魔法祭 どうやって盛り上げる
あれから、一週間が過ぎた。
この一週間の間は、紅羽さんとずっと連携の練習をしたりと結構充実していた。
一週間ほど前にやっていたニュースでデュヘイン皇国の皇女様が日本に留学することになったことが放送されていたが、なんとこの聖ルビア学園に来ることになった。
学園はどんちゃん騒ぎの中であった。
そして、明後日にここに転入してくることになっている。
明後日に転入とのことがあるため、今日はいつもより教師陣は騒がしそうだ。
そんな中、僕はというといつも通り使い魔のみんなと遊んでいた。
ここ一週間は二年生の教師の椎名先生の手伝いはなく、楽だった。
「凶夜、暇だよぉ」
「何かする事は無いのか、体が鈍ってしまう」
ベルとサタンさんが突然そんな事を言った。
でも、確かにそうだ、最近は練習ばっかりで特に何もしていなかった。
「そうだね、まぁ仕方ないよ、一国の皇女様が来るんだから失礼のないようにしないといけないんだから」
「そうだぞ、聞くところによるとデュヘイン皇国と言うのは魔法が突出した国のようだし、こうなるのは当たり前」
マモンさんが、僕に続く。
すると、校内放送が流れた。
『一年一組、月夜凶夜君、今すぐ学園長室に来てください』
『僕、何か悪いことをしたっけ』
「凶夜、呼ばれたわよ」
アスモが、僕に声をかける。
「う、うん、行ってくる」
「分かった、授業に遅れるかもって言っとくね」
「ありがとう、レヴィ頼んだよ」
「まっかせなさーい」
僕は教室を出て学園長室に向かった。
トントン「失礼します。一年一組、月夜凶夜です」
「どうぞ」
ガチャ、とドアを開けると中には枢木学園長と工藤先生、あと四人知らない人がいた。
「まぁ、そこに座って」
「はい」
枢木学園長が指を指したソファーに座った。
「君を呼んだ理由なのだが、ここ最近はデュヘイン皇国の皇女様の事で手がいっぱいいっぱいなのは知っているだろう」
「えぇ、まぁ知ってますけど、それと何の関係が」
「そのせいで魔法祭の事も全然進んでないことも知ってるかな」
「はい、さっきその話をしてましたから」
「だったら話は早い、ここに居る四人はこの学園の生徒会役員なんだが、こいつらと一緒に魔法祭を盛り上げる方法を考えて欲しいんだがって事だ」
工藤先生が話に割り込んできた。
「なぜ、僕なんでしょう」
「いえ、前に工藤先生から言ってもらったように、あなたには開会宣言を言ってもらうのでついでにと
思いまして、深い意味は特にないんですが」
「・・・嘘ですね」
「なにがです」
学園長の声のトーンが低くなった。
「ついでってところがですよ」
「なぜそう思うのですか」
「なぜって、ここに居る役員の皆さんの視線が鋭いんです。皇女様が来るって事も含めて考えると・・・
まさか、いや、でも、もしかして(新時代の幕開け)の事ですか?」
「!?」
「図星、ですか・・・もしかしたらッて思ってただけなのに」
「そうだ、君の言ったとおりに(新時代の幕開け)が魔法祭の行われる日にこの学園を襲いに来ることが
判明した。だから君に頼んだ、これでいいか」
「はい、それで、僕に何をさせるつもりですか、護衛ですか・・・人殺しですか」
「いや、殺すつもりはない、正直襲ってくるのはどうでも良い、そんなの警備に頼む。
本題は、どうやって魔法祭を盛り上げるかだ」
「・・・はい?」
「いや、だからどうやって盛り上げるか」
「なんでですか、何で襲いに来るのが分かってるのにのんびりシテルンデスカ」
「うちの警備なめんなよ、この学園は世界でも五本の指に入るくらいの警備力だぞ、今からでも準備しておけば、あり一匹侵入できない警備システムを作れる」
「もしもってときはどうするんですか」
「その時は、お前がどうにかしろ」
「正気ですか?」
「正気だとも、本当にまずくなったらこの学園に設置されている怪我防止のためのシステムを発動させ
この学園内での怪我を学園がいにでるとなかったことになるシステムを発動させる」
「それでも、皇女様に何かあったら国際問題ですよ」
「だったら、お前が皇女を護衛しろ」
「そんな、横暴な」
「お前は、一度殺りあった仲だろ」
「・・・はぁ、分かりました。出来るだけ皇女様にばれないように護衛をして、更に魔法祭を盛り上げる」
「分かってくれた、それじゃ生徒会役員のみんなと仲良くしてくれ」
「話は終わったね、だったら生徒会室に行こうか」
背が高く、紙が茶色の女生徒が僕にそう言った。
「えっ、でも、授業は」
「今回は、特例で今日一日でなくていい」
「でも、魔法祭が終わると、テストですよね」
「大丈夫だ、もしかして、お前って頭悪かったのか」
「暗記問なら得意ですけど、数学とかはからっきしでして」
「なら、蓮子に頼め、あいつは成績トップだぞ」
「そう、ですけど」
「あぁ、もうじれったい、水流縛り、そいつを生徒会室に連行しろ」
「うわ、先生エグイ」
工藤先生の魔法は僕の体を縛り声を出そうとしても、口に水でできた鎖が入り声が出ない。
そのやり方に生徒会の人はドン引きしていた。一人を除いて・・・
「よぉ~し、我らが拠点である生徒会室に向かおうではないか大罪を纏めし王」
『グフッ』
僕は意識が遠のいて行った。
目が覚めると目の前には生徒会の人が書類を書いていた。
「おっ、目が覚めたか大罪を纏めし王」
「グフッ、その呼び、方は、やめて」
「会長、下級生をいじるのは止めてあげてください」
「そうですよ、いくら会長が厨二だからって月夜君を、ブフッ」
「おい、笑ってやんなって、ブフッ」
「あのぉ、笑ってないでこの人どうにかしてくださいって会長、この人が生徒会長なんですか」
僕の事をイタい二つ名で呼んでくる子の背が高くて茶髪の美人さんが会長!?
「そうだが、何か問題があるのか、妾の名は浮城ケ沢希望だ」
『妾とか言ってるよ、イタいよ、この人』
「会長、そろそろ本題に入りませんか?」
メガネをかけた男の人がそう言った。
学年は三年生かな、いかにも仕事できます、真面目ですって感じがしている。
「そうだな、ではまずは私達の自己紹介から始めるとしよう」
生徒会長は話を切り替えた。
「それじゃ、私から、私の名前は如月真美三年生生徒会書記担当よろしく」
茶髪のショートヘアで明るそうな女の人が前に出て自己紹介をした。
「次は僕が、三年実川満です。生徒会庶務担当よろしくね月夜君」
今度は、少し髪が長く黒髪で親しみやすそうな雰囲気を出している男の人が自己紹介をした。
「最後は私が、みんなと同じ三年園部翔だ。生徒会副会長をやっている。
よろしく、月夜凶夜君」
「凶夜で良いですよ、皆さんもそう呼んでください」
「それで、さっきも自己紹介したが妾の名は浮城ケ沢希望だ。あと今はいないが、あと二人メンバーがいる
その六人が今年の生徒会だ。改めてよろしく頼むぞ」
「はい、では僕も軽く自己紹介しますね」
僕は一度深呼吸をして自己紹介を始めた。
「皆さん知ってると思いますが、月夜凶夜です。大罪を纏めし王なんて呼ばれてますけど、決して厨二ではないので、あとは、姉が迷惑をかけてすみません。
この間の世界最強の硬度を持つ鉄の的を砕いちゃって、結構しますよねあれ」
「ははは、そうだね、気にしなくていいよ。確かにあの時は会計のらんらんが困ってたけど」
「あの、らんらんって言うのは・・・」
「生徒会会計、黒部乱太郎」
園部先輩が説明してくれた。
「あとで、謝らなくちゃ」
僕は小さく呟いた。
「それでは自己紹介も終わったことだし、早速どうやって盛り上げるか話し合おうか」
生徒会長が真面目にそう言った。
「昨年まではどんなことをしていたのですか」
「えぇと、去年は魔法を使って色々な場所に出現する的を破壊する競技をして盛り上げたんだよ」
「あぁ、やってましたね。確か優勝は寺澤さん、でしたっけ」
「あれ、知っていたのかい」
「はい、見に来ていましたから。あれって盛り上げるためにしたんですか」
「そうですね、ああ言うミニゲームみたいなことをすると結構盛り上がるんですよ」
ノリノリで僕に説明してきたのは如月先輩だった。
目がキラキラしていた。
「それで、今年はどうするかだ」
園部先輩がキリっとした声でそう言った。
「絶対面白くしなくちゃですよね」
「三つほど案は出ているんだ」
生徒会長が書類を見てそう言った。
「まず一つ目、身体強化魔法のみでクラス対抗の障害物競争。
二つ目、特別製のボールに魔法を纏わせてするドッヂボール大会。
最後に・・・ミスコン」
「あの、最後のって・・・」
「いや、毎年出るんだ、気にしないでくれ」
「あの、毎年出るって事は今年出してあげたら来年はなくなるんじゃないですか」
「まぁ、確かにそうかもしれないが、調子に乗った奴が来年もしろとか言ってくるからな」
「あぁ、でもお金的にはミスコンが一番節約できるんじゃないですか。皇女様の転入の為にお金って結構
使うんでしたら、財布にも優しいですし」
僕は必死にミスコンを薦めた。
「なんで、そんなに必死になってるの?」
如月先輩が問いかけてきた。
「へっ、いや、その、その方が盛り上がるかなってほら、この学園って可愛い人多いじゃないですか」
すると如月先輩は目を細めて僕にとどめを刺した。
「・・・で、本音は?」
「蓮姉ちゃんの晴れ舞台を見たいと思いまして・・・」
「「「「シスコン」」」」
「シスコンで何が悪いんですか?」
この場にいる生徒会役員全員ハモッタ。
「仲が良いですね」
「まぁね、一緒に活動するんだし仲が悪かったら大変じゃん」
実川先輩がそう言った。
「まぁ、確かに最近は会計のらんらんがお金に困ってたし」
『やったー、キタァァァァ、カメラ持ってこないと」
「でもただのミスコンだと面白くないよね」
「・・・へっ」
「そうだよね、それだと面白くないよね」
すると実川先輩が二ヤリと黒い笑顔を浮かべた。
「だったら、女装コンテストにしたらいいんじゃないですか」
すると他の役員はニヤリとして
「「「それだ」」」
『なぜだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
「あの、そう言うのは止めて普通の、普通のミスコンにしましょう」
「いやぁ、盛り上げるのが私達の仕事だけど、面白くするのも私達の仕事なんだよね」
「そうだな、普通のミスコンだと女生徒がやりたがらないと思う」
「だったら、男子もそうじゃないですか」
「女生徒だと、不快な気分にさせてしまうだろう。だが男子ならそこまでの不快感は無いはずだ」
「いや、ありますからね、バリバリありますからね」
「よぉ~し、今年は女装コンテストに決定。それじゃみんな解散していいぞ」
生徒会長がそう告げた。
『おい、さっきまでの妾とかどうした、口調変わってるぞ』
「お疲れー」
「お疲れ様です」
「それじゃ、授業に向かうとするか」
生徒会長以外の三人は出て行った。
「私も出るか、おーい、早くでないとカギ閉められないから早くでろ」
生徒会長が困った風にそう言った。
「はい」
僕はそう返して、燃え尽きながら生徒会室を出た。
生徒会長の口調が変わってるのを指摘する元気すらなかった。
その後、僕はふらつきながら一年一組の教室に向かった。
廊下を歩いていると四校時の終了を知らせるチャイムが鳴った。
僕は出来るだけ早く教室に戻った。
教室に着くと蓮姉ちゃんがいた。
「凶夜はどこにいるの、なんか知ってるレヴィちゃん」
「うん、さっき校長室に呼ばれてそのままだから、って後ろにいるよ」
「へっ」
蓮姉ちゃんは高速で首をこっちに向けた。
「もう、遅いよ、心配するじゃない」
「ごめん、それじゃお昼食べよう」
僕達はいつも通りに中庭に向かった。
弁当を食べている時に蓮姉ちゃんに校長室でどんな話をしたのかを聞かれた。
(新時代の幕開け)の事とかは伏せて、魔法祭でのときの事とか話した。
「へぇ、女装コンテストかぁ、面白そうじゃない」
「面白くないよ、女装なんて見て誰が得するんだよ」
「私は、凶夜の女装だったら得するかな」
「僕としては、蓮姉ちゃんがミスコンで優勝するところが見たかったな」
「だったら、いつでも家でしてあげるから」
蓮姉ちゃんはそう言って燃え尽きている僕を慰めてくれた。
こうして、僕は少しだけ精神が回復した。
水流縛りは水の上級魔法です。




