表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/257

異国の勇者編14 神罰

 よいやみが教会の扉を蹴破る。

 教会の中には数人のシスターと何人かの男が話しをしていた。

 扉を蹴破ったよいやみを見て、硬直していた。

「随分しけた教会っすね」

 よいやみは挑発するように教会を見回した。

 教会の僧兵が出動したようだ。だが、よいやみが少しだけ殺気を発生させると、怯えて逃げて行った。

「教会の僧兵が真っ先に逃げるなんて、問題外ですね」

 いつきさんは教壇に上がり、戸惑っている男たちとシスターを見回した。

 男達がいつきさんに怒号を浴びせたが、いつきさんは気にもしない。

「ふぅん。教会に縋っている人もいるかと思いましたが、信者に見せかけた、犯罪者集団でしたか」

 いつきさんが蔑んだ目で、睨みを利かせてを男達を見ると、見られた連中は黙り込んだ。

「何の騒ぎですか!!」

 奥の部屋から、立派な衣装を着たおっさんが出てきた。これが大司教か?

「貴女達は何者ですか!?そこにいるのは勇者カイ…ト?なぜ!!カイトが女性になっているんですか!!?」

「貴方、セリティア様の教会の大司教を務めているのに、私を知らないんですか?」

「さぁ、私には分かりません。貴女はどこの誰でしょう?」

 教会内に男達の笑い声が響く。シスターは戸惑っている。そんな中でも、いつきさんは平気な顔をしてる。

「セリティア様の教会の大司教が、本物の聖女の顔も知らないとは……セリティア様がこの国を嫌うのも無理もありませんね。少なくとも、本物の巫女がいる教会では、私の存在は巫女全員に共有されているはずですがね。そこにいるシスター達は仕方がないとしても、貴方が知らないのは問題があると思いますが?更に、いい事を教えてあげますよ。セリティア様の教会では、聖女を頂点に大巫女、巫女、司祭、シスターと続くんですよ?大司教なんて肩書は存在しません」

 いつきさんが大司教にそう言うと、教会内が静寂に包まれた。

 シスターの何人かは顔が青褪めている。この人達は、本当にここで働いていただけなんだろうか?

「さて、何かいう事はありますか?」

「黙れ!!僕の母はアロン王国の大巫女だ!!聖女は存在しないって言っていたぞ!!」

「は?シスタークリスは大巫女じゃありませんよ?巫女ですらないのになぜ大巫女になれるのですか?」

 いつきさんの言葉に、大司教は顔が少し青くなっていた。

「黙れ!!ママは誰よりも、セリティアに愛されているのは僕だと言っていた!!!!!」

「だから、大司教ですか?」

「女神に愛されているんだ!!!何をしても許されるはずだ!!!!」


「私がお前を愛す?そんなわけないだろう?」

 教会の扉付近に、ピンクのワンピースを着た、金髪ツインテールの女の子が立っていた。

 その目は銀に輝いていた。

「だ、誰だ!!!!なんだそのガキは!!!!」

「何をしてるんですか?」

 いつきさんはため息を吐きながら、その子を見た。

「セリティア様………」


 いつきさんがその名を口にした瞬間、空気が重くなった。

「いやな。ババアに神罰を加えて遊んでいたら、その気持ち悪い男の事が、ババアから読み取れたから見に来てみた。そしたら私に愛されているとかな、気持ち悪い」

 セリティア様は浮き上がり、2対4枚の羽を広げた。銀の目が更に輝きを増す。

 体から、神のみが纏うのを許される神気を纏っている。アルテミスに身体を貸している時に僕からも発せられていたそうだ。

「さて、神罰の時間だ……」

 セリティア様が手を挙げると、教会が軋み始めた。

「ま、待って!?ぼ、僕はセリティア様を愛しています!!そんな聖女なんかよりもずっと!!!」

 セリティア様は心底気持ち悪そうにした。教会の天井が少しずつ落ちてくる。

 気付くと僕の仲間たちやシスターには薄い膜のようなものが体を包んでいた。逆に男どもには何もない。

 天井から瓦礫が容赦なく降り注ぐ。

 何かの力に保護されている僕達には、瓦礫が落ちてくることなかったが、保護されてない連中は瓦礫に潰されたりしていた。

「セリティア様の力です。心に悪意、いえ、罪を犯した者には女神の加護はつきません。更に今回は神罰の対象です」

 大司教はもがき苦しんでいる。何が起こっているのかは、僕には分からない。

「私の愛がほしいんだろ?受け止めてみろよ!!!愛情たっぷりのお仕置きだよ!!」

 セリティア様が大司教の顔の前に手を翳すと、大司教は急におとなしくなった。

 それと同時に、教会の崩壊は止まった。

「さてと、スッキリした。ババアのお仕置きはまだだから私は帰るね」

 セリティア様は満足したのか笑顔で光の中に消えていった。

「嵐のような女神だ…」

「あの方は基本自分勝手な我が儘なんですよ」


 教会の異変を聞きつけた軍の兵士が教会に集まってきた。

「勇者カイト!!」

「父さん!!」

 兵士の鎧を着た金髪のおじさんがカレンの傍に来た。この人が王様の親友という人だろう。

「カレン。陛下から聞いたんだな」

「うん」

「そうか……大司教は?」

「そこにいる」

 おじさんはカレンから大司教の場所を聞いた後、他の兵士に指示を出した。大司教は兵士に両脇を抱えられ連れて行かれる。大司教は、捕まって拘束されている間も、聞き取れない言葉を話し続けてた。

「セリティア様に精神を破壊されましたね。神罰ですから、二度と治ることはないでしょう」

 大司教が連れていかれた事で、街の人達が教会に注目していた。シスターが数人残っていたが、教会はあまりよく思われてなかったらしく、シスター達は居心地の悪そうな顔をしていた。

「結局、ここにいる女は大司教の女なんすかね?」

「ち、違います!!」

 シスターの一人が叫んだ。

 シスターの話ではここにいるのは、借金の肩にここに連れてこられた女ばかりで、大司教に抱かれることはあっても、心の奥底では恨んでいたそうだ。その心をセリティア様が読んだのか女神の加護がついていたのは、それが理由だろうとのことだ。

 僕達も一度城に戻ることになった。教会を再建させる事を国民に問うらしい。いつきさんもそれが良いと言っていた。

 教会のない国などいくらでもあると、国民が必要ないと言ったらこの国もそうなればいいと、王様は言っていた。

 実際、セリティア様の加護がある国というのは存在しない。アロン王国はたまたま王都に聖女が発現しただけで、国に加護があるわけではない。だからアリ姉との会談後、同盟を結ぼうとしているのだろう。国を守るためなら、女神だろうが魔族だろうが関係なく力を借りると言っていた。


 その後、国民に教会の是非を兵士が聞いて回ったところ必要だという声が多かったことから、教会は再建されることになった。当初の予定通り、えりかさんが大巫女になることで落ち着いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ