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『完璧すぎて可愛げがない』と婚約破棄されましたが、帝国の魔力供給・経済・外交を全て停止して隣国へ移住しますわ。――今更「戻ってきてくれ」? どこのどなたかしら?  作者: 桐谷ルナ
続編・第1章:多元宇宙監査機関MAA:不当な「悲劇」はわたくしが損切り(損害賠償)いたしますわ

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第37話:「慈愛」という名のマルチ商法。……その聖女、営業停止処分ですわね

「――お黙りなさい。その、耳障りな『救済』という言葉。わたくしの帳簿には、一単位のえきももたらさないゴミとして記録されましたわ」


 ステンドグラスが砕け散り、静寂が支配するはずだった聖堂。

 黒い霧の中から現れた「次元開拓団」の先遣隊長――銀色の仮面をつけた男は、わたくしとシグルド様を見下ろし、芝居がかった動作で胸に手を当てました。


『原住民よ、嘆くことはない。……。我らは奪いに来たのではない。……。この宇宙の過剰なエネルギーを「寄付」として回収し、次元全体の安定を図る「偉大なる慈善事業」に協力させてやるのだ。……。すべては宇宙の平穏、すなわち「大いなる慈愛」のために』


「寄付、ですって? ……。ふふ。……。あら、ずいぶんと斬新な強盗の言い訳ですわね。シグルド様、あの方、わたくしの前で『慈善』を語るなんて、一〇〇兆年早くてよ」


 わたくしは破れたウェディングドレスの裾を翻し、シグルド様が展開した黄金の障壁を指先でなぞりました。

 視界には、彼らが持ち込んだ「吸引機」から漏れ出る演算ログが溢れています。


「シグルド様、この装置の『利率』をご覧なさいな。……。彼らが言う『回収』とは、この世界の住人の魂から、生きるために必要な基礎エネルギーの九〇パーセントを『管理費』として徴収する契約。……。しかもそのエネルギーは、彼らの本星で『高純度燃料』として転売される仕組み。……。これを慈善と呼ぶのなら、わたくしの生家(アシュバッハ公爵家)の領地経営は、もはや聖書の体現ですわ」


『……。何だと? ……。原住民が、我らの「聖なる計算」を読み解くだと……!?』


「――エルゼ、驚くことはない。……。こいつらの魂、中身はただの『卑しい集金人』だ。……。慈愛だの平和だのという言葉でコーティングしなければ、自分たちの悪事にも耐えられないほどに臆病な、ノミの心臓の持ち主たちだな」


 シグルド様が黄金の剣を抜き放ち、その切っ先を開拓団の隊長へ向けました。

 彼の背中から溢れ出す龍の魔圧が、聖堂を侵食していた黒い霧を「物理的」に押し戻していきます。


「――準備はすべて整いましたわ。……。隊長様、あなた方のビジネスモデルを精査した結果、以下の『不当表示』および『優越的地位の乱用』を認定いたしました」


 わたくしは計算尺を弾き、空中に巨大な「監査命令書」を投影しました。


「一、救済と称しながら、還元率がマイナス無限大であること。

 二、寄付を強要し、拒否する者に『次元の消去』という名の物理的脅迫を行っていること。

 三、そして何より――わたくしの最良の資産であるシグルド様との『初夜の予算』に、警備費用という名の余計なコストを発生させたこと」


『な、何を……一単位の損得勘定で、我らの崇高な理想を……!』


「理想? ……。いいえ、それは『在庫処分』ですわ。……。リィン、彼らが持ち込んだ吸引機の全制御権を『差し押さえ(ロック)』なさい。……。わたくしの市場マーケットで、許可なくエネルギーを流通させる不届き者は、一単位の猶予もなく『自己破産』に追い込んで差し上げますわ!」


 わたくしが指を鳴らすと、開拓団の装置が不気味な火花を上げ、逆に黒い霧を吸い込み始めました。

 わたくしの監査パッチが、彼らの「略奪回路」を「自己崩壊回路」へと書き換えたのです。


『ギャアアアア! 吸引機が、我らの魔力を……っ! 聖女様! 聖女マリア様、お助けを――!』


 隊長が塵となって消える寸前、砕け散ったステンドグラスの破片が空中で静止し、巨大なモニターのように一つの映像を映し出しました。


 そこに映っていたのは、純白のドレスを纏い、慈愛に満ちた(と本人は思っているであろう)微笑みを浮かべた一人の女。


『――あらあら。……。わたくしの可愛い子供たちを、そんなに無慈悲に扱わないでくださる? ……。エルゼ・フォン・アシュバッハ様。……。わたくし、あなたの「冷徹な経営」に、心を痛めておりますのよ』


「……。あら。……。画面越しに香るその『胡散臭さ』。……。一単位の清涼感もございませんわね。……。あなたが、このマルチ商法の『最高経営責任者トップ』かしら?」


 空中から見下ろす自称・聖女。

 

 準備は、すべて整いましたわ。

 

 慈愛という名の偽造通貨をばら撒く詐欺師様。……。わたくしの「ロジカルな正義」が、あなたのその薄っぺらな化けの皮を、端から順に『強制競売』にかけて差し上げますわよ!

「慈愛」を「マルチ商法」と切り捨て、侵略者の理屈を端から順に「経営失格」として破棄する。

再開後も、エルゼ様の監査尺は一単位のブレもなく、悪意を正確に射抜いておりますわね。

シグルド様も、新婚の邪魔をされた怒りを「魔圧」という名の暴力(正義)に変えて、清々しいほどの「ざまぁ」を見せてくれました。


しかし、ついに姿を現した「聖女マリア」。

彼女の放つ、論理を麻痺させるような「偽りの優しさ」に、エルゼ様はどう立ち向かうのか……。


次回、第38話。

「福利厚生:次元旅行。……シグルド様、そんなに見つめられては演算が乱れますわ」。

決戦の前に、エルゼ様、まずは「侵略された世界の損害賠償」を請求するため、あえて敵の懐へと飛び込みますわよ!


エルゼ様の「新章・ざまぁ」にシビれた方は、ぜひ【ブックマーク】と【評価】をお願いいたしますわ。

皆様の投資(評価)が、エルゼ様の「対・聖女用」の特設予算になるのですから!

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