異国の勇者編7 カレン
ソーパー王との話し合いの後、僕達だけギルドに帰ってきた。
受付に行くとリリアンさんがいたので勇者の今後をリリアンさんに相談することにした。
「で?勇者はどこにいるの?」
「私の店の一室でかくまっています。この国の冒険者達はカレンさん達の事をよく思っていなさそうなので、ギルドの方で対処というか、しばらくはギルド付きってことにしてくれませんか?」
「構わないけど、勇者はカレンっていうの?女の子みたいな名前ね。確かあの魔法使いや偽聖女は、カイトと呼んでいた気がするのだけど?」
リリアンさんはカレンが女の子という事を知らないのか。困ったな。リリアンさんに話していいものだろうか?
「リリアンさん。極秘事項です。カレンさんはソーパー王の妾の娘。ここまで言えば、リリアンさんなら理解できるでしょう?」
「わかったわ。じゃあ連れてきてくれる?」
僕達は頷き、拠点に戻った。カレンは客間にいるそうだ。僕達が帰るとゲンさんが焦ったように出迎えてくれた。
「お父さん?何をそんなに焦っているの?」
「いつき!!あの男は何だ!?お前の彼氏か!?お前が何もするなというから、話しかけてもいないが、父さんは気になって気になって、仕方ないんだ!!」
カレンが男と聞いて、噴き出す僕とよいやみ。そんな僕達を見てゲンさんは青褪める。
「ま、まさかパーティ全体のあい……」
「それ以上言ったら、本気で親子の縁を切りますよ?店からも追い出しますよ?」
いつきさんがマジ切れしている。ゲンさんの考えには、流石の僕でも引く考えだ。よいやみも汚いものを見る目で見ている。
「あ、す、すまん!!そんな目で見ないでくれ!!」
ゲンさんはなんだかんだいっても、いつきさんの事を溺愛しているので、いつきさんに彼氏ができるのが嫌のようだ。
「それにカレンさんは女の子ですよ」
いつきさんが去り際にそう言うと、ゲンさんはホッとした顔になっていた。
カレンの部屋に入ろうとしたら悲鳴が聞こえてきた。僕達が慌てては部屋に入ると、ゆーちゃんがカレンを脱がそうとしていた。
「ゆ、ゆーちゃん?」
「おかえりみーちゃん」
「な、何やってんの?」
「しんたいけんさ。こいつからめすのにおいがする」
「メスって……」
「た、助けて!!」
僕はゆーちゃんを抱っこする。ゆーちゃんは暴れているが、この程度では離さないぞ。
「あ、あのこはなんなんだい!?」
「勇者カイトさん……いえ、勇者カレンさんお話があります」
僕達は、ソーパー王から本当の事をカレンに話すように依頼されたので、カレンにソーパー王から聞いた、カレンの出生の秘密をカレンに話した。
「やっぱりめすだった」
ゆーちゃんは満足そうな顔をしていた。
カレンはビックリはしていたが、それよりも、もう男の振りをしなくていい事を喜んでいた。
「もう、ボクとか言わなくていいんだね。それが嬉しいよ」
「え?」
どういう事?僕は自分の事、僕って言ってるんだけど?よいやみの方を見ると、僕を見て笑いそうになっている。いや、お前もあしって自分の事言ってるだろうが!!
「それで、王は私にどうしろと?」
「しばらくはアロン王国付きの勇者をして、実力をつけて自分の道を歩いて欲しいそうですよ。カレンさんが自分の娘と知られることで、政争に利用されるのを心の底から嫌がっている様ですから」
「でも私はこの国で、様々な問題を抱えていた勇者パーティなんだよ?」
「大丈夫っすよ。カレン達より、よっぽど問題を起こしている、勇者がここにいるっすから」
ん?それは僕の事かな?しつれいな!!問題なんて起こしてないよ!!
「初日に乱闘を起こしたと聞いたっすよ?」
ち、違う!!あれは、馬鹿な冒険者が喧嘩を売ってきただけで。
「それより前でいったら、勇者の間の扉を蹴破ったとこ聞いてますが?」
そ、それは、あんなところに閉じ込められたら誰だって…
「そして最近、魔力開放してギルド内をめちゃくちゃにしましたよね?」
「ごめんなさい」
もう勘弁してください。僕達を見て、カレンが微笑んでいる。
ギルドに来た僕達を、冒険者たちが一斉に見る。いや、僕達を見るというよりは、カレンを見ているかな?
女性冒険者からは、黄色い声が上がっている。
カレンは見た目とぺったんこの胸のおかげで、美少年に見えるからね。この声も仕方ないね。
カレンは、ギルドに入ると頭を下げて「私の仲間がギルドで暴れて申し訳ありませんでした!!」と大声で謝った。
ギルドの皆は口々に「お前はなにもしてないよ」「仲間が悪いのであって、お前は悪くない!!」と言っていた。ここのギルドはいい意味で軽いな。
「私は、ソーパー王国で勇者をしていました、カレンと言います。以後お見知りおきを」
カレンが挨拶を兼ねた自己紹介をすると、女性冒険者が一斉に自分のパーティに勧誘し始めた。
そこに僕が爆弾を落とす。
「カレンは女の子だよ?胸はないけど」
僕がニヤニヤしながら胸がないと言うと、カレンは「いや、男に見えるようにサラシを巻いてて、君よりも胸はあるんだけど?」と半笑いで言われた。
よいやみは、爆笑している。後で覚えとけよ。
カレンが同姓と知った女性冒険者達は一部はショックを受けていたが、一部は「それでもいい」と涎を垂拭いていた。カレンは少し青い顔をしていた。
「おぅ!!みつき、帰ってたのか?」
「よしおさん!!あれ?ソーパー王国に行ってなかったの?」
「ん?あぁ、新人の教育係が一人もいなくなるのはまずいだろ?そいつが、異国の勇者ってやつか?」
「あ、はい。カレンと言います」
「よしおさん、その子の事を頼めますか?しばらく、アロン王国で活動するそうなので」
「ん?あぁ、分かったよ。うちの大将はしばらく帰らんのか?」
「多分。向こうで王様の護衛をすると言っていたから」
「了解。ほれ、カレンだったか。今日も新人の研修があるから行こうか」
「あ、はい!!」
よしおさんとカレンは新人研修に向かて行った。
よしおさんに、カレンの性別言ってないや。まぁ、よしおさん既婚者だから大丈夫だろう。




