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九話 奴隷の物語 乞♦︎

召使たちに担ぎ上げられながら、屋敷の中を移動するカンナとシズク。ボヤける視線を動かしながら周り景色を見渡すと、そこは想像の遥か先をいく景色、白一色に揃えられた煉瓦作りの壁に、城壁と見紛う程の大階段、金と赤でできた床一面に広がる絨毯、ガラス細工の巨大はシャンデリア、そしてところどころに置かれた調度品の数々、村では勿論、稀に足を運ぶ鹿人の都市でも一度もお目にかかったことの無い品物ばかり。そんな場所を裸の状態で担ぎ上げられながら運ばれる自分がひどく不釣りに感じる。最も、それは本人たちが自分たちの容姿に酷く無頓着であり、この場において最も美しい物という自覚が無いことから来る勘違いであったが。


 大階段を抜け、屋敷の中においても一際豪華で巨大な扉の前に召使たちが跪くと、代表の一人が「娘たちをお連れしました」と声をかけると「入れ」と短い返事が部屋の中から発せられる、たったそれだけの言葉だが、この場において絶対の力を持つその声に召使たちも体を強張らせ、恭しくその豪華な扉を開ける。その中に待つのはこの都市の領主ジズルド・オルガー、この街の法そのものである。

 カンナたちには及ばずとも、美しい鹿人の少女を両側に侍らせ、カーペットと同じく金と赤の塗料で装飾されたソファーに腰掛け、ワインを片手に運ばれてきたカンナとシズクを見つめる、見違える程美しくなった娘たちにさぞ満足げな表情を浮かべるジズルドだったが、注がれたワインの水滴が跳ね返りソファーに付着したことで一気に機嫌を損ねる。


 粗相をした鹿人の少女に平手打ちをし、床に叩き落とす。顔を真っ青にし謝罪をする少女に対しジズルドはテーブルにおいてあった薔薇の鞭を手に取り、少女に「服を脱げ」と強要する。震える手で一枚一枚服を脱ぎ首輪だけになった少女を見るとおもいっきり手に持つ鞭を振り上げる。既に傷の目立つ少女の肌を、薔薇の鞭はさらに傷つける。7、8度と振られる鞭を前にとうとう地面に膝を付く少女、それを見たジズルドは床に這いつくばる少女に氷点下の眼差しを向け、近くにいる召使にアレを持って来るようの命令する。


 それを聞いた少女は床に這いつくばりながらも必死に許しを乞う、しかしそれをジズルドは一蹴し、彼女を窓際まで蹴り上げる。

 程なくして召使が持ってきた物は鋼鉄でできた、長靴のようなものだ。名前はヴィトリオル・ブーツといい、この中に入れた足を、中に入った強力な酸でじわじわと溶かす拷問器器具だった、ヴィトリオル・ブーツをこちらに向けられ青ざめる少女にジズルドは愉快そうに言い放つ。

「使えん足なら、なくてもかまわんな」

 刹那、少女の両足は、ヴィトリオル・ブーツに膝までどっぷりと浸かる。グぎゃああぁぁぁ゙あ゙と獣のような悲鳴をあげる。そんな少女の苦痛に歪む顔と悲鳴を聞き、ジズルドは恍惚な表情を浮かべる。

 カンナにはまるで理解の追いつかない光景、しかしシズク以外の周りはそれがさも当然のように事の次第を受け入れる。まるで自分がおかしくなったような錯覚を覚え、悲惨な少女を助けとうとする気が一瞬遅れてしまう。

「やめなさい!」と震える体に鞭打ち声を張り上げた時にはずでに時は遅く、ブーツから足を抜かれた少女の状態はそれはそれは酷い物だった。ところどころ筋肉が見え、全体が赤く焼けただれ、ところどころは赤黒く壊死してしまっている。そしてもう一人の少女に、激痛のあまり意識を失った少女を連れていくように命じる、意識を失い引きずられて行く少女には失禁したかのような後が残っていた。


さてジズルドの方はというと、既にかの少女に対する興味をなくし、召使によって無理やり前屈の姿勢をつくられたカンナとシズクの方に向き直る。先ほどの少女たちとは比べ物にならない程美しい少女たちの姿に、既にジズルドの情欲は爆発寸前だった。既にジズルドの頭の中にはこの美しい少女たちの苦痛に歪む顔が再生され、さてどんな風に痛めつけてやろうかと想像を膨らませる。

 まずはスタンダードに鞭打ちがいいか、それともこの汚れを知らぬ少女たちを獣の群れに放り込む、はたまた三日三晩絶食をさせ心身をすり減らすか、それとも…それとも……..

人の想像というものは決して実現するまでは世に姿を見せぬ物だが、この瞬間だけははっきりとジズルドの想像がカンナたちに姿を現した気がした。

 思わず体を震わせる、そもそもここまでの陵辱でカンナたちの体は心身ともに限界だった、それ以上のことなど、きっと心が壊れてしまう。それほどまでに今の状態は聞き的状況で、誰の助けの望めない状況。その事実がさらに己の心を軋ませる、そしてそれはシズクとて同じ状況のはずだ。


         


           だからカンナは生まれて初めて、シズクを裏切った。



























































「私がシズクの代わりになります、なんでも従います、どんな仕打ちも受けます。なのでシズクにだけは手を出さないでください」

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