アルテミス
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部下に?何者かもわからないのに、こんな奴の部下になんかなれるか。
よいやみの方を見ると、魔力が減少してきている。やっぱり全力を出すと体に負担がかかるんだ。
「嫌っすよ。誰がお前なんかの言うことを聞くっすか」
「私もお断りですね」
「やだ」
みんなの答えはもう決まっている。
僕次は自分の持てる闘気を全部体と聖剣に纏わせた。
「僕達の答えは、あんたと戦うだよ!!」
ゼズは、僕を見て笑った。
「魔力も持たない出来損ないが、魔力の真似事か!!愉快なものだ!!これがこの世界の勇者か!!」
ゼズは笑いながら、自身の魔力を解放させた。
凄まじい。本当にそれしか言えない。
この前会った、時の番人よりも大きい魔力を感じる。魔力の開放だけで、大気が震える。
「ティタンのようなクズと一緒にするなよ?」
僕は聖剣に限界まで闘気を流し込んだ。
『 ち う!! う い!!』
何かが聞こえた?気のせいか。僕の闘気は完全に聖剣に纏わせた。
完全に金色になる刃。僕は全力で、ゼズに斬りかかった。
「出来損ない。魔剣・聖剣の使い方を押せてやる」
ゼズは魔剣を構えた。魔力を流し込んだのか?
「出来損ないに魔力など必要ない!」
ゼズは、僕の剣劇を涼しい顔で受け流している。
「どうした?その程度か?」
いつきさんが何かの魔法を唱えた。
ゼズの動きが一瞬だけ止まる。
「空間魔法か。その程度ではな、我の動きは止めれぬわ!!!」
ゼズの斬撃がさらに速くなる。僕は防戦一方になってしまう。
「く、くそ!!」
『ちが !! り のつ ……』
うっ!!また何か聞こえた気が!?ゼズの斬撃がまた速くなった。
マズイ!!これ以上はさばききれない。僕は一歩下がった。
「それも遅ぇよ!!」
あ……!!これは避けれない!!
「くそ!!」
僕は、全速力で斬撃を回避する。
チッ、腕を軽く斬られた。でもこれく、ら……
僕の全身から力が抜ける。
「な、なんで?」
動け!!くそ!!なんで!?
「くくく。この魔剣は、相手の魂を麻痺させる効果を持つ。これでお前は何もできない」
力が入らない。
「やらせるっすか!!」
よいやみ!まだ体力が!!
「うらぁ!!」
よいやみの拳がゼズの顔面にヒットする。でもゼズは微動だにしない。
「ティタンとの戦いで力を使い果たしたようだな。残念だ」
ゼズがよいやみを殴り返し、よいやみは吹っ飛ぶ。
「じ・が・ぐらびとん!!」
「ぐっ!!重力魔法の上位か!!貴様、無限の持ち主か!!!」
動きが鈍ったゼズに、よいやみが再び殴りかかる。
「もう一度全力っす!!!!」
よいやみの体が一瞬、銀色に光る。
全力で突っ込んだ拳は、ゼズの顔面にまともに入り、ゼズは吹き飛ぶ。
「アースイーター!!!!!!」
いつきさんの魔法だ。壁に口ができゼズを喰らう。
鈍い音ともに、ゼズが噛み砕かれる。
「や、やったっすか?」
よいやみは、もう立てないようだ。
「みつき。大丈夫っすか?」
「よ、い、や、み、こ、そ」
駄目だ、うまく喋れない。
勝った。そう思っていた。いつきさんのアースイーターが粉々に吹き飛ぶまでは。
「やってくれるじゃないか。我相手にここまでできるとはな」
いつきさんは次の魔法の詠唱を終わらせていた。
「ブラックホール!!!」
ゼズの背後に黒い渦が生まれる。
「空間魔法、最強の魔法か。はぁ!!!」
ゼズが手を翳すと、黒い渦は霧のように消え去った。
「う、嘘!!?」
いつきさんも、焦っている。
くそ!!動け動け!!
『落ち着きなさい!!!みつき!!!』
え?なに?
「さてと、死んでもらおうか」
ゼズが僕の方へと、歩いてくる。
僕の前へ立ったゼズは、口角を釣り上げ、剣を振り上げた。
「じゃあな。出来損ない。死界で勇者ごっこでもしていろ!!」
あ……これは駄目だ。
ゼズに出来損ないと呼ばれた僕は、グレンさんとの特訓で言われたことを思い出していた。
「みつき、お前にも魔力が存在している筈だ」
僕には魔力はない。
昔から魔力がない事を理解しているし、今も魔力が発現するとは思ってもいない。
実際、特訓中に僕の魔力が発現することはなかった。
他にも、よいやみの全力魔力には制限があるものの上限はない事。それに比べて、僕の闘気には限界値があること。
限界値のある僕は、これ以上強くなれないと言われたようなものだ。それに比べてよいやみには限界はない。僕よりよいやみの方が、勇者にふさわしいんじゃないかな?
そんなこと考えてたっけなぁ……
ははっ。最期になに考えてるんだろう。
僕が覚悟を決めて目を閉じようとしたら、僕の前にゆーちゃんが立った。
ゆーちゃん!!!!!?
「しんしょーけっかい!!」
ゼズの剣は、神晶結界に弾かれる。
「邪魔だ!!!クソガキが!!!!」
ゼズがゆーちゃんを魔力弾で吹き飛ばす。神晶結界は、物理攻撃しか跳ね返せないのを知っているんだ。
「ゆ、う……ちゃ…」
僕は必死に聖剣を握ろうとする。
許さない。
許さない。ゆーちゃんを傷つけるやつは許さない。
ゆーちゃんやよいやみやいつきさんに手は出させない。
最期まで足掻いてやる。
僕はフラフラしながら、聖剣……アルテミスを握る。
『私の声が聞こえますか?』
僕は幻覚でも見てるんだろうか。目の前に半透明の三対の羽をもった銀髪の女の人が立っていた。
『ようやく、私の声が届きましたね』
女の人は、僕に手を翳す。
!!
体が軽くなった。
僕が急に立ち上がったことに、ゼズは驚いている。
「貴様!!!どうやって、ビフロンスの呪縛から抜け出した!!」
『みつきの体には魔力が存在しています。けれど使い方を貴女は知らない』
ゼズが斬りかかってくるが、体が勝手に反応している。
「なんだ!!貴様、出来損ないじゃないのか!!?」
ゼズに焦りの色が出てくる。ゼズ自身は僕を簡単に殺せると思ったんだろう。
僕にだって、この状況が分からない。
そういえば、ゆーちゃんは?
いつきさんがちゃんと介抱してくれているか。良かった。
ただ、ゆーちゃんもいつきさんも、僕を見て驚いている
貴女は誰なの?僕は銀色の女の人に聞いてみた。
『私は、アルテミス。でも、あなたに力を貸したいのは私だけじゃないですよ』
アルテミスがそういうと、もう一本の聖剣が勝手に召喚されてきた。
聖剣が召喚されると同時に、大きな鷲が現れた。
『俺は、フレースヴェルグ。俺の力のせいで苦しんでいた魂を、救ってくれて感謝してるぜ。俺も手を貸してやるよ』
フレースヴェルグは僕の左手に握られた。
『魔力の使い方を教えてあげますよ!!私の勇者様!!』




