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収容施設はシェアハウス  作者: NAriS


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4/8

ホワイトな業務

規則(ルール)が決まり、引っ越し業者がダンボールを届けに来た。


ダンボールの中には5人の私物が詰め込まれていた。


ダンボールを家の中へ移し、荷解きで一日が終わった。


翌朝、全員が熟睡していた。


伏屋だけが早く起き、身支度をしていた。


階段をゆっくり降りてくる足音が聞こえた。

「おはよぉ~、伏屋君。」


「おはようございます、深海さん。眠そうですね。」


「荷解きで疲れちゃってさ~」


深海は目を擦りながら伏屋を見る。

「どっか出かけるの?」


伏屋は革製の鞄を携え、コートを羽織っていた。


「えぇ、仕事の関係で。」

伏屋はコートのボタンを閉じながら言葉を返す。


「明日には帰って来る予定ですので皆さんに伝えておいてください。」

伏屋はドアノブに手をかける。


「わかった!じゃあ、いってらっしゃい!」


伏屋が一瞬、言葉に詰まる。

「...はい、いってきます。」

(いってらっしゃい、か...


そんなこと初めてだな...)


伏屋は車を走らせる。


澄んだ朝の中、伏屋を乗せた車が静かに住宅街を抜ける。


今日は平日なのにわずかに車が多かった。

渋滞といったほどではないにしても東京では珍しいことだ。


少し進んだ先に信号が見えて来た。

だが信号は黒い。

(ここの信号修理されてないな...)


警察が手信号で対処していた。

伏屋はしばらく待ち、高速道路を横目に交差点を通過する。


何年か前に流行った商品の広告が色褪せている。


伏屋が向かったのは東京のビルの生き残りだった。


「国笠流通の伏屋蒼です。」

関守(せきもり)さんとの会談ですね。18階の会議室でお待ち下さい。」

エントランスで受付を済ませ、エレベーターに乗る。


エレベーターがぐわんと上がる。

伏屋の心音は少しずつ高まっていた。


18階に到着し、会議室に踏み入る。


18階の会議室は静かだった。

壁は白。

机は黒。


余計な装飾は何一つなく、部屋にある窓からは夕陽に照らされた東京湾が見えていた。


「待たせてしまってすまないね伏屋君。」


「いえ、お疲れ様です。関守さん。」


関守は窓の外の海を眺めながら口を開く。

「彼らとの生活はうまくいきそうかな?」


「まぁ....今のところ大きな問題はありません。」

伏屋はそう答えた。


「それは良かった。」

関守は静かに笑う。

「君には申し訳ないと思っているよ。」

関守は小さく笑う。


「これから彼らに振り回されることが目に見えているからね。」


伏屋は黙っていた。


「伏屋君。」

関守は椅子へ深く腰掛ける。

「今回、君に与えた任務はいつもとは少し違う。」


「....」


「私達にはあの4人を消すこともできた。だが生かす選択をした。」


「それは何故です?」


「探られたくないのさ、国からしても。」


「国家の信用が不安定な今、恐れていることが起きたら...」


「日本は外と内の両方から終わる。」

伏屋は重く答えた。


関守は頷いた。

「その通りだ。」


「そして表社会の連中との取り決めがあったんだ。」


「表社会と...ですか。」


「だから君を動かすしかなかった。」


伏屋は固唾を呑む。


「そして今日来てもらったのは別の依頼についてなんだ。頼めるよね?」


「えぇ。」


伏屋は少し考えた後、

「残業は無しでお願いします。」

と答えた。


関守はくすっと笑っていた。

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