異国の勇者編8 ソーパー王からの依頼
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よしおさんにカレンを預けてから数日。いつきさんの店に、ルルさんがやってきた。
「みつきちゃん。黒姫一行に至急、ソーパー王国に向かって欲しいんだけど」
「嫌です」
流石いつきさん。理由を聞く前に断るなんて。
「みつきちゃんに聞いてるんだけど?」
「私も黒姫一行のメンバーです」
「一応王命なんだけど?それでも拒否するの?」
「王命だからといって知ったことじゃありません。嫌です。お帰りください」
王命を簡単に蹴るいつきさんに、ルルさんは呆れ顔なっている。
いつきさんが僕に「絶対厄介ごとですよ。拒否しますから黙っていてくださいね」と小声で言ってきたので、僕としてはそれに従う。
「みつきちゃん!!貴女が決めなさい!!」
話を振られた。困った。いつきさんの方を見ようとしたら、ルルさんに怒られた。
「え、えっと。僕一人じゃ決められないので、その話はほりゅ「貴女がリーダーでしょ!!決めなさい!!」う……分かりました。行きます」
あ、あうー。いつきさんの方を見るのが怖いよー。
僕はチラッといつきさんの方を見ると、凄くいい笑顔でいつきさんがこっちを見ていた。目は笑っていなかった。うぅー。確実に説教コースだ。
「全く、みつきさんは押しに弱すぎます!!そんなんじゃ、悪い奴に引っかかりますよ!!」
いつきさんは、説教が終わった後も、注意と言って怒ってくる。怖い。
「もし、そうなってもゆーちゃんがまもる」
僕はゆーちゃんを抱きしめる。本当にゆーちゃんだけがボクの癒しだよ。
「とはいっても、いつきも元々行く予定だったんすよね?王族からの仕事となると報酬はガッポリっすからね」
「当たり前です」
なら、僕をあんなに怒ることなかったじゃないか。
僕は抗議の意味で、いつきさんをジト目で睨む。
「な、ん、で、す、か?」
「な、何でもないです…」
僕は逆にいつきさんに睨まれて、目を逸らす。
「みつきは、強いのに相変わらず自信がないんっすよね」
「う、うるさい」
僕達4人は、ソーパーの王城に転移してきた。
「ん?ようこそ!!黒姫様一行ですね」
若い男の人が話しかけてきた。誰だろう?
「よいやみ姫。久しぶりだね」
「久しぶりっす。王太子殿下」
王太子?ソーパー王の息子さんか!!
「父を呼んできます。こちらの部屋でお待ちください」
応接間に通された僕達はソファーに座って待つ。
「よいやみ。王太子はどうなの?」
「どうってなにがっすか?」
「人として。カレンはともかくローレルは性格が酷かったでしょ?」
「あぁ、ヨハン王子は大丈夫っすよ。ソーパー王も別に変人じゃないっす。立派な王だと思うっすよ?娘はあれっすけど」
「まともと判断してくれてよかったよ」
笑いながら、ソーパー王が部屋に入ってくる。
僕達は立ち上がって挨拶をする。
「いや、こちらが呼んだ形になる、かしこまらんでくれ」
僕達は再び座り、今回の呼び出しの理由を聞いた。
ソーパー王の話では、ローレルの聖女の地位と王位継承権を剥奪したことに教会が反発しているらしい。どうやら大司教と呼ばれる人が、王に対して意見書を送り付けて来たそうだ。
「大司教ですか?たしか、セリティア様を信仰している教会にはいなかったと思いますが」
いつきさんの話では、セリティア信仰の教会ではセリティアの巫女の地位が高く、巫女の上の地位は聖女しかいないそうだ。アロン王国でシスタークリスが幅を利かせていたのは、数多くの巫女を世話したというのにあったそうだ。
「大司教の手紙では、ローレルを幽閉してから魔物の活動が活発化していると報告があったと書いてあった。軍の方で、偵察に向かわせたんだが、そんな証拠がまずない。むしろ、襲われた村々は盗賊に襲われたように、金目のものと若い女が被害にあっていたそうだ。ここまで来ると怪しく感じないか?」
確かに魔物ならば、人間を食べることはあっても、金品を奪うことはしない。
いつきさんを見たら、面倒臭そうにしていた。恐らく教会が絡んでいるのが目に見えているからだろう。
「王の力で、教会を黙らせることは出来ないんすか?」
「それは無理なのだよ。よいやみ姫も知っていると思うが、教会は独自の力を持っている。そこが物凄く厄介でね、下手に手を出せないのだよ」
いつきさんは、目を瞑っている。何を考えているんだろうか?
「ソーパー王。この国の教会を潰すことには賛成しますが、潰した後はどうします?教会の加護を必要としている方たちもいるのもまた事実。もし、よろしければアロン王国から巫女を何人か派遣したいのですが」
巫女の派遣。つまりは、今の教会関係者はクビという事になる。それは国としても認められないだろう。
「ぜひお願いしたい。下らない神の啓示だのなんだので、振り回されるのはごめんだからな」
「分かりました」
ソーパー王、即答だったな。腐った組織はいらないという事なんだろう。
「教会が何かを隠しているのは、明白なんだが証拠が見つからん。魔物に襲われたと言っても証拠すらなく、一番気になるのはな、うちの国にもカレンほどではないが強い冒険者も存在するのだよ。そいつが拠点にしている村は襲われない」
「成る程。襲う場所を選んでいる節がありますね」
「襲われたと言われている場所を記した、地図を渡しておこう」
「ありがとうございます。でも報酬はしっかり頂きますよ?」
「分かっているよ。アロン王にも報酬の話をしっかりしないと、痛い目に合うと聞いているからな」
「ふふふ。痛い目には合わせませんよ?」
流石、王様いつきさんの事をよくわかっているなぁ。
「それじゃあ、襲われたといわれている村々を周ってみます」
僕達は、ソーパー城を出た後どうするか話し合うために、宿をとった。
「襲われた村と言っても、転移できるの?」
「行ったことがない場所である以上、転移は出来ないのでソーパー王都から近いところから周るしかないですね。今回は何日かかるでしょうね?あぁ、面倒な」
「ご、ごめんなさい」
「みつきさんのせいじゃないですよ。教会の不始末ですからね。聖女の私が引導を渡す必要があるんですよ」
「んー。魔道マップでもあればうまい事、近くに転移できないっすか?」
「魔道マップですか。店長なら持ってるか、作れるかもしれませんね。皆さんは宿で休んでいてください」
次の日、魔法具屋で魔道マップというものを貰ってきたいつきさんが、魔道マップを開いていた。
「これでなんで近くまで、転移できるようになるの?」
「魔道マップというのは、各地の魔力の残滓を封じ込めているものなので、その魔力の残滓を使って転移をすことが可能なんですよ。だけど魔力の薄い土地では、制度も悪いですし、逆に強すぎると妨害されますし。使うのが意外と難しい魔法具なんですよ」
「よくわかんないけど、それで近くまで行けるんだね。じゃあ早速行く?」
「そうですね」
僕達は、最近襲われた村の近くに転移魔法で移動した。
僕達が辿り着いたのは、道が引かれている草原だった。
「街道が引かれているんですね。普通街道には警備隊を常駐させるものだと思いますが、いなさそうですね。みつきさん、どっちの方向に村がありそうですか?」
「こっちかな?でも、でも……」
「そうっすね。間違いなく村だとは思うっすけど、次々人の……みつき行くっすよ!!」
「うん!!」
「よいやみさん!?」
「襲われてるっす!!」
僕とよいやみは全速力で村へ向かった。
新連載始めました。「豚の王」 https://ncode.syosetu.com/n8587er/
あっちは不定期更新の予定です。




