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異国の勇者編5 勇者カイト

≪カイト視点≫


 ボクはカイト、ソーパー王国の一般兵士の子供。これといって特出した能力もないのに、何をどう間違えたか勇者に選ばれてしまった。

 勇者に選ばれてからは困難の連続だった。幼馴染の子とは離れ離れにされ、王女の婚約者にされた。

 ボクの国の王女は、あまりいい噂を聞かない。この間も、ある有力貴族と恋仲になり、有力貴族の婚約者を自死にまで追いやったとか、某国の第一王子に裸で迫っただとか、ボクとしては関わりたくない人物だ。それにボクには、誰にも言っていない秘密がある。

 この王女もそうだが、ボクの仲間はみんな、権力を笠に着た人達ばかりで、いつもでもどこでも偉そうにしている。ボクが聞いた噂だと、ソーパー王国そのものの評判も悪いそうだ。


「はぁー。なんでこんなに苦労しなきゃいけないんだろう。王女の相手なんて嫌だし、はぁー。アディに会いたいな」

 僕がトボトボ歩いていると、ちっちゃい女の子が話しかけてきた。この子は確か、オーソンを痛めつけていた、あの黒髪の女の子と一緒にいた女の子?

「あしたごぶりんたいじにいって。だいじょうぶわるいようにしない」

「え?いくら何でも、ボク達がやるような仕事じゃないって、仲間に言われそうなんだけど」

「ゆうしゃはひとをまもるためならどんなにちいさいことでもやるの。みーちゃんはそうやってた?」

「いや、僕に聞かれても」

 でも、この子の言う通りだ。勇者ならどんな仕事でもやらなきゃ。

「分かったよ。明日だね」

 その女の子が一瞬ニターっと笑った気がしたけど、気のせいだろう。


 次の日

「あぁ!!!?ゴブリン退治!!?なんで俺達が、そんな雑魚退治しなきゃいけねぇんだ!!?」

「勇者はどんな仕事でもしなきゃいけないんだ」

「ふざけんな!!そんな雑魚、冒険者にやらしときゃいいだろうが!!」

「そうですわ。聖女として、あまり賛成できませんわ」

「そうだぞ、そんな仕事、俺達のパーティの仕事じゃない」

 やっぱり反対してきた。どんな仕事でも、ボク達の仕事じゃないという。

 じゃあ、いったいどういう仕事なら勇者の仕事と言うんだろう?

 もう、いいや。

「なら、ボクだけで行くよ。これでパーティ解散だ。今までありがとう」

「お、おい!!待てよ!!パーティを解散しなくてもいいだろうが!!」

「なんで?ボクの意見も聞いて貰えないのに、それに勇者としての行動すらしないし、一緒に旅をする意味もないじゃないか」

「そういう問題じゃねぇだろうが!!俺達は勇者パーティだぞ!?」

「うん。そうだね。だから、人が困っているようだから、ゴブリン退治に行くんだよ?」

「だからよ!!」

「それに付いて来れないんなら、パーティの意味がないじゃないか。君は冒険者ギルドで問題を起こした。この国に入ってから、ギルドに行く度、問題を起こしている。もう、ボク達の信用は底についている」

「わかりましたわ。だけど、この依頼が終わった後、お父様に報告させては貰いますわ」

「…………わかりました」

 陛下に報告か。ボクも終わりかもね。


 王国から一日かけてきた平原。ここにゴブリンの群れがいるそうだ。

「どこにいやがる!!さっさと終わらせて帰るんだよ!!カイトォ!!王に報告が行けば、王はお前に罰を下すだろうぜ!!もう俺達に逆らえなくなるぜ!!」

 うるさい。ボクの中に闇が生まれる。こいつらをここで殺せば、僕は勇者じゃなくなるんじゃないかな?

 僕はそっと剣を抜く。

 と、その時、一匹のゴブリンが僕達の前に現れた。

「なんだ!!一匹かよ!!?」

 オーソンは、魔法を唱えだした。他の二人はもう、終わったつもりのようだ。

 オーソンの魔法は、ゴブリンを焼き尽くす……はずだった。

 炎の中から出てきたゴブリンは、体が三倍に膨れ上がっていた。膨れ上がった体は筋肉の鎧につつまれ、その魔力はボク達が今まで戦ってきた魔物とは桁が違う。

「おいおい、なんだありゃ!?」

 ボクが聞きたい。あんなのがいるなんて。

「ふざけんな!!あんなの勝てるわけねぇだろう!!」

 オーソンが逃げだした!!あんなに偉そうに言っていたのに?ふざけるな!!

「逃げるな!!戦え!!勇者パーティなんだろ!!?」

 あとの二人も逃げ出したようだ。これがボクの国の勇者一行か。笑えてくるよ。ふざけている。ボクは逃げない。嫌々選ばれたとはいえ、ボクは勇者だ!!

 アディ……ごめん、帰れないかもしれない。


 僕は必死だった。でも、傷一つ、つかない。嘘だろ?こんなのが街に行けば、確実にたくさんの人が死ぬ。僕は逃げない。逃げて、恥ずかしい生き方はしたくない!!

「はい。恥ずかしくても、生きていればいい事もありますよ?」

 え?こんなところに人が?

「でも、勇者としては満点ですよ」

 僕を評価してくれている?どこか安心できる声だ。

「聖女として、勇者を導くのが仕事だそうですが、私は面倒臭いんですよね。でも、貴女の事は気に入りましたよ。うちの勇者が気に入るわけです」

 聖女?うちの勇者?誰だ?

「黒髪の女の子。知っているでしょう?あの子ですよ。あの子は勇者黒姫」

 勇者黒姫?……彼女も勇者だったんだ。

「さて、このゴブリンはゆづきちゃんの仕業ですね。出てきなさい」

 え?

 何もない空間から、昨日の女の子が出てきた。

「おまえなんでいるの?」

「昨日から、ソワソワしてたでしょ?楽しいことしようとして寝れなかったでしょ?」

「う…うるさい」

「あとで説教ね。ゆづきちゃん」

「うー。みーちゃんにたすけてもらう」

「ダメですよ?」

「うー」

「さて、あの魔物を片付けましょうね。ゆづきちゃん」

 女の子が前に進んでいく。危ない!!ゴブリンが殴りかかろうとしている!!

「しんしょーけっかい」

 女の子の前に透明の壁ができて、ゴブリンの攻撃をはじいた!?ボクは力負けしていたのに!?

「じ・が・ぐらびとん!」

 女の子が魔法を使ったら、目の前のゴブリンが潰された。一体何の魔法だ!?

「からの……しね!!」

 潰れていたゴブリンが、ピクリとも動かなくなった。倒したのか?

 ボクが全く傷つけられなかった、魔物を一瞬で倒した?この女の子は一体?

「とうしょのよていとちがう。あのさんにんをここでころすよていだったのに」

 この子怖い。凄く物騒なことを言っている。

「ざんねん」

 でも、これでボクは勇者じゃなくなるのか……もしかしたら、両親やアディ達がボクのせいで……

「何を心配してるかは知りませんが、大丈夫ですよ」

「え?」

「わるいようにしないっていった」

「王女が好き勝手していたのが、致命傷になりましたよね。あんな女が聖女を名乗るんですから、セリティア様に嫌われるんですよ。あの国は」

 セリティア様?なぜ女神の名前を?

「あ、自己紹介を忘れていましたね。初めまして。勇者黒姫一行の聖女いつきと言います」

「ゆーちゃんはゆーちゃん。くひめいっこう」

 せ、聖女!!?王女と違って本物の?

「さて、とりあえず貴女には、うちの拠点に今回の件が済むまでは、監禁させてもらいますよ」

「監禁って?」

「はい。アロン王とうちの勇者がソーパー王国に乗り込むそうなので」

「えぇ!!!」

 ボクが戸惑っていると、光の縄でグルグル巻きにされていた。あっさり捕まってしまった。

 こうしてボクは監禁されることになった。


≪みつき視点≫


「みつきー。カイトを捕まえたそうっすよー」

「うん」

 僕の足元には、オーソンとかいう魔法使いと名前は知らないけど、戦士が転がっている。当然、僕がボコったんだけど。

 よいやみの前には、縄でぐるぐる巻きにされた、王女が転がっていた。

「は、離しなさい!!わたくしを誰だと思っているの!!」

「糞ビッチ姫っすよね?」

「お、おだまり!!」

 本当にうるさい姫さんだなー。よいやみが可愛く……見えないや。

「なんか、失礼なこと思われた気がするっす」

 たまに鋭いな。

「みつき。来たぞ」

 バトスさん達が待ち合わせ場所に来た。王様とシドさんもいる。

 王様が神妙な顔で、ボクの方を見る。なに?

「みつき、相手を黙らせるために、アルテミス様のお力を借りたいんだが」

「別にいいですけど、でも、なんでですか?」

「こいつらは、聖女を語ったりしてるだろ?本物の女神を見せて牽制しておこうと思ってな。もちろんお前が断るのなら、別の方法を考える」

 王様の言うことも分かるかな。まぁ、今回だけは良しとしよう。僕は無言で頷く。

「陛下!!わたくしにこんな事をして、お父様が許すと思っているのですか!?」

「うるさい。お前はこの国で好き勝手動き過ぎだ。王都に来るまで。随分好きにやってくれていたそうじゃないか。カイトがどれだけ頭を下げて来たかも全て知っているさ」

 王様は、王女の前にしゃがみ込んだ。

「今回の事で、今まで外交でも大人しくしてやってたが、遠慮はいらなくなったんだ。感謝してるぜ」

「くっ!!わ、わたくしを手に入れたいんなら、好きにすればいいでしょう!!」

 何、言ってんだ?王様は、リリアンさんにベタ惚れだから、こんな奴に興味を持たないだろうな。ほら、心底汚いものを見る目をしている。

「お前みたいな、貞操概念のない奴には興味ねぇよ」

「ビッチっすからね」

 よいやみと王様のセリフで、完全に沈黙する偽聖女。

「ルル。転移を頼む。ソーパー王国の謁見の間に転移してくれ」

「はい」


ソーパー王国謁見の間

 転移してきた僕達に、驚く王様らしき人達。

「な!!何者だ!!貴様ら!!」

「久しぶりだな。ソーパー王」

「お、お前はアロン王!!?一体何の用だ!!この訪問は無礼だろうが!!」

「そうか?こいつらの方が無礼だったがな?」

 王様は、王女たちを転がした。

「な!!ロ、ローレル!?お、お前。まさか、またやらかしたのか!!!」

 ソーパー王の顔が真っ青になっていた。

「話を聞いてくれるな?ソーパー王」

「あぁ……」

プロット書いてたのと、書いているうちに違う方向に話が進む。よくあることですよね。

書きあがったら、投稿していきますので、明日の6時には投稿は無いです。

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