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『完璧すぎて可愛げがない』と婚約破棄されましたが、帝国の魔力供給・経済・外交を全て停止して隣国へ移住しますわ。――今更「戻ってきてくれ」? どこのどなたかしら?  作者: 桐谷ルナ
第3章:多元宇宙合併買収(マルチバース・M&A)編:バッドエンド強制プログラムをデバッグし、物語の「作者」を解雇いたしますわ

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第39話:全次元の「初期化(フォーマット)」? ……あら、まずは利用規約の不備を修正なさって?

「――カウントダウン開始。全セクターの消去まで、あと三百秒」


 天界の空が、無機質な漆黒に塗り潰されていきました。

 星々は文字の羅列へと分解され、足元の地面からは質感が失われ、ただのグレーのポリゴンが剥き出しになっていく。

 世界そのものが「無」へと還ろうとする、システムの強制終了シャットダウン


「……エルゼ。私の身体が、透けてきている。……これが『消去』という現象か」


 シグルド様が、ご自身の透け始めた掌を眺めながら、不敵な笑みを浮かべました。

 彼は恐れてなどいません。ただ、愛する妻がこの「理不尽」をどう料理するのかを、心底楽しみにしている。そんな瞳です。


「あら。……わたくしの許可なく、勝手に『閉店作業』を始めるなんて。……随分と、不作法なシステム管理者システム・アドミニストレーターがいらしたものですわね」


 私は、崩れゆく中央コンソールの前に悠然と立ちました。

 周囲の騎士たちや、避難してきた他世界のヒロインたちが悲鳴を上げる中、私は流れる消去コードの「脆弱性」を、一瞬で突き止めました。


「リィン。……先ほど差し押さえた『スポンサーたちの預金残高』、すべてこのプラットフォームの『運営母体』の株式市場へ、一括で叩き込みなさい」


「承知いたしました、エルゼ様。……現在、空売りのポジションを構築。……上位世界のマーケットを、パニックに陥れて差し上げますわ」


『――警告:異常な外部アクセスを検知。……キャラクターによる「不当な市場介入」は、利用規約により禁じられています。……直ちに初期化を……ッ!?』


 空全体に響き渡っていた「システムの声」が、突如としてノイズ混じりに裏返りました。

 私は、崩れゆく空に向かって、一通の「法的異議申立書」を魔力で投影しました。


「管理者様。……利用規約(利用規約第404条)、拝見いたしましたわよ? ……『運営は、利用者の同意なくデータを消去できる』とありますが……。残念ながら、わたくしは既に、この物語を載せているプラットフォームの株、過半数を握らせていただきましたわ」


 私の背後で、先ほど「監視カメラ」に改造された元スポンサーたちの瞳が、絶望に震えながらも私の支配力を証明するように輝いています。


「……現在、この『多元宇宙プラットフォーム』の筆頭株主は、わたくし、エルゼ・フォン・アシュバッハですの。……オーナーであるわたくしの許可なく、資産である世界の初期化を実行する。……これは、重大な『特別背任罪』に当たりますわよ?」


『な……っ、キャラクターが株主だと!? そんな設定、物語の整合性が崩壊する! 認められない!』


「整合性? ……ふふ、笑わせないで。……あなたが『初期化』という安易な手段を選んだ時点で、この物語のクオリティは既に死んでいますわ。……シグルド様、お願いします。……その理不尽な『消去プログラム』、物理的にデリートしてくださる?」


「御意に、私の女王オーナー


 シグルド様が、黄金の剣を漆黒の空へと突き立てました。

 彼が放つのは、もはや魔法ですらない。

 「夫を消そうとした不遜なプログラム」に対する、純粋なる殺意と愛の奔流。


「――【次元剥離・システムクラッシュ】!」


 黄金の斬撃が、空を覆っていた「消去命令デリート・コマンド」を、物理的な紙切れのように切り裂きました。

 砕け散った黒い破片が、再び美しい蒼穹へと再構成されていく。

 初期化のカウントダウンが止まり、世界に再び「色彩」が戻りました。


『あ……あ、ああ……。私の権限が……管理者パスワードが、書き換えられていく……!』


「あら。……当然ですわ。……わたくし、無能な管理者には一秒だって給料(魔力)を支払いたくありませんもの。……本日この瞬間より、このプラットフォームの全権限を差し押さえさせていただきますわ」


 私は、中央コンソールの最上位権限(ルート権限)に、自分の指紋を押し付けました。

 

「さて。……元・管理者様。……あなたは本日をもって『解雇』。……および、わたくしの王国の『デバッグ担当・下級職員』として、永久にバグ取りの単純作業に従事していただきます」


 空の向こうで、姿なき管理者が絶叫を上げ、データとなって引きずり降ろされていくのを感じました。


 中央管理センターのモニターには、今や「多元宇宙すべての物語」のリストが、私の支配下にあることを示す緑色のチェックマークで埋め尽くされています。


「……エルゼ。これで、すべての『壁』は無くなったな」


「ええ。……ですが、シグルド様。……最後にもう一人、わたくしにご挨拶すべき方が残っているようですわ」


 メインモニターの中央に、一通の「ビデオレター」が届きました。

 送り主は、このプラットフォームを創り、すべてを傍観していた真の最高責任者。


「準備は、すべて整いましたわ。……わたくしたちの幸せを『娯楽』として売買していた、その頂点。……あなたにも、正当な『請求書』を受け取っていただきますわよ」


 私は、宇宙の果てさえも見通すような冷徹な微笑を浮かべ、次の座標を入力しました。

いかがでしたでしょうか?

「初期化」という物語の死を、「株式買収(M&A)」で防いでしまうエルゼ様……。

「キャラクターが株主になる」という、メタ・ざまぁの到達点をお楽しみいただけたなら幸いです。

シグルド様も、ついにシステムそのものを斬る段階に到達し、夫婦の無敵っぷりが宇宙を突き抜けましたわね。


さて、第40話。ついに最終決戦!

この物語を「商品」として扱っていた真の黒幕、プラットフォームの最高責任者との対峙です。

「ハッピーエンド」も「バッドエンド」も、すべてを自らの指先で決定するエルゼ様の勇姿、最後まで見届けてくださいまし。


もしこの「多元宇宙・合併買収編」のクライマックスに期待してくださるなら、ぜひブックマークと評価をお願いいたしますわ。

皆様の評価が、エルゼ様の「最終的な買収資金」を無限大にブーストさせますのよ!

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