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ジルキン編2 オルテガの話

 ギルドには、リーダー?の僕と、交渉役のいつきさんの二人で行くことになった。

「みつきさん。そんなに緊張しなくても、ルルさんはいないと聞いていますよ」

「う、うん」

 僕は凄くビクビクしていた。ルルさんがいたらどうしよう。怖い。

 冒険者ギルドは今日もたくさんの冒険者がいるようだ。最近は他の国からも、この国のギルドにわざわざ来るという話を聞いた。英雄バトスさんのパーティ≪パリオット≫も世界的に有名になったらしく、世界中から特訓を受けたいと依頼が殺到しているようだ。

 バトスさんの所のパーティ名は最近になって知った。というよりパーティ名は称号と違って自分達でつけることが出来るから、どんなパーティにでも名前はあるそうだ。

 パリオットの皆は流石というべきか、どれだけ忙しくしていても、じいちゃんの特訓や魔法具のおばちゃんの所に魔法の修行に出向いたりしているのだ。


 僕達は冒険者ギルドに入る。相変わらず人が多い。ここまで多いと万が一ルルさんがいたとしても、見つかる事はないと思う。いやコソコソしていれば見つからないはず。

「いや、みつきさんには無理だと思いますよ?」

「なんで!?」

「あれを…」

 うっ!!冒険者達が僕の方を見ている。なんで!?いや、僕はまだ何もしていないよ?

「みつきさんはもう少し、自分が目立つ存在だという事に気付いてください」

 えぇ!!?僕は地味だよ?小さい(身長だよ?胸じゃないよ?)し、ただの元村娘だし。

「みつきさんのような少女が、この国では最強の勇者なんですよ?そりゃ有名にもなりますよ」

 恥ずかしい!!僕は顔を真っ赤にして下を向く。

「みつきちゃん?ひさしぶりねぇ」

 こ、この声は!?

 僕は恐る恐る顔を上げる。そこにはいないはずのルルさんがいた。

 僕は硬直する。

「みつきちゃん?面白い顔してるわよ?」

「あれ?ルルさん今日は他の依頼があると聞いたんですが?」

「ん?それは昼からよ?朝はここでコーヒーを飲むのが習慣だからね」

 来るのが速すぎたー!!僕は怯えきった顔でルルさんを見る。ルルさんの表情はいつも通りだ。

「みつきちゃん。最近私を避けてない?」

「そ、そんなことないでし……す」

 ぎゃあああああ!!!思いっきり噛んじゃったぁあああ!!!

「僕は冷や汗で顔がビショビショになる」

「なんでみつきちゃんは私を見て怯えているの?」

「怯えてなんかいないです!!」

「そう?」

 ルルさんは僕をマジマジ見る。タスケテ……

「ルルさん。私達はギルマスから呼び出しされているのでこれで」

「あ、ごめんね」

 いつき様ーーー!!

 僕は半泣きになりながらいつきさんに抱きつく。

 いつきさんの顔は呆れているような顔だった。


 勇者専用の受付にはラビさんが座っていた。今日はラビさんの日なのか。

 他国の勇者も来るようになって、勇者専用の受付の人も増えた。そういえばリリアンさんは今何をしてるんだろう?

「みつきさん。目が真っ赤ですよ?どうしました?」

「な、なんでもないよ?」

 目が真っ赤って、僕もしかして泣いてたの!?自分でも思うけど、もうちょっと自分に自信がつかないかなぁ。

 僕が落ち込んでいると、ラビさんといつきさんは僕を見て首を傾げていた。

「ラビさん。ギルマスに呼び出されたんですが聞いてますか?」

「はい。聞いてますよ。あ、その前にみつきさん。これを渡しておきますね」

 ラビさんは銀色のカードを僕に渡してきた。なになに?カード?

「何これ?」

「それは勇者カード。この国もいろんな国から冒険者が来るようになって、ギルドが混むようになりまして、それで勇者用の受付はすいているので、他国の一般の冒険者の方がこちらに来るんですよね。逆もありますし一般の受付で自分は勇者だと騒ぐ人もいます。それを避けるために各国が発行した勇者専用のカードを採用しました」

 ふむ。確かにただでさえこの国には、くじ引きで勇者を選出しているせいで勇者が多い。それに異国の勇者まで来れば混乱は必至か…

「見習い勇者には発行しません。そのカードを持つものは国が認めた勇者ですから」

 そう言われると少し恥ずかしくなる。

「カードも渡し終りましたので、ギルマスのところに案内しますね」

 ラビさんが案内してくれるけどいつもの所じゃないんだ。

「ギルマス。みつきちゃん達がいらっしゃいました」

「おう!入ってくれ」

 通された部屋はオルテガさんの私室のようだ。こじんまりしてるけど綺麗にしてある。奥の机にはオルテガさんと美人さんが立っている。誰?

「初めまして。ギルドマスターの秘書を勤めさせてもらっている、あさねと言います」

 ひしょ?何だろうそれは?

「あさね。二人にお茶を淹れてきてくれ」

「はい」

 あさねさんは部屋を出ていった。美人な人だったなー。秘書というのはオルテガさんの奥さん?

「おい、みつき。お前なんか勘違いしてないか?」

 ん?勘違いなのか?まぁいいや。よく分からないし。


 あさねさんがお茶を持ってきてくれる。いつも思うけど、話し合いの時のお茶は美味しいよね。いいお茶なのかな?

「早速で悪いがお前達に依頼を頼みたい。前に話してた冒険者ランクについてなんだがな、意見書という形で冒険者ギルドの総本山に送りたいんだ」

 総本山か。確かジルキンって場所にあるんだっけ?

「何故、配達屋さんや連絡用の魔宝玉を使わないんですか?」

 確かに。僕達が直接行くより効率がいいんじゃないのかな?

「ギルドと言ってもな一枚岩じゃないんだ。他の国のギルマスは、この国の冒険者が急に強くなったのを嫉妬している可能性がある。もし意見書の事を知られると妨害されたりする場合がある」

「なるほど。確かに妨害の一番の方法は手紙を届けないことですもんね……分かりましたこの仕事受けましょう」

 受けるんだ。てっきり報酬を交渉してから決めるた思っていた。

「一応聞いといていいか?みつき、お前が一応リーダーなんだろ?いいのか?」

 何でそんなことを聞くのかよくわからないけど、僕は頷いておいた。

「ところでよ。お前はこの一週間どこで何をしてたんだ?」

「え?魔大陸にいたよ?魔大陸で魔物を狩ってた」

「ほぅ、何の魔物か聞いてもいいか?もしよかったら素材が欲しい」

 オルテガさんがそういうといつきさんが反応した。

「え?冒険者から素材を買い取ってるんじゃないですか?」

「買い取ってるが浄化の灰はレアドロップがあればいいが、魔物によっては解体の方が良い場合もあるじゃないか。ギルドに持ってきてくれる奴は大体浄化の灰を使う奴が多くて良い物は手に入らないんだ」

 浄化の灰は便利(カレン達は解体で役に立たない部分に浄化の灰をかけている)だけど魔物のお肉なんかも焼くから、人によっては勿体ないとか言うよね。いつきさんやアディもこの考えだし。

「で?みつき何を狩ってきたんだ?」

「竜王ゲガガドン」

 オルテガさんは急に椅子から立ち上がった。そんなオーバーリアクション取らなくてもいいのに。

「いつき!!竜王の骨はどこに卸す!!まだ決まってないんだったらギルドに卸してくれ!!」

「構いませんよ。ただし場合によってはギルマスの依頼終了後になりますがよろしいですか?」

「あぁ。これで厄介な仕事が一つ終わる」

「厄介?」

「あぁ。守秘義務があるから誰からは言えんが、竜王の骨で武器を作れというアホな依頼が来てな、職人は高い金を払って確保したんだが素材がないと言いやがってな、どう確保するか迷ってたんだ。助かったぜみつき」

「うん」

 たまたま出会ってた倒しただけだけど感謝されるのは嬉しいね。

 一時間ほどオルテガさんと雑談して僕達は、ジルキンに行くための準備をする為に拠点に帰った。


 あ!ルルさんに出会ってしまったことを、オルテガさんに抗議するのを忘れてた。


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