非番召集
翌日、皆がリビングでテレビを見ている中、伏屋は紙にペンで何かを書き、それを冷蔵庫に貼っていた。
「...よし。」
と伏屋が言うと皆が振り向く。
熊面が
「何ですか?それ」
と尋ねた。
伏屋は
「決まりごとを書いた紙です。」
と言った。
その冷蔵庫に貼られた紙には、
『
一、ゴミはゴミ箱へ捨てる
二、紙を無駄にしない
三、家事を分担する
四、規則的な生活をする
』
と書かれている。
「...なんか増えてね?」
鯖木が眉間にしわを寄せる。
「そんな難しいことではないでしょう。」
冷蔵庫の紙をトントンと叩く。
伏屋の電話が鳴る。
伏屋は携帯を確認した。
(なんだ縄渡か...)
リビングを離れ、電話を取る。
「...なんだ。」
伏屋は冷たい態度をとっている。
「ちょっと今日来れるか?」
伏屋は大きなため息をつく。
「....場所は?」
「②番だ。」
縄渡はそれだけ伝えた。
「......了解。」
伏屋は縄渡の意図を理解し、電話を切った。
伏屋は自室に戻り、荷物をまとめて玄関へ行く。
「伏屋君どうしたの?」
トイレから出てきた深海が伏屋に話しかける。
「ちょっと出かけてきます。多分...明日くらいに帰れると思うのですが....」
「パチンコか?」
鯖木がずかずかと聞く。
「違います。」
否定した。
「彼女か?」
一柱がコーヒーを飲みながら聞く。
「違います!」
強く否定する。
突然熊面が立ち上がり、
「皆さん、余計な詮索は止めましょうよ!」
と言った。
「伏屋君だって隠したいことはあるでしょう。
人に何でも聞いていいものではないですよ。」
「熊面さん....」
(なんだかんだ言って一番大人だな)
「男性なんですから"そういう"店くらい一人で行ったっていいじゃないですか。」
「熊面さん...
殺しますよ?」
「たしかにな...」
鯖木はなぜか腕組みをして納得した様子だった。
「すまない伏屋...」
一柱は謝っていた。
「そういう店って?」
深海はピンと来ていなかった。
「知らなくていいですよ。」
伏屋が少し圧をかける。
しかしその圧を一柱は無視した。
「それはだな...(一柱が深海の耳元で囁く)」
「あぁ~...あはは....なるほどね...。」
深海が少し気まずそうに喋る。
「えっと...伏屋君...ごめんね?」
深海は苦笑いしていた。
「違いますからね?!」
伏屋は家を出て縄渡との待ち合わせ場所へ向かう。
昼間なのに日が全く差し込まない薄暗い路地裏の中へ入って行く。
そこに縄渡が立っていた。
「要件は何だ?」
伏屋が低く重い声で問う。
「挨拶は無いのかよ...」
縄渡は少し困った顔をする。
「いいだろ別に。」
伏屋は素っ気なく返す。
「まあいい....例の薬の市場流出の件だ。」
「出所が分からなかったのか?」
透目は首を横に振った。
「いいや、出所も団体も分かった。」
「ただ捕獲人数が明らかに少ない。今回の騒動の割にな。」
縄渡が眉をひそめる。
「それに今回の事件を起こした団体は海外との繋がりが以前まで無かった。」
伏屋はため息をついた。
「残党が暴れ出す可能性があるな...」
「そういうことだ」
「それから今回は殺していい。」
少し間が空いた。
「そうか...」
「恐らくだが残党は今夜動きがある」
「それで、場所の検討はついているのか?」
「あぁ、場所は聖芦華病院だ」
「あの廃病院か....ちなみに人数は?」
縄渡は少し険しい表情をする。
「20はいる、多くて30だろう。」
「いけるか?」
縄渡は伏屋に目配せをする。
「問題ない。」
伏屋はそれだけしか言わなかった。




