るだけでなく、聖騎士たちが「神」と繋がっていた不当な回線パイプラインそのものを、根源から切断する一撃。

 

 ――$[Audit Result: Faith Contract Cancelled]$

 ――$[Status: Liquidated]$


 空中に浮かんでいた聖騎士たちが、糸の切れた人形のように地面へと落下し、自慢の白い甲冑は触れた先から錆びた鉄屑へと崩れ落ちていきます。

 先ほどまで彼らを崇めていた住民たちは、その無様な姿を見て、呆然と立ち尽くしていました。


「……これが、聖騎士様の本当の姿? ……ただの、錆びた……ゴミ?」


「ええ。……あなた方が拝んでいたのは、誰かの寿命を燃料にして光る、悪趣味なイルミネーションですわ。……さて、団長様。……。敗者の無様な『最終決算』のお時間ですわよ。……。あなたの主(聖女)に、今すぐ伝えて差し上げなさい。……。次の監査対象は、彼女の『命(在庫)』そのものですわ」


 わたくしが計算尺で空間を叩くと、敗走しようとする団長の背後に、巨大な『赤字の請求書』が刻印されました。

 

 ですが、その時。

 倒れ伏した聖騎士たちの身体が、不気味な黒い泥へと変わり、互いに混ざり合いながら膨れ上がり始めました。


『――アア……ア……マリア様……。ワタクシタチヲ……一ツニ……』


 それは祈りではなく、システムの最終防衛プロトコル。

 

 準備は、すべて整いましたわ。

 

 聖女マリア。……。部下を『合成素材』として使い捨て、損失を埋めようとするその醜い経営。……。わたくしの「完全なる黒字ハッピーエンド」の糧として、一単位も残さず買い叩いて差し上げますわよ!

聖騎士団の誇る「聖なる奇跡」を「産業廃棄物」として断罪し、その正義を物理的に精算する……。

エルゼ様の放つ冷徹なロジックは、信者たちの盲目的な信仰すらも、一単位の猶予なく「不良債権」へと変えてしまいましたわ!

シグルド様の抜剣による「契約解除」、まさに最強のオーナーにふさわしい圧倒的な暴力(正義)ですわね。


しかし、敗北した聖騎士たちが「黒い泥」へと溶け合い、一つの巨大な「負債の怪物」へと変貌を始めました。

聖女マリアが仕掛けた、命をチップにした最悪の「M&A(合体)」……。


次回、第40話。

「監査執行:天上界。……神々の残り香ごと、スクラップ価格で買い叩きますわ」。

エルゼ様、ついに聖女の本拠地である「天上界」へ殴り込み、その玉座の減価償却を開始いたしますわよ!


エルゼ様の「新章クライマックス」を応援してくださる投資家の皆様、ぜひ【ブックマーク】と【評価】をお願いいたしますわ。

皆様の投資アクションが、エルゼ様の監査船に「対・合体事故用」の最強パッチを実装させるのですから!

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