大型新人編2 黒女神
いつもの部屋には、オルテガさんとゲイルさんもいた。ラビさんはパーティ登録のための書類を、テーブルの上に置いてくれた。
「ん?新しい顔が二人いるな?片方はソーパーの勇者か?」
「カレンと言います。こっちはアディ。よろしくお願いします」
オルテガさんは興味深そうに、魔宝玉の結果が見える場所に移動した。
ゲイルさんは、オルテガさんに何か言おうとしていたが、ため息を吐いて諦めたようだ。ゲイルさんは苦労役のようだ。
「みつきさんから、魔宝玉に手を置いてください」
僕は言われた通り、魔宝玉に手を置いた。
みつき
職業 :勇者 神の領域に踏み込む者
称号 :勇者黒姫 女神・神を宿す者
ランク:ヒヒイロカネ
「……………え?何か、称号とかいうのが追加されてるけど?それに前と表示が違う気が?」
「あぁ、最近魔宝玉が勝手に進化してな。称号とかいうのを見れるようになったんだ。それより気になるのが女神を宿す者ってなんだ?」
「あ、本当に書いてあるっす」
「まぁ、二柱も身体に宿したんですから、仕方ないですよね?」
「え?」
ラビさんは驚いている。
「どういう事だ?」
オルテガさんに聞かれたので、僕の代わりにいつきさんが、詳しく説明してくれた。僕が聖剣を2本持っていること、女神セリティア様を体に宿したことがある事、どっちにしても前例のない事なのでオルテガさんは驚いていた。
ゆづき
職業 :生死を司る者
称号 :無限の救世主たまに最終兵器
ランク:ヒヒイロカネ
よいやみ
職業 :神の領域に踏み込む者
称号 :大罪 暴食の破壊神
ランク:ヒヒイロカネ
いつき
職業 :真なる聖女
称号 :大罪 強欲の聖女
ランク:ヒヒイロカネ
オルテガさんは、僕達旧黒姫一行のランクを見て絶句している。
「おいおい。4人がヒヒイロカネで全員が称号持ち?マジかよ?」
ラビさんの話では、魔大陸の鬼二人が鍛えてくれたことによって、冒険者や見習い勇者の中に、オリハルコンの者も何人か出てきたようだ。ちなみに鬼二人とは、うちのじいちゃんとグレンさんだ。
だが、称号持ちまでは現れていないそうだ。それにしても、よいやみといつきさんの大罪とはなんだろうか?オルテガさんに聞いても分からなかった。アルテミスにまた聞いてみよう。
カレン
職業 :勇者兼解体師
ランク:オリハルコン
アディ
職業 :解体師
ランク:オリハルコン
「なんだ、新人二人もオリハルコンじゃないか。お前ら、こんな優秀な人材どこで見つけてくるんだ?」
どこと言われてもね?成り行きとしか言いようがないんだけど。それに僕達の持ってくる魔物は、魔大陸産ばかりだから優秀じゃないと困るんだよね。
ラビさんが僕達の職業、称号、ランクを書類に書いている。
「リーダーはみつきさんでいいんですか?」
む?どういう意味だろう?いや、僕がリーダーなんだろうか?
「いつきでいいんじゃないっすか?あしもみつきもいつきには逆らえんっすから」
「じゃあリーダーはいつきさんでいいですね?」
「あ、うん」
僕が肯定するといつきさんが怒ってきた。僕らパーティは、勇者黒姫のパーティであり、聖女のパーティではないと説教を喰らった。オルテガさん達の前で30分説教を喰らったので泣きそうになった。
「みつき半泣きだったっす」
余計なことを言ったせいで、よいやみが僕の次に説教を喰らっていた。
「みつきのせいでえらい恥かいたっす」
よいやみがそんなことを言ってくる。あれは僕せいじゃないんじゃないだろうか?僕はよいやみの頬をつねった。よいやみはすかさず反撃してくる。頬のつねり合いをしていたら、またいつきさんに怒られた。
「ラビさん、リーダーはみつきさんでパーティ名は≪黒女神≫でお願いします」
「黒女神ですか?」
今思い出しても恥ずかしいんだが、黒姫依頼の恥ずかしさだよ。
ギルドでのパーティ登録の終わった僕達は、オルテガさんから最近の話を聞かれたので、カレンが仲間に加わった経緯を話した。
「冒険者ギルドの冷遇は酷かったですよ」
オルテガさんが食いついたのはその話題の時だった。どうやらソーパー王国のギルドマスターは知り合いのようだ。酔っ払いでセクハラをしていたという事を話すと、近いうちにどつきに行くと約束してくれた。
「しかし、教会が冒険者ギルドをねぇ。王都ではそういう事もないけど、結構各地でそういうゴタゴタがあるとは聞くからなぁ。最悪、王都の教会で巫女を育てて、全世界に派遣したらどうだ?」
「流石にそれは無理ですよ。今回だってえりかさんがいたからこそ、出来たことなんですよ?えりかさんがいなければ、ソーパーの教会を潰していたでしょうね」
そうだったのか。確かに女手一つで教会を守り抜くのは不可能だと思う。ソーパー王国の場合、えりかさんという人材と、クレイザーがえりかさんの守護に回るから、問題なく話を進められたんだろう。
「王都のギルドでも問題は起きているからな。バトスはまだ帰ってきてないだろ?お前らが帰ってくると報告があったから、バトスには遠くに仕事に行ってもらったからな」
ん?あぁ!
「そういえば、問題のある人が冒険者になったんだって?」
「もう聞いてたか?アロン王国の東に位置する場所に、レギーナ帝国という国がある。剣士で構成された国らしくてな、剣聖が有名だな」
「あぁ。あしも行ったことあるっすよ?みんなが反った剣を持ってるっす。あしが見たときはそこまで強そうなのはいなかったっすけど、師匠と互角のじいさんはいたっす」
グレンさんと互角って時点で人外じゃない。
「人外ってのは酷いっすね。否定はしないっすけど、強い爺さんだったっすよ?」
爺さんか。時の番人の3番の人も反った剣を持っていたなぁ。
「多分その爺さんが剣聖って奴っすね?」
「いや?剣聖は40代で、まだ爺さんと言われる歳じゃないぞ?」
じゃあグレンさんと互角の戦いをしたという人は一体?
「その爺さんに関しては良く分からないが、問題のある新人は剣聖の弟子らしくてな、ランクが最初っからオリハルコンだった。オリハルコンでも差があるのは知っているが、オリハルコンがギルドで表示される最高ランクと知ってか知らずか、他の冒険者と揉め事を起こすようになってな。ほとほと困っているんだ」
「どうしてバトスさんと共にしてるんですか?」
「初っ端にバトスにケンカを売ってルルにボコボコにされた」
ちょっと待って?確かルルさんもオリハルコンになったとは聞いてるけど、あの人は僧侶でしょ?なんで剣士に勝ってるの?しかもボコボコって?
「知らなかったのか?ルルはバトスが絡むと超人的な動きをするぞ?」
何その生物!?
僕達が談笑をしていると、よしおさんが慌てて部屋に入ってきた。
「すまねぇ、ミカルの奴を止めれねぇ!?みつき達が来ていると聞いたが早く帰った方が……」
よしおさんはカレンの方をジーっと見ている。カレンは真っ赤な顔をして横を向く。
よしおさんは顔が汗でビショビショになる。やっぱり、あの時の事を気にしてるんだね。
アディが包丁を握った。僕とよいやみがアディを止める。
「よしおさんは何も言わずに帰ってしまった」
「カーレーンー?あのおっさんになにかされたのー?」
「ち、違うんだ!!男のふりをしていたから胸とかを少し触られたり……」
「ぎるてぃ」
ゆーちゃんは一言そう言った。
「最低です」
「よし、あいつの奥さんにチクっとくか」
カレンを男と知らなかっただけで、よしおさんの信頼が壊れていく。よしおさん可哀想……




