ゴミ戦争の調印
「それで二つ目の決まりごとは
『紙を無駄にしない』です。」
「...熊面さんいいですか?」
伏屋は熊面に言葉の圧をかける。
熊面が反応する。
「ちょっ....ちょっと待ってくださいよ!」
伏屋はため息をつく。
「...なんですか。」
「作家にそれを言いますか?」
熊面は焦っている。
「言います。」
伏屋は迷いもなく断言した。
「創作とは試行錯誤の連続で――」
熊面が言い訳めいた言葉を並べる。
だが伏屋は一言で続く言葉を断った。
「そもそもなんでデジタルじゃないんですか?」
「アナログの著名人なんてもう滅びてません?」
「やだなぁ伏屋君...。こ、これはリスペクトですよ!」
「偉人達を見習って執筆するのが私のやり方なんです!」
熊面の熱がひしひしと伝わってくる。
「あのゴミ袋三つ分にそんな思いがあったんですね。」
それを伏屋は軽く流す。
熊面は撃沈した。
落ち込んでいる熊面を放って伏屋は会議を続ける。
「三つ目は『家事を分担する』です。」
「「「「家事?」」」」
全員が嫌がった。
(こいつら仲いいな...)
伏屋は半分呆れも混じった気持ちだった。
「...もしかして掃除とか料理もっすか....?」
鯖木が嫌そうな顔をする。
「...当たり前でしょう?」
伏屋は当然のように鯖木に圧をかける。
「...はーい」
鯖木はふてくされたような返事をする。
だが、
「ん?」
伏屋はその返事を聞き逃さない。
伏屋は腕組みをしながら視線で鯖木に返事をしなおすように訴える。
「は、はいっ...!」
伏屋が腕組みを解く。
「まあ分担すればなんとかなるでしょう。」
「まず各自の部屋はちゃんと自分で掃除してください。」
「...とはいえどうせサボる人が出るでしょうから、一週間に一回は誰かが全員の部屋を確認しましょうか。」
全員は仕方なく納得したようだった。
「食事ですが、さすがに毎日外食やデリバリーじゃあ良くないですね...。」
「日替わりでもいいのでできるだけ自炊しましょうか。」
....無言の間が流れた。
伏屋は不安になって聞いてみる。
「まさかとは思いますが、皆さん家事全くしないとかないですよね?」
一柱は自信満々に答える。
「最近は栄養補給食がメインだが...大学ではちゃんと料理していたぞ。」
「一柱さん...その料理って?」
伏屋が恐る恐る聞く。
「カップ麺だ。」
一柱は胸を張って答えた。
多分全員が同じことを思ったのだろう。
カップ麺は料理と言えるのだろうかと。
伏屋は一柱の目を見るがわりと真剣に答えていそうで反応に困った。
(料理じゃないと否定したら少し可哀想だな...)
「あの...お湯入れるだけで終わりみたいな料理....はちょっと...」
伏屋は考え抜いて言葉を出した。
「なんだカップ麺嫌いなのか...。美味しいのにな...。」
(そうじゃないんだよなぁ...)
伏屋がため息をついて会議を終える。




