異国の勇者編9 盗賊のアジト
僕達が辿り着いたときには、もう襲撃者はいなかった。
「みつき、あしがいつき達を連れてくるっす。みつきは残党がいないか確認を取っておいてくれっす」
「うん、わかった」
おかしい。さっき生体感知した時から5分くらいしかたってないのに、なんで襲撃者がいなくなってるの?生体感知にも引っかからない?どういうこと?
僕は、怪我をしている人達に、薬草を塗りつけたりしていた。
「すまない。でもお嬢ちゃん、出来るだけ早くこの村を去った方が良い」
お爺さんは少し怯え、体も震えている。周りを見渡しても、若い人たちがいない。
「若い人はいないの?」
「男は労働力に連れていかれ、女は慰み者にするために連れていかれた。逆らうものは容赦なく殺された。生き残った者は地下に隠れさせている」
「ここまでされているのに、国は動いてくれないの?」
「わし等からでは、軍に直接言うことは出来んさ。教会に言ったが、対処をしてくれやしない。お嬢ちゃんも早くこの村から逃げなさい。この村にいたら、お嬢ちゃんまで」
ん?
僕は無言で立ち上がる。
「出ておいでよ。さっきから僕をじろじろ見てるだろ?」
家の裏から、ナイフを持った盗賊らしき奴が出てきた。
「へへへ、上玉がまだいるじゃねぇか。おい女!!その場で脱げ!!味見をしてやるよ!!」
僕は、盗賊を睨んだ。当然殺意を込めてだ。
「ひげ!?な、なんて目で……」
「何か用?」
盗賊の膝がガクガク震えだす。盗賊は逃げようと後退りを始める。
「ねぇ?逃がすと思う?」
僕は振える盗賊の足を蹴り折る。
「ぎゃあ!!」
「ねぇ?お前らのアジトはどこ?」
僕の殺気に当てられて、男の股間から液体が流れだす。
「みつきさん!!待ってください!!」
いつきさん達が来たようだ。僕は冷静だよ?だって殺してないもん。
いつきさんは盗賊に拘束魔法をかけた。
「ゆづきちゃん、ひーるをかけて下さい」
「どんなしゅるい?」
「自白できそうなのを。出来る?」
「たぶん、ひーる!」
盗賊の体が光る。
光った後血を吐く。
暫くすると目が虚ろになる。成功なのかな?
「あしが拷問するっすか?」
「大丈夫ですよ。質問です。貴方達は何故、村を襲うのですか?」
「あーあー。よくぼうをみたすため」
「どこから来ました?」
「あのやまのふもとのあじと」
「さらった人をどうしましたか?」
「おんなはおかしてからころした。おとこはごうもんしてからころした」
村人達からすすり泣く声が聞こえてくる。
僕は、とりあえず盗賊の顔を殴った。
「いたい」
「最後に貴方達に命令したのは誰ですか?」
「きょうかいのしさいとかいってた」
教会の関与、確定か。
「いつきさん、こいつどうする?」
「村人に託しましょう。お爺さん、これはもう抵抗はしないはずです。好きにしてください」
「お前さん達はどうするのじゃ?」
僕は聖剣を取り出した。
「この聖剣に誓うよ。ご家族の仇はとるよ。勇者黒姫の名にかけてね」
僕が勇者という事にお爺さんたちは驚いていたが、僕達が出発するまで、止めようとしていた。きっと、被害者を増やしたくないと思っていたんだろう。優しい村人達だ。
いつきさんが転移魔法で、一度ギルドに行き、暇そうにしていたクレイザーを連れて戻ってきた。
「クレイザー、今のあんたなら、この村に来る盗賊程度、簡単に倒せるでしょ?この村を守ってね」
「……分かったよ。今回は僕もふざけてはいられないね」
僕達は村の警護をクレイザーに任せて、盗賊のアジトに向かった。
僕達は、さっきの盗賊が話した、山の麓までやってきた。
生体感知には、ばっちり盗賊と思われる連中が感知できている。
入り口付近には、見張りと思われる奴が4人いる。
「いつきさん。生死はどうする?」
「殺さないでくださいね。捕まえたほうが、教会相手にするのに便利ですから」
「分かったよ。」
僕達はゆっくりアジトの入り口に向かって歩き出す。
近付いていくと、盗賊が僕達に話しかけてきた。
「おい、ねーちゃん。かわいいじゃねぇか。こっち来いよ!!」
盗賊の一人がいつきさんの手を掴んだ。その瞬間、盗賊の腕が宙を舞う。
「汚い手で、いつきさんに触れるなよ」
僕は、呆然とする盗賊の太ももをに剣を突き刺した。
「ぎゃああああ!!」
「うるさい」
盗賊の頭を刃の腹で殴りつける。盗賊は無様に地面に転がる。転がる盗賊の頭を踏む。
「た、助けてくれ!!」
「嫌だね」
「そ、そんな!!や、やめてくれよ!!」
他の盗賊は、怯えて腰を抜かしている。そこをよいやみが顔面を踏みつける。
「汚い面で見るんじゃないっす」
「お二人とも、女の子とは思えない顔してますよ?弱水毒!」
弱水毒。水を毒に変える魔法らしい。聖女の使う魔法じゃないと思う。
「ほーら、お飲みなさい」
転がる盗賊に、毒を飲ませる。弱い毒なので死にはしない。
毒を飲まされた盗賊はもがき苦しんでいる。
残った盗賊は失禁している。
「きちゃない。ぷちぐらびとん」
残った盗賊は自分の失禁跡に、顔面をつけるように重力に潰される。
傍から見れば、地獄絵図に見えるだろうね。
いつきさんは4人を拘束魔法で拘束して、入り口付近に放置する。逃げないように、両足の骨は折っておいた。
僕達は入り口からアジトに入る。
僕がアジトごと潰そうかと言ったら、まだ生きている人がいるかもしれないと、却下された。
盗賊のアジト内部に入ると、死臭がする。こいつら一体何人、殺してきたんだ?
道すがら、何人かの盗賊を痛めつけて、拘束した。その中の一人に面白いのがいた。
「貴方。聖職者ですよね?なぜ、聖職者がこんな盗賊のアジトにいるんですか?」
「わ、私はここに捕らえられていたんだ!!」
「へぇ。捕らえられていたのに、自由にアジト内を歩いていたんですか?面白いことを言いますね?」
「ち、違う!!脅されて仕方なく!!」
いつきさんは、聖職者の頭に魔法具のリングをつけた。
「嘘を吐いたら、その魔法具から電流が流れます。軽く快感になるかもしれませんよ?」
いつきさんは、口角を上げニヤニヤしだした。あれがこの世界の聖女とか酷いね。
「こんなところで何をしていたんですか?」
「い、いや…だ、だまされ…ぎゃあああ」
聖職者に電流が流れる。
「あれ?嘘なんですか?」
しばらく、聖職者を虐めた後、拘束して盗賊たちが失禁しているところに放り込む。
僕達は、さらに奥まで進む。
奥で見たのは、牢屋みたいなところに入れられて死んでいる若い男性達。きっと、拷問を受けたのだろう。どの人も体中ボロボロで、顔には血の涙の跡がしっかり残っていた。
「ゆーちゃん、生き返らせられないかな?」
ゆーちゃんは首を横に振る。
「いきかえってもにんげんにもどれない。ここのひとぜんいんのたましいがいかりくるってる」
「死界に返すしかありませんよ。死界でせめて、安らかに暮らせるように。浄化の光」
いつきさんの魔法で、遺体が光る。その顔は少しだけ穏やかな顔をしている気がした。
岩陰から、大男が現れた。大きな棍棒を持っている。あれで拷問していたのだろう。
「おい!!てめぇら!!こんな所で何をしてやが!!!」
言い終わるより先によいやみの蹴りが、男の顔面に入っていた。
男は仰向けに倒れると、その上によいやみが立ち、顔を思いっきり踏みつけた。
男の顔は、鼻が折れているのか、血まみれになっていた。
「あ…がが」
男は、何かを言おうとしているが、よいやみが足の骨を蹴り折ったところで、気絶してしまった。
「なんすか?拷問する癖にちょっとやられただけで、気絶するなっす」
男を拘束した後、岩陰の方に行ってみると、奥に立派な扉があった。
「あの奥に、盗賊の頭がいるんすかね?」
「多分ね」
「ぶち抜くっす」
よいやみはそう言って、扉を蹴り飛ばした。




