ジルキン編9 衝撃の事実
大きい……これがギルド?
「みつきー。何やってんすか?入るっすよー」
僕はよいやみに手を引っ張られて、ギルドに入った。
中も凄い。ロビーはアロン王都のギルドの倍はある。広い。
アレンスのギルドと違い、僕達がギルドの中に入っても絡んでくることはない。
ん?ジルキンのギルドには勇者専用の受付があるんだ。
僕が勇者専用の受付に行くと、周りの冒険者が僕を見る。
よいやみといつきさんは警戒してるみたいだ。二人はこの国をそこまで信用してないのだろう。
僕とゆーちゃんが勇者専用の受付けにいって、担当者を呼んでみると奥の部屋から女性が欠伸をしながら面倒臭そうに現れた。
「なんだい?受付かい?一般の冒険者はあっちだよ?」
僕は勇者カードを取り出した。カードをみた女性は驚いていたが流石はプロ。直ぐに普通の顔に戻った。
「へぇ、アロン王国の勇者ね。お嬢ちゃんの髪の色、もしかしてお嬢ちゃんが黒姫かい?」
女性の言葉にギルド内がざわめく。わざわざ言う必要も無いのに何故言うのかな?
「ははは。リリアンの言ったとおりだねぇ。聞いてた通り可愛い女の子だよ。しかし、ひさしぶりの仕事があの黒姫とはねぇ。ジルキンのアホ勇者とはえらく違うねー」
アホ勇者?
「ちょっと、不敬罪になるわよ」
「ならないよ。あれはギルドを舐めきっているんだからね」
一般の受付の人に注意されてたけど、気にしていないようだ。この国の勇者は嫌われているんだ。だから、僕が勇者専用の受付に向かったとき見られたのか。
「あー。黒姫ちゃんは違うよ。この国の勇者が嫌われてるのは勇者が第一王子だからなんだよ。本当は勇者である以上ギルドにも貢献して欲しいんだけどね。全く、来やしない」
そりゃ嫌われるね。王子だから誰も逆らえない。勇者だから偉そうに出来る。それで尚且つ国のために戦わない。そりゃダメだね。
「あ、アロン王国のギルマスから、ジルキンのギルマスへ手紙をあずかっているんですが?」
「オルテガからかい?おやまぁ、珍しい」
女性は僕達を案内してくれるらしく、席を外れる。
「いいんですか?」
「さっきも言ったけど、どうせ誰も来やしないよ」
さすが大きい建物だけあって、迷路のようだ。僕一人なら間違いなく迷う。僕はゆーちゃんが迷子にならないように、しっかり手を繋ぐ。
「?」
暫く進むと、少し豪華な扉があった。ここが、マスターの部屋だそうだ。
「マスター、入るよ」
「あぁ、いいよ」
部屋の中には、広い机といくつかの椅子、奥に一人用の机に若い男性が座っていた。
彼に見られた瞬間、寒気がした。間違いない。この人は強い。いや、強いなんてレベルじゃない。人外だ。
よいやみも同じことを思ったらしい。僕の顔をしきりに見ている。
「やぁ、俺が冒険者ギルドを作ったクレイグ・ウォリスよろしくな!」
は?作った?どう見ても20代だよね?冒険者ギルドは何年前に出来たんだろう?
「嘘だと思ってるだろ?そりゃそうだ。こんな若造が何言ってんだと思ってるだろ?」
いや、流石に思ってないけど?それだけ強いとなると考えられることがあるからね。
例えば、時の番人だった場合。
「私達は、時の番人を知っています」
いつきさんが変わりに言ってくれた。
「へぇ、何番に会ったんだ?」
「八番と三番」
「へぇ、豪のじいさんにも会ったのか。珍しい」
「セトさんにも会ったよ」
あの人は美人さんだったなー。
「な!?セト姉さんに会ったのか?嘘だろ?あの引きこもりが人前に出たのかよ」
クレイグさんは予想以上に驚いている。セト姉さんか。姉弟なのかな?
「あーあー。実の姉弟じゃないぞ?時の番人は長い時を生きているから家族みたいなものだからな」
長い時か…僕達には縁がないかもね。
「ちなみに俺は5番だ」
さらりと恐ろしいこと言ってきたなこの人。冒険者ギルドを作った人は時の番人だったのか。
「さて、世間話はそのくらいにして、今日は何しに来たんだ?」
「これ、アロン王国のオルテガさんからの手紙です」
「ん?あいつ元気か?あいつの若い頃徹底的に鍛えたものさ」
クレイグさんは手紙を読む。
「成る程なぁ…確かにこの国でも問題になってたなぁ。お前ら、この国にきて不快に感じたことなかったか?」
僕達は、アレンスのギルドで起こったことを話した。
「ふーん。あの野郎…まぁ、二度と日の目を見ることはないだろうからいいか」
クレイグさんが僕達に資料を渡してきた。
「実はな、オルテガの手紙の内容は以前から問題になってたこともあってな。俺達もそろそろ冒険者ランクってものを作ろうと思ってたんだよ」
それは良い。ちょっとランクが高いからと言って調子に乗る奴もいなくなる。
「いい考えだろ?バカな冒険者もまじめに仕事をする。お前らのようにヒヒイロカネだって仕事内容によっては最低ランクになる。まぁ、お前ら黒女神はパーティランクも高評価になると思うがな」
流石冒険者ギルドの頂点。僕達の事もしっかり身バレしているのか。
「いくつか気になることはある。お前ら二人の事だ」
クレイグさんは僕とよいやみを指さす。
「いつきは聖女だ。恐らくいつかは神の領域に踏み込んでいただろう。もうあと一歩と言ったところか。セリティアの従者になるんだったら、いつかは時の束縛をぶち壊す必要もあるからな」
時の束縛って何だろう?クレイグさんに聞いてみた。
「時の束縛ってのは、要するに不老だ。俺はこう見えても128歳だ。見えねぇだろ?」
「それは時の番人が時を操る魔法を持っているからじゃ…」
「違う違う。禁術にもあるがあれは神の領域を突破しなかった奴のためのものだ。時の番人で言えば7番以下がこれに該当するな。お前の父親もいつかは超えると思っていたんだがな」
そんな秘密があったのか…あれ?僕もよいやみも神の領域に踏み込むものって……あれ?
よいやみの方を見るとよいやみも気付いたみたいだ。
「あしら二人は神の領域に踏み込むものっていう称号持ってるんすけど?」
「あぁ…すでに領域に踏み込んでるな。つまり…もう歳を取ることはねぇな」
あれ?僕はこのちっちゃい体のまま?え?え?僕は?え?ええ!?
ええええええええええええええええ!!!!!???
みつき達の不老は最初っから決まっていましたが、最終話付近で不老に気付く予定でした。迷いましたが次編で必要なのでここで書きました。
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