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異国の勇者編4 報告会

「みつきー。異国の魔法使いをボコったんすか?」

 僕が拠点に帰ってくるなり、よいやみにそんなことを言われた。

「よいやみ、ギルドに行ったの?」

「行ったっすよ。行ったら静かで、ラビさんに聞いたら、みつきが魔法使いをボコっていたって聞いたっす。

 ラビさん酷い。ちゃんとラビさんに許可をもらっていたのに。

「みつきさん。異国の勇者の仲間に会ったんですか?どんな人物でした」

「ギルドで怒鳴り散らす、頭が弱そうなやつだったよ」

 僕は、ギルドで見たことをいつきさん達に報告した。

「予想以上に酷いんですね。シドさんの言っていたこともわかりますよ。バトスさんが冒険者の皆さんを鍛えていたら見たことのない戦士が来たらしく、バトスさんと冒険者を貶していたそうですよ」

「なんすか?勇者の仲間はクズばっかりっすか?」

「いえ、聖女はまだ見ていないですね。セリティア様の聖女は私一人ですから、別の女神の聖女になるんですかね?」

『みつき。いつきが推測していることは、間違っていると伝えてください。私のわかる範囲ですが、この世界にはいつき以外の聖女は存在しません』

 残滓とはいえ女神であるアルテミスが言うのなら、その通りなんだろう。

「いつきさん。アルテミスが、聖女はいつきさん以外にいないと言っているよ」

「そうなんですか?じゃあ、異国の聖女はとは一体?」

「あぁ、あいつは糞ビッチ姫っすよ」

「よいやみ、聖女に会った……ていうか、知り合いなの?」

 よいやみは心底嫌そうな顔をして「知り合いだったっす」とため息交じりで言っていた。

 よいやみから聖女ローレルの事を聞いた僕達は絶句した。そんな人物が聖女って、いつきさんよりも酷いじゃないか!!

「多分、教会が無理やり聖女ってことにしたんじゃないっすかね?」

 聖女ローレルの国ソーパー王国ではよくあることだそうだ。そもそも、勇者選びも神の啓示と嘘を吐くらしい。

 クジ引きで選ぶこの国も大概だとは思うが、嘘ついてまで持ち上げる国も酷いな。

 あの国の勇者もかわいそうな気がしてきた。

「ソーパー王国ですか。あの国に巫女はいないはずですよ?私の知る限りですが、セリティア様があの国を嫌っていましたからね」

 女神に嫌われる国って酷いな。国として終わってるんじゃないの?

「バトスさんのとこに来た戦士はどういう奴だったの?」

「私もお客さんから聞いた話ですから、詳しくは知らないんですけど、バトスさんを罵ったそうですよ」

 うわぁ、それって……

「案の定ルルさんがブチギレまして、戦士を殺そうとしたそうですよ。バトスさんに止められたらしいですけど」

「その光景が目に浮かぶなぁ。はる婆ちゃんはいなかったの?」

「はるさんは、ルルさんを大人しくさせるために、戦士を痛めつけて放逐したそうですよ。ババアと言われて怒ってたとか」

「あはは…」

 いきなりやらかしてるなぁ。

「僕は勇者も見たよ。強さはよしおさんより、少し弱いくらいかな?性格は良さそうだったよ」

「神の目使ったんですか?」

「使ってないよ。あれ使うと、フレースヴェルグの魔力が放出されるからね」

 隠密行動中は使い勝手が悪いんだよね。戦闘中は役に立つけど。

『酷ぇ言い草だ……』

 フレースヴェルグが拗ねた。まぁ、いいか。

『アルテミスとの扱いの差が激しい』

 さらに拗ねた…

「ともかく、魔法使いの方が、問題起こしそうですね」

「ころす?」

 ゆーちゃんが急に起き上がって、物騒なことを言う。

「ダメ」

「ざんねん」

 最近は良く言うことを聞いてくれるようになった。いつきさん曰く、僕にだけらしいけど。


 次の日も、勇者の行動が分からないので、とりあえずオフということにしたので、ゆーちゃんを連れてギルドに足を運んでみた。


 ギルドの中が騒がしい。また、あいつが来てるのかな?

「やっちゃう?」

 ゆーちゃんも最近大人しくしてたから、好戦的になっているな。

「まぁ、何があるか分からないから、とりあえず入ろうか」

 

 ギルドに入ると、昨日の魔法使いが、魔法を撃とうとしていた。

「ひーる」

 ゆーちゃんがひーるを使った。おそらく、魔法が暴発するやつだろう。

「ぎゃああああああ」

 ほら、爆発した。

 僕は、魔法使いの側に歩いていった。

「お前、学習能力ないのか?なんで暴れるかなー」

 魔法使いは、ピクピクしている。おい!返事しろよ。

「おこす?」

 ゆーちゃんが、優しく起こしてくれるようだ。

「ひーる」

 魔法使いは感電したようにビクッとなったあと、目を覚ました。

「て、てめぇ、昨日の無能勇者!!」

 こいつ、本当にムカつくなぁ。

「しね」

「がふぅ!?」

「………………………」

 駄目だ。死んでいる。

「すっきり」

「み、みつきさん?その魔法使いの方は?」

「死んじゃったね」

「いやいやいやいや!!!殺しちゃだめでしょ!!」

 ラビさんは焦っている。あれ?ゆーちゃんの力知らないのかな?

「ゆーちゃん」

「うん。いきかえれ」

 魔法使いが薄っすら光る。あれ?いつもより光が小さい?

「ハァッハァ。ぜーぜー」

 何故か知らないけど、苦しそうなんだけど?ゆーちゃん、何かしたのかな?

「き…貴様ら、な、なにを、し、ぜーぜー、した?」

「うっさいからひんしにした」

 ゆーちゃん、もしかして生き返るときの体調までコントロールできるようになったのか!!?

 まぁ、こいつにはいい薬かもしれない。

「どうでもいいけど、あんた、あんまりこのギルドで偉そうにするなよ?あんたよりも強い奴なんて、いくらでもいるんだよ?」

「だまれ!!魔力無しが!!魔力無しなんて奴隷と変わらんだろうが!!!!」

 ふぅ……こいつ。

「魔力無しが勇者とは情けねぇ!!!」

 しょうがないなー。

「みーちゃんにこにこしてるよ?」

「僕は怒ってるんだよ?魔力無し魔力無しって」

 僕は魔力を解放する。一瞬だけだけど。

 僕の一瞬の魔力で、冒険者たちは引き攣る。魔法使いも青褪めている。

「これでも僕が魔力無しと言うの?」

「う、うるさい!!一瞬しか魔力を確認できないなんてあるか!!この卑怯者め!!」

 あ?こ、こいつ…殺していいかな?

 僕は怒りで殺気を抑えられない。

 ギルド内の空気が重くなる。

「ダメよ!!みつきちゃん!!」

 ギルドの空気がおかしくなったところで、リリアンさんが奥の部屋から飛び出てきた。

「リリアンさん?こいつ一人殺しても問題ない?」

「問題あるからね!」

「みーちゃん。おこっちゃだめ」

「ゆーちゃん。わかったよ!!」

 僕がゆーちゃんを抱っこして、頬をすりすりしていると、リリアンさんが冷めた目で「みつきちゃん…これがよいやみちゃんの言ってたゆづき病ね…」とぼそりと言っていた。


「オーソン!!どうしたんだい!!」

 この声は勇者?昨日見た勇者か。

「カイト!!ここのギルドの連中は酷すぎる。お、俺の説得も通じない」

 説得?何を説得したんだ?

「お前がやったことは、いきなり魔法を撃とうとしただけだろうが!!」

 冒険者の一人が怒鳴った。

「え?どういうこ「黙れ!!俺達は勇者パーティだ!!逆らうことは許さん!!!」え?」

 勇者カイトは、オロオロしている。本当に困っているようだ。

「待って!!オーソン!!ボク達は争いに来たわけじゃない!」

「カイト!!仲間がコケにされてんだぞ!!?お前の仲間意識はそんなもんか!!!」

「い、いや。それは」

「待ちなさい!!」

 今度は何だ?

 ギルドの入り口付近に、きれいな髪をした女性と、屈強な戦士風の男が立っている。

 あの人達は見たことないな。もしかして、あれが聖女と戦士か?

「オーソン大丈夫ですか?ヒール」

「ありがてぇ。聖女様!!」

 オーソンが聖女と言ったところで、ギルド内がざわつく。

「リリアンさん。いつきさんが聖女ってこと、ギルドのみんなは知っていますよね?」

「え、えぇ。でも、いつきちゃん。あの性格でしょ?」

 更に、黒姫一行の聖女は回復魔法が使えない。それだけでも、負けている気がするんだけども。

「わたくしは、ソーパー王国から、魔王討伐にここまで来た勇者カイト様率いるパーティ。わたくしは、女神セリティア様の聖女として、貴女達を導きましょう!!!」

 セリティアの聖女?この人、本格的に嘘をついているんだ。勇者はどうなんだろう?

 聖女は背中を光魔法で光らせることによって、後光のように見せている?

 うわ…リリアンさんの顔が呆れ切った顔になっている。こんな顔王様には見せられないよ。

 冒険者の一部は騙されるかな?

 あれ?シーンとしている。

「なんだ!なんだ!!!この国じゃ!!聖女を特別視してねぇのか!!!流石、低レベルな国だけあるな!!」

 冒険者が笑いながら「あんたの光魔法に皆は気付いてるだけだよ」と聖女を指差した。

 光るだけなら、クレイザーにでも出来るからな。

「ば、馬鹿にして!?」

 聖女がプルプル震えだしている。

「分かりましたわ!!そこの貴女!!わたくし達と勝負なさい!!」

 冒険者全員が、絶句する。

 このギルドの者ならば、僕に喧嘩を売ることはしないだろう。

「いいよ?僕一人対お前ら三人とでやる?」

 僕は、勇者を除いた三人に睨みを利かせる。

「まてや!?なんで、カイトを除いてやがる!?カイトが怖いのか!?」

「だって、そこの勇者さんだけが、僕に喧嘩を売ってないでしょ?だからだよ」

 僕の威圧を込めた言葉に三人は言葉を失う。

「申し訳ありません!!別にボク達は争うために来たんじゃないんです!!」

「か、カイト…」

「そ、そうですわ!!今日のところは引いてあげますわ!!」

 そう言って、三人はギルドを出た。あとに残った勇者カイトが何度も頭を下げてギルドを出ていった。


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