八話 奴隷の物語 冷♦︎
とうとう紳士諸君の皆様が大好きな描写に入りました、さあご賞味あれ。
カンナとシズクは、兵士達たちに連れて行かれ大きな屋敷の門を潜る。広大は庭に今までお目にかかった事の無いよう立派な建物、手枷と首輪を嵌められている状況で無ければ思わず感嘆してしまう様な物だった、実際今でも人間の技術力には畏敬の念すら覚えかねない程だ。
それでも自然育ちで汚れを知らず育ってきたカンナにはこの街の汚物臭や妙な生臭さが嫌でも鼻につく、結局素晴らしいのは技術だけだと考えを改める。
屋敷の塀から随分と長い時間をかけてとうとう屋敷の入り口まで辿り着く。ここ数日間何も口にしていない上、兵士たちにここまでの道のりを無理やり歩かされた為にカンナのシズクも既に体力の限界だった。しかし、体力が尽きたとて、その場にへたり込む事は後ろから強引に鎖を持つ兵士たちが許しはしない。一度体に身を任せその場にしゃがみ込んでしまった時は、顔を傷つけない様、体の至る所に痣ができるまで殴られた。
一度暴力に身を任せた獣に理性は存在しなかった、人様の商品だろうとお構い無しに暴力を振るう始末。
「いいよな、金持ちってだけでこんな可愛い鹿人を奴隷にできるんだからよ」
「別にいいだろ、鹿人の娘が欲しかったら戦争せ好きなだけ奪えばいい」
「そういうんじゃ無いんだよ、俺は従順な奴隷が欲しいんだよ。街に入った途端鹿人は役人に商品として持っていかれちまう、そうするともう俺たちじゃ手の届かない一級品だ」
こんな会話が聞こえてくる程だ、彼らも相当鬱憤が溜まっていたのだろう、途中で私を庇ったシズクと二人。意識を失うまで暴力を振るわれてからは、自分が反抗するとシズクにまでとばっちりが来ると学習したカンナはできるだけ荒波を立てない様、ここまで一言も言葉を発しなかった。
きっとシズクも同じ気持ちだったのだろう、ここに来るまで二人は終始無言で互いの身を案じた。
兵士の一人が戸を叩くと召使を多数引き連れて領主、ジズルド・オルガーが姿を現した。
ジズルドは数日もの移動で薄汚れた二人を見て少し嫌悪感を示す、彼は引き連れてきた召使たちに二人の身を清める様に指示すると、身なりを整えさせたら私の部屋へ連れて来るようにと言い残しさっさと踵を返していった。
主人の足音が聞こえなくなると同時にジズルドの召使たちは兵士から受け渡された鎖を強引に引っ張ると屋敷の裏に向かっていく、あまりにも強引に引っ張るもので“うっぁ“とカンナは小さく悲鳴を漏らすが、召使たちは自分たちの意志は存在しないかの様に無視し、井戸のある屋敷の裏へと二人をとっとと引っ張ってきた。
既に井戸の側には浴室で使う様な桶と簡素は水拭きが準備されており、召使の一人が体を洗う為の水をせっせと井戸から汲んでいるところだった。
体を洗う準備が整うと召使たちは手持ちのナイフで二人の服を剥ぎ取り、草むらに寝かせる。ここになってカンナのシズクもさすがに抵抗を試るがその奮闘虚しく、ナイフで服を剥ぎ取られ、組み伏せられてしまう。
それでも唯一自由な足をバタつかせて抵抗するが、突然全身に冷水が浴びせられる。
「きゃっ」
「冷たっ…」
まだ大地に熱の籠る真夏だとしても、裸のうえ10度を超える井戸水を全身に浴びせられて平気なはずはなかった。あまりの冷たさにカンナとシズクは身を縮こませ体の体温を守ろうとする。寒さに寒え顔を青くする少女たちを見て、本来意志の無いはずの虚空の様な目をした召使たちに僅かに野獣の様な意志の光が宿る、一文字の口角を僅かに上にあげ縮こまる少女たちに手をあげる。
四人の召使たちは少女たちの手足を強引に掴み大の字の少女たちを固定する、これから何が起きるのかを悟った二人はかつて無いほど強く抵抗を試みるが、抵抗の意志を削ぐために召使の一人が二人に対し、頭から井戸水を浴びせかける。文字通り頭の冷えた二人はそれだけで抵抗の意志を無くし体の力を弱らせる、これを好奇と見た残りの召使たちが水拭きを手に取り少女たちの柔肌に擦りつける。現代と違い、この時代の水拭きは余りの布を粗く繋ぎ合わせたもので、面は粗く、現代で言うところの使い古した雑巾の様なものだ、勿論雑巾程柔らかくはなくチクチクとした肌触りと荒い面が少女たちのきめ細かく柔らかい肌を余す事なく傷つける、冷水で冷えた体を荒い水拭きで擦られるのは想像を絶する激痛だった。さながら身体中のあちこちを針虫に刺されているような感覚だ。
本来1回で終わる筈のそれをカンナとシズクの可愛らしい悲鳴に触発され4回の繰り返えしたのち、やっと二人はこの地獄から解放された。
そして体中が焼ける様な地獄の中から姿を現したのはとてつもなく美しい二人の天使だった、大地を感じる様な栗色の髪は、その持ち主の活発さをより伝え、翡翠の瞳と合わさってまるでこの少女が自然そのものであるかのよう、対して白銀の髪は艶めきを取り戻し光を反射する様は本物の白銀にも劣らない、それに金に輝く琥珀の瞳と合わさって、この少女があたかも一つの財宝であるかのよう。
あまりの美しさに目を奪われ、さらなる欲望を抱き、股間を膨らませる召使たちであったが、彼らの中に僅かに残った理性がそれを食い止める。
彼女たちは領主様の物なのだ、勢いに身を任せてしまえがその先に待つには死ぬより辛い未来だろう。
落ち着きを取り戻し本来の虚空の瞳を携えた彼らは、動けない少女たちを数人で抱き抱え自分たちの主が待つ部屋まで向かった。
こういう水責めってなかなかないと思うんですよね、そこがまたいいといいますか。
初めて書く物なのでよかったら感想などください。