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異国の勇者編2 魔法使いオーソン

≪みつき視点≫

 シドさんから、面倒臭そうな依頼を受けた次の日、一人で街をぶらぶらしていた。

 こういう時、趣味がないのは痛いね。暇でしょうがない。

「ギルドに行って、コーヒーでも飲みながらゆっくりしに行こうかな?」

 そう思いついた僕は、ギルドに向かった。


 ギルドに着くと、何やら騒がしい。

 アレか、また冒険者が喧嘩してんのかな?それとも見習い勇者君が調子に乗っちゃったかな?

 まぁ、いつもの事だろうと思い、ギルドに入った。


 ん?知らない人がいる。あれは魔法職かな?

 ギルドに入ると、見たことのない魔法使いの男性がいた。歳は20歳くらい?神経質そうな顔をしている。あの人が受付で怒鳴っているんだ。

 僕は受付の横に置いてある、無料コーヒーを淹れながら怒鳴っている魔法使いを見ていた。

「おい!!お前!!何を見ている!!」

 今度は誰に絡んでいるのかは知らないけど、僕には関係ないのでコーヒーを持ってソファーに向かった。

 ソファーに座ってコーヒーを飲む僕。優雅だねぇ。

「お前!!!無視するとはいい度胸じゃねぇか!!」

 うるさくなってきたなぁ。僕は再び魔法使いの方を見ると、僕を見て文句を言っているようだ。

「なに?知らない人が騒いでたら、普通は見るでしょう?でも、関係ないから無視したんだよ?」

「ふざけるな!!俺は勇者パーティの一員だぞ!!」

 勇者パーティねぇ。誰のところだろう?

「誰のパーティ?新人の子の?」

「この国のクジ引きっていう適当に選ばれた糞勇者パーティとは違うんだよ!!!」

 ん?この国の勇者の決め方がアホってことには賛成するけど、こいつもしかして……

「あんた、この国の人間じゃないの?」

「誰に口きいてやがる!!!」

 いや、だからあんたのこと知らないんだってば。

「あ、あの。勇者黒姫様は私達とは格が違います!!」

 あの子、最近、勇者になった子だったかな?一応は、クジ引きで選ぶのは中止になったけど、クジ引きを持った兵士全員が帰ってきたわけじゃないので、いまだに数か月に一人勇者の間に現れるのだ。ただし、僕と違って正式に勇者になった子達だけど。

「うるせぇ!!!」

「きゃあ!!」

 魔法使いが勇者の女の子を殴った。

 次の瞬間、魔法使いは床を舐めていた。あ、僕が蹴り飛ばしたんだよ。


「くそ!!縄を解きやがれ!!」

 冒険者達は魔法使いをロープでぐるぐる巻きにして拘束した。

 騒ぎにラビさんが駆け付けた。

「皆さん!!いったいこの騒ぎは何ですか!!あ、みつきさん」

「ラビさんこんにちわ。こいつがギルドで暴れてたの」

「えっと、貴方は何者ですか?」

「けっ!!てめぇらみたいな雑魚に名乗ってやるかよ!!」

 僕は、魔法使いの前にじゃがみこんで、魔法使いの顔面を軽くひっぱたいた。

「てめぇ!!大魔法使いの俺の顔を気やすく叩くんじゃねぇ!!」

 こいつ、口だけは達者だなぁ。

「で?お前なんなの?さっき、勇者パーティって聞いたんだけど?」

「なんで、てめぇに答えなきゃいけねぇんだよ!!」

 僕はもう一度ひっぱたいた」

「もっかい聞くよ?勇者パーティなの?」

「う、うるせぇ!!」

 こいつ、頑張るなぁ。もっかい叩いとくか?

 ん?こいつの周りの魔力が安定してきたぞ?

「お前らみてぇな弱いのは、一回痛い目を見て、反省しやがれ!!フレイムサークル!!!」

 範囲魔法か?僕はすっと立ち上がり、軽く床を魔力を流して踏み込む。

 パンッ!!

 空気が破裂したような音の後、魔法の発動が消えた。

「な!!?」

「はい。残念」

 僕もこの数か月でゼロの魔力を少しは使えるようになってきた。相手の魔法くらいは発動前に消せる。はる婆ちゃんに聞いたら、普通は出来ないと言われたけど。

 自分の魔法が発動しなかったことに驚く魔法使い。どっちにしろ、ギルド内でも魔法の使用はご法度だ。前にゆーちゃんが使ってるところを見たことがあるけど、ゆーちゃんだけは許されるのだ。


「くそ!!この建物そのものが魔法を使わせない建物として作られているのか!!!」

「僕がかき消しただけだよ?」

「嘘を吐くな!!てめぇ魔力がねぇじゃねぇか!!ゴミが!!」

 うーん。こいつムカつくなぁ。

「ラビさん。こいつボコってもいい?」

 ラビさんは、無言で………頷いた。

 よっしゃ!!僕は魔法使いの顔面を軽く蹴った。

 魔法使いは一撃で気絶した。

「こいつ、すっごい打たれ弱くない?ねぇ、そこの冒険者君、これを捨ててきて」

「え?どこに?」

「その辺でいいよ。ギルド出禁にしよう。それがいいよ」

「みつきさん。ゴミって言われたの相当頭にきたんだね」

「うん」

 僕は、凄くいい笑顔でラビさんに答えた。


≪オーソン視点≫

「うっ……」

 俺はなぜこんなところで寝ている?勇者パーティ一頭のいい俺が、なぜこんなところに?

 俺は魔法使いオーソン。ソーパー王国で選び抜かれた英雄だ。その俺が道端で寝ているだと?

「くそっ!!あの黒髪の女!!僕を誰だと思ってやがる!!」

「オーソン!!こんなところで何をしてるんだい?」

「カイト!!」

 うちの勇者様の登場だぜ。こんな甘ったれたやつが勇者とは情けないぜ。力だけはあるから逆らうことは出来んが、利用はできるからな。

「カイト、縄をほどいてくれ。この国のギルドの連中に暴行された。やっぱりこの国は野蛮な国だ。俺達が正しい道へと連れてってやらないと」

 カイトは僕に巻かれた縄を解きながら首を傾げていた。

「ボクが見た限りじゃ、良い人が多そうだったけどなぁ?」

 チッ!!下らねぇもん見てんじゃねぇよ!!てめぇは、俺達の言う事きいときゃいいんだよ!!

 とはいえ、そんなことを言ったら痛い目を見るのは俺だからな。

「俺の言葉を信用しないのか?仲間じゃないのか?」

「あ、ごめん。そういう意味じゃないんだ!!」

 全くちょろいぜ。こんな奴が勇者だなんて冗談にしてほしいぜ。

「カイト。縄を解いてくれてありがとよ!!」

 俺はギルドに再び足を運ぶ。あいつらは許しちゃおかねぇ。

「待ってくれ、オーソン!!どこに行くんだ!!」

 チッ。うるせぇなぁ。どこに行こうとこいつにゃ関係ないだろう!!ほっとけよ!!

「オーソン、今日は、宿に戻ろう。明日からの予定を考えたい。ボク達は勇者一行なんだよ?」

 ぐっ……こいつ。いや、まだこの国に来たばっかりだ。今日のところは、見逃しといてやるか……


≪みつき視点≫

「…………」

 僕は、魔法使いが捨てられているところを、しばらく観察していた。勇者を見れるかと期待をしてはいたけど、本当に見れるとは思わなかったよ。

 しかし、あれが勇者ね。確かに真面目そうだし、バトスさんには劣るけど強いのは強いね。よしおさんといい勝負かな?でも、よしおさん、また強くなったみたいだし、どうだろう?

  

「あーもー。シドさんも面倒臭い事させるなぁ」

 僕は、いつきさんの店に戻った。


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