話し合いで解決
伏屋はゴミで埋まった廊下を通り抜け、リビングに入る。
リビングには特に異常は無く、一柱がテーブルでコーヒーを飲んでいた。
「伏屋か...お勤めご苦労様。」
労っているか分からない表情、声のトーン。
伏屋にはそれよりも聞きたいことがある。
「ちょっといいですか?一柱さん。」
伏屋が一柱に詰め寄る。
「あの廊下は何があったんですか?!」
「あの廊下とはこの家の廊下のことか?」
一柱はボケなのか本当に疑問なのか分からない。
「それ以外に何か共通の廊下があるとでも?!」
一柱はコーヒーを一啜りしてから喋る。
「まあ落ち着け、あれは鯖木の仕業だ。」
「鯖木め...」
伏屋は少し顔が赤くなっている。
伏屋は階段を登って鯖木の部屋の前でノックする。
「ちょっと鯖木さん?ゴミを無駄に出さないで下さい!」
ドアが開き、鯖木が出てくる。
「なんだよ~。デリバリーのはみんなのゴミで紙類は熊面だぞ?」
ずっと眠っていたのか髪をボサボサにし大きな欠伸をしていた。
「私はデリバリーではなく栄養補給食しか食べてないから無実だな。」
一柱が鯖木を冷ややかな笑いで見る。
「栄養補給食のゴミも廊下にあったから同罪ですね。」
伏屋はばっさりと一柱の屁理屈を断つ。
次に伏屋は熊面の部屋へ押し掛ける。
「熊面さん!何ですかあのくしゃくしゃの紙の山は!」
「すみません!小説の続きがうまく書けなくて...。」
「だからって廊下に捨てること無いでしょう?!」
「ん?私は鯖木君が勝手に部屋に入ってきたので捨てるのを頼んだのですが...」
深海の部屋のドアが開く。
「おはよぉ~。みんなどうしたの?」
深海が眠たそうに出てきた。
数秒間の沈黙がその場を包む。
「....鯖木さん?」
「いやー...なんつーかその...ゴミ箱...ゴミ箱が一杯になってさ...!」
伏屋は鯖木の首根っこを掴んで離さない。
「ちょっ...!痛っ!イタタタ.....
おまっ....力強っ......!」
鯖木はずるずると伏屋の部屋に連れ込まれてゆく。
鯖木が部屋から出てきたのは1時間後だった。
伏屋はみんなをリビングに集めて緊急会議を開くことにした。
「熊面さん、ちょっといいですか?」
「はい、なんでしょう?」
「リビングに来てもらいたくて...」
神妙な面持ちの伏屋を見て熊面は立ち上がる。
「...分かりました。」
「一柱さん」
「どうした?」
振り向くこともなく、ネズミを観察している。
「...とりあえずリビングに来てもらえますか?」
「...仕方ないな」
一柱はゆっくりと立ち上がる。
「深海さん...」
「ん?どうしたの?」
伏屋は固まっていた。
「...なんですかこれ」
壁、天井一面に人の顔を撮ったポスターが貼られている。
「これって?」
「いや....壁や天井に貼られたポスターですよ....目がチカチカするんですけど....」
「あぁ、この人は私の好きな人!トウヤ君って言うんだ~。」
「自分で作りましたよね?」
伏屋は聞かずにいられなかった。
「そうだけど...どうかした?」
伏屋の頭は理解を拒む。
「い...いえ、何でもありません。」
「それよりリビングで会議をしたいので集まって貰いたいです。」
「はいはーい。」
全員がリビングに向かう。
リビングでは鯖木が正座をさせられていた。
伏屋は
「皆さんは椅子に座っていいですよ。」
と言う。
「それでは会議を始めます。」
「今回の議題はシェアハウスないの決まりごとです。」
「規則はもう増えないはずでは?」
熊面が訪ねる。
「えぇ、ですから今回は"決まりごと"です。」
伏屋は決まりごとで押し通したいらしい。
「英語を知らないのか伏屋?」
一柱が伏屋を嘲笑う。
「黙りなさい。」
鋭い視線で一柱を黙らせた。
「まず一つ目の決まりごとは...」
伏屋が鯖木を睨む。
「なんでしたっけ...?鯖木さん...」
「はい....ゴミをゴミ箱以外に捨てないことです....。」
鯖木のいつもの軽い雰囲気はどこにも無かった。




