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『完璧すぎて可愛げがない』と婚約破棄されましたが、帝国の魔力供給・経済・外交を全て停止して隣国へ移住しますわ。――今更「戻ってきてくれ」? どこのどなたかしら?  作者: 桐谷ルナ
続編・第1章:多元宇宙監査機関MAA:不当な「悲劇」はわたくしが損切り(損害賠償)いたしますわ

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第32話:不当な景品表示法。……「勇者の死」を煽り文句に使うのはおやめなさい

「――あら、言葉が尽きましたの? 論理的に勝てないからといって、盤面ごと爆破しようなんて、一単位の知性も感じられませんわ」


 わたくしが扇子をパチンと閉じると同時に、演算室の空気が赤黒く変色しました。

 ベルフェが狂ったように笑いながら、空中に展開された『最終プロット:全勇者強制自爆グランド・フィナーレ』の実行キーを叩きつけたからです。


「ははは! エルゼ、君が何を言おうとも、この世界は私の所有物だ! 監査が終わらないというなら、全景品キャラクターを自爆させ、このサーバーごと『絶望の特異点』に変えてやる! 君も、その忌々しい龍も、まとめて消え去るがいい!」


 その瞬間、背後に控えていたSSR勇者たちの身体が、不自然な七色の光を放ち始めました。

 それは魔力の暴走。運営側が仕込んだ「物語を強制終了させるための自爆コード」です。


「……っ、エルゼ様! 身体が、熱くて……勝手に、力が溢れ出して……!」


 リリアナ様が胸を押さえて膝をつきます。勇者たちも、せっかく取り戻した正気を「破壊衝動」に塗り替えられそうになり、悶絶していました。


「……五月蝿うるさいですわね。ベルフェ様、あなた、わたくしの前で『不当な景品表示法違反』を犯した自覚はありますこと?」


「……何だと……!?」


「勇者の死を『劇的な結末』という名の付加価値として宣伝し、読者(観測者)を釣る行為。……。それ、商品(勇者)の生命維持という基本スペックを偽装している『誇大広告』ですわ。……。リィン、直ちにこの『自爆プロット』を『不当な景品』として全件差し押さえ(ロック)なさい!」


 わたくしが計算尺を空に向かって突き立てると、青いグリッド線が勇者たちの身体を包み込みました。

 

「――資産凍結アセット・フリーズ。シグルド様、エネルギーの『固定』をお願いしてよろしいかしら?」


「……。はは。……。ああ、容易い。……。この程度の爆発、俺の指先一つで『なかったこと』にしてやる」


 シグルド様が黄金の瞳を輝かせ、掌を空間にかざしました。

 勇者たちの身体から噴き出そうとしていた赤黒い破壊エネルギーが、シグルド様の圧倒的な「黄金の質量」によって物理的に圧縮、固定されていきます。

 自爆の衝動が、シグルド様の魔力によって強引に「沈静化」させられたのです。


『――エラー! エラー! 自爆プロセスが中断されました。理由:対象のエネルギーが「シグルド・フォン・アシュバッハ」の個人資産として登録されたため、破棄には所有者の許可が必要です』


「な……ななな……! システムごと乗っ取ったというのか!?」


「いいえ。……。わたくしが提示したのは、適正な『品質管理』ですわ。……。ベルフェ様。……。あなたがゴミのように扱おうとしたこの勇者たちの魂……、今この瞬間、わたくしが『時価一兆ゴールド』で買い取らせていただきました。……。つまり、彼らはもはやあなたの所有物データではなく、わたくしの『大切な社員』ですのよ」


 わたくしは一歩、ベルフェに歩み寄りました。

 その瞳には、一単位の慈悲も、一単位の容赦もありません。


「社員に無断でサービス残業……いえ、自爆を強要する経営者など、この全次元に必要ございませんわ。……。ベルフェ様。……。あなたのライセンス、ここで『永久剥奪』とさせていただきます」


「……っ、ふざけるな! 私は『黒い天秤』の……委員会が黙っていないぞ!」


「委員会? ……。ああ、あの方々なら。……。わたくしが先ほど、あなたの『粉飾決算(偽装プロット)』の証拠をすべて送付済みですわ。……。今頃、あなたの本社の株価はストップ安、強制捜査が入っている頃でしょうね」


 ベルフェの顔が、見る間に土気色へと変わりました。

 彼を包んでいた監査官の法衣が、ボロボロのノイズとなって崩れ落ちていきます。


「……。エルゼ。……。こいつ、もう中身が空っぽだ。……。斬る価値すらなくなったな」


「ええ、シグルド様。……。ゴミの処理は、システムに任せましょう。……。リリアナ様、勇者の皆様。……。お疲れ様でした。……。これより、この世界に『真の黒字ハッピーエンド』を計上いたします」


 勇者たちが歓喜の声を上げようとした、その時。

 演算室の中央。ベルフェの消えゆく残滓から、一本の真っ黒な「杭」が空に向かって撃ち出されました。


『――SOS。……。緊急、介入、要請。……。MAA代表、エルゼ・フォン・アシュバッハ……、システム、簒奪、完了。……。執行官、……、出動、せよ……』


 空が引き裂かれました。

 そこから現れたのは、これまでのベルフェとは比較にならない、巨大な「監査の天秤」。


「……。あら。……。負け犬が最後に本物の『警察(執行官)』を呼びましたわね」


 準備は、すべて整いましたわ。

 

 次元管理委員会の皆様。……。わたくしの買収が『不正』だと言うのなら、あなた方のその腐敗した組織ごと、わたくしの個人資産で『買い叩いて』差し上げますわよ!

「自爆」という名の不良在庫処分を、景品表示法違反で差し押さえる。

エルゼ様の放ったロジカルなカウンターが、ついに宿敵ベルフェを社会的に(そしてシステム的に)抹殺いたしましたわ!

シグルド様も、一兆回分の爆発を「俺の持ち物」として固定するという、もはや神をも超える暴挙……いいえ、資産保全を見せてくれました。


しかし、ベルフェが最後に放った「SOS」。

ついに次元の最高法規を司る「執行官」たちが、エルゼ様を「世界のバグ」として排除するために動き出します。


次回、第33話。

「龍王の『守備範囲』。……一単位の損害も出さないのが、わたくしの美学ですわ」。

全次元を敵に回したエルゼ様。シグルド様の「眠気」が限界に達する中、彼女が打ち出す最強の逆転株とは!?


エルゼ様の「次元M&A」を最後まで見届けたい投資家の皆様、ぜひ【ブックマーク】と【評価】をお願いいたしますわ。

皆様の投資(評価)が、エルゼ様の「対・執行官用」の特別予算になるのですから!

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