大型新人編3 ランク崩壊
「よしおの事は今はいいとしてだな。よしおが帰ってきたという事は、あの新人も帰ってきたという事だ」
新人はそんなに、問題行動を起こしているんだろうか。オルテガさんに聞いたら、見習い勇者ちゃんを虐めて泣かしたらしい。確かその子って、オーソンという魔法使いにも怒鳴られていたな。
「ギルマス。最近はランクの崩壊でも、起こしているんですか?」
「あぁ、魔大陸でバトスを鍛えてくれて、あいつ自身が強くなったのは凄くありがたいが、バトスは面倒見がいいだろう?後進を鍛えると言って訓練をしてくれているんだがな、最近になって鬼二人が王都にも出没する事態になってきてな。鬼二人は冒険者を鍛え始めたんだ。
流石にバトスやよしおみたいに強い奴はそうそうできないようだが、それでもゴールドランクは簡単に達成できるようになってな、今このギルドに登録している冒険者に、シルバーやカッパーはいない事態になっている。
ん?じゃあ見習い勇者ちゃんもランク自体は?
「あぁ、彼女もランクはミスリルだ。このギルドで初期ランクで登録されても、よしおが数週間鍛えればゴールドにはなるからな」
そんな事より鬼二人が王都に出没って、あの二人どうやって王都に来ているの?
「あの熊、何してるんすか…」
「僕のじいちゃんもだよ」
「ん?お前たち何を言っているんだ?」
「鬼二人はお二人の身内のようなものなんですよ」
「身内?どういうことだ?」
そもそも、じいちゃん達がなんで鬼と呼ばれているんだろう?そこんとこを聞かないと、馬鹿みたいに正体を隠しているとか?
「顔でも隠してんすか?あの熊は」
「いや?顔は隠していないが、その鍛え方が鬼のような鍛え方でな?」
鬼のような?どんなものなんだろう?
オルテガさんが話す内容は、カレンとアディには衝撃的だったようだ。二人の顔は青褪めていた。それに比べ僕達二人は、首を傾げていた。
「なんでお前ら二人は、首を傾げているんだ?」
「え?いや、そのくらいなら優しくない?」
「そうっすね。あしらの時と違って優しいっすね」
僕ら二人がそんなことを言っているから、オルテガさんやラビさんは驚いた顔をしていた。
「お二人はどういう特訓を受けていたんですか?」
ゲイルさんがお茶を入れて持ってきてくれた。ラビさんが慌ててゲイルさんに頭を下げている。
よいやみの場合は、一応姫という事もあり、体形を変えないように実戦形式の修行だったそうだ。ただ何度も殺されかけたと言っていた。僕だって、昔からじいちゃんと喧嘩ばっかりしていて、何度も死ぬかと思ってたからね。さらにグレンさんとの特訓の場合は、気を抜くと魔物に殺される状況だったからね。まぁ、あんなのにやられる程度じゃ、グレンさんには勝てないけど。
「成る程なぁ。お前ら二人は小さい頃からの、英才教育のなれの果てってわけだ。普通なら在り得ないからな?みつきはまだわかるが、よいやみは姫様だろ?なんで強くなりたかったんだ?」
「なんでか忘れたっすね。昔見た人が強かったとかではなかったはずっす」
あれ?よいやみの表情が少しだけ暗くなったぞ?何か思い出したくない過去があるのかな?
「それよりです。皆さんが強くなるのはいいとしても、その結果ランクだけで優劣を決めるのはどうかと思います。他の方法はないんですか?」
「それは俺も考えているんだ。だがな冒険者ギルドは全世界共通なんだ。だから俺達だけで決めたとしても、他の国から来た奴らが混乱してしまうんだ。せめて冒険者ギルドの偉いさんが、王都にでも来てくれたらいいんだが」
ギルドの偉いさんか。どの国にいるんだろう?
「よいやみ知ってる?」
「んー?冒険者ギルド発祥の地が何処かにあったはずっすよね?」
「あぁ、北の大国ジルキンだったはずだ。あの国に冒険者ギルドの最高責任者である、マスターがいるはずだ」
確かに強いだけで何も貢献してないやつが、偉そうにするのならならず者と変わらないよね。
冒険者ギルドのロビーから悲鳴が聞こえてきた。
「私が見に行きましょう」
ゲイルさんがスッと席を立ち、ロビーに向かう。
オルテガさんに「僕達も行った方がいい」と、聞くと更に問題が大きくなりそうだから止めてくれと言われた。
ゲイルさんが部屋を出ていって暫くすると、バトスさんが部屋に入ってきた。
「みつき。お前ら来てきたのか?しまったな。時間をずらすつもりがこんなことになるなんてな」
バトスさんの話では、よしおさんからは何も聞かされなかったらしい。よしおさんにとってはカレンにした行動というのは、ショックが大きかったのだろう。
新人のことを聞いてみたが、本当にただの自信家といったところみたいだ。
「俺も言ってるんだぜ?俺やよしおはおろか、ルルにすら負けているやつがみつきに勝てるわけがないとな」
まぁ、僕も今となっては、自分が弱いなんて思わなくなったから言うけど、ルルさんにも勝てないやつが僕に勝てるわけがないと思う。
「でもなあいつは人の話を聞かないんだ。危険だと言っても聞きやしない。昨日も俺達がフォローしなきゃ死んでいたな」
「見捨てておけば問題はなかったっす」
「流石にそれは出来んだろう?俺達の評価まで下がっちまう」
なんで?一緒に行ったとしてもパーティならともかく、ただの同行者に慈悲はいらないでしょ?そう言うといつきさんから怒られた。なんでだろう?
「みつきちゃんは何処か抜けてるね」
カレンにまで言われた。悲しい。
アディは笑いながら背中をバンバン叩いてくる。痛い。
「また、愉快なのを仲間にしたな。まぁ、あいつは俺達が押さえてやるよ」
「ストレス発散に使ってもいい?」
いつきさんに更に怒られた。おかしい。
「そういうのは裏でコソッとやるっすよ?」
今度はよいやみが怒られた。
バトスさんは疲れていたようだが、ギルドのロビーに戻っていった。
「転移魔法で帰りますか?」
うーん。別に絡んできたら一発殴って黙らせればいいし。
よいやみも拳をこきこき鳴らしている。
「貴女達二人が問題起こしそうなので言ってるんですよ」
失礼な。無礼な新人には教育が必要だろうに。
僕達二人は他の3人に説得され、大人しく拠点に帰る事にした。
拠点に帰ってくると店の方が騒がしい。僕達は急いで降りて行った。そしたら店の中に黒髪の20歳後半くらいの男が立っいて「黒姫を出せ!!俺が貴様のペテンを暴いてやる!!」と叫んでいた。
ゲンさんが「業務妨害で警備隊に連絡するぞ!!」と言っても聞きやしない。そうか、あいつが馬鹿新人か。僕がいっちょ教育的指導をしてやる。そう思って出ようとしたら、いつきさんに止められた。
「こんなところで暴れられても迷惑です。私が対処します」
そう言っていつきさんが新人の所へ、苦情を言いに行った。
男といつきさんが言いあっている。
「よいやみ。あいつが剣に手をかけたら行くよ」
「分かっているっす」
僕達の心配をよそに、男は半べそでいつきさんに手紙を渡して帰っていく。どう言ったか知らないけど、いつきさんに勝つのは不可能だったようだ。あの人に口で勝とうと思ったら、シドさんのような人を連れてこなきゃダメだろうな。
帰ってきたいつきさんは僕に手紙を渡してきた。なんかこの手紙、スッゴイかわいいんだけど?中身は?
【俺と勝負しろ!!腰抜けが!!こそこそ逃げやがってお前の化けの皮を剥いでやる!!!】
……………………ぶち殺したい。
挿絵に挑戦したくなったので実験に登場人物というのを作ってそこにみつきとゆづきだけ載せてます。他のメンバーは描けたら載せます。




