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さらなる脅威

「さっきまでの威勢はどうした?まさか、今の一撃で死んでしまったか?」

「死んでないっすよ。ちょっと、ビックリしたっす」

 よいやみはどうやら無事なようだ。

 しかし、ティタンのさっきの動き。明らかに早くなっている。

「いいのか?4人一気にかかってこなくて。今度はハッタリでもなんでもないぞ?」

 ティタンは、魔力を解放させた。空気が震えている。


「だーかーらー。あしが相手って言ってるっすよ!」

 よいやみの魔力はまだ上がり続けている。

「よいやみ!どれくらいいける?」

「倒しきるくらいはいけるっすよ」

「いつきさん。あいつは魔物化してるの?」

 いつきさんは女神の目で、ティタンを鑑定してみると魔人という種族であることが判明した。

 魔人。魔族の中でも、悪意のあるものが力だけを求めて、進化したといわれている。その昔、女神セリティアが世界を混乱させた魔人を根絶やしにしたといわれているらしい。

 まさか、魔物変化症で魔人化するなんて、と言っていた。


 ティタンは魔剣を軽く振る。

 収束された斬撃がよいやみを襲う。

 よいやみはその斬撃を殴り落す。よいやみの行動に驚くティタン。

「何を驚く事があるんすか?倒せる自信があるから、戦うんすよ?そうでなかったら、生き抜くためにどんな方法でも使うのが人っすよね。その方法の中には、逃げるという事も選択肢に入るっす。まぁ、魔物には分からんだろうっすけど」

 よいやみはそういうと、ティタンの懐に潜り込んで、肘で顎を突き上げる。

「がふぅ!!」

 あれ?効くの?魔力の纏い方が弱い?

 続いて腹部を思いっきり殴った。ティタンには必要以上にダメージがいっているようだ。

「あんた、もしかした勘違いしてないっすか?」

「か、勘違いだと!?」

 よいやみは容赦なく殴り続ける。ティタンも魔剣を振るおうとするが、よいやみに邪魔をされて振ることもできない。

 暫く殴った後、少し距離を取ったよいやみ。

「お前は完全に魔物化してないから、さっきよりも防御面は落ちてるっすよ?スピードに関しては、あしが全力のスピードを出してなかっただけの話っすから」

 ティタンの顔が驚愕した表情になる。きっとティタンの中では、よいやみよりも圧倒的に強くなったと思っていたんだろう。でも、現実はよいやみの方が魔物変化症の変化を考えて、力を抑えていたと。

「勝ちたかったら、身も心も魔物になるっすよ。そうなったら容赦なく全力で壊してやるっすから」


 ティタンの動きが止まった。何を考えている?

「魔物に……貴様は、俺に魔物になれというのか?」

 

「貴様も俺を認めぬというのか!!!!!」

 ティタンの魔力がさらに大きくなった。ティタンの体をドス黒い影が覆う。

「ぐがぁああああああああああ!!!!!!」

 黒い影から出てきたものは、魔物化したティタンだった。もう二本足で立つこともなく、獣のように4本足で立ち、人の言語を話すこともなく、ただ吠えているだけ。魔剣はしっぽになっている。


「ははは。醜い魔物っすね。終わりっすね。いや、終わらせてやるっすよ」

 よいやみの体が銀色に輝く。魔力を全力で解放した状態だ。

「いく、っす、よーーーーー」

 よいやみが物凄いスピードでティタンに迫る。僕達じゃ殆ど目で追えないスピードで、ティタンを攻撃する。

 ティタンは何が起きているのかも理解できないまま、一方的に殴られ続けている。

「ぐ、げ、ご、ご、が、げ、ご!!!!」

 ティタンは反撃をしようとしているが、よいやみの攻撃が速すぎて、反撃できないようだ。

 よいやみがティタンの腹を蹴り上げたとき、ティタンの口から何かが出てきた。

 口の中からは、丸い何かが転がっていた。

 転がっているものは、宝石?いや、魔宝玉か!?ティタンは魔宝玉を飲み込んでいた!?

 魔法玉を吐き出した後のティタンは、急に反応がなくなり元の人間に戻っていった。


 魔物から、人間に戻ったティタン。だけど様子がおかしい。

「あ、あ、あ、……」

 目の焦点が合っていない。意識も混濁しているようだ。その場に座り込み、涙と涎を流しながら何かを喋ろうとしている。壊れている?

「……………」

「どうするっすか?」

 魔剣も、ティタンには反応もしなくなっている。

「このまま連れて帰りましょう。あとの裁きは、陛下がやってくれるでしょう」

 そう言って、いつきさんは拘束魔法を使おうとした、その時。


 魔剣が急に動き出した。

 魔剣はティタン胸を貫いて、いつの間にかいた男に掴み取られた。

「ご苦労。ビフロンス」

 魔剣は、静かに男の手で落ち着いている。あれが本当の持ち主か?それに男が持っている、血で染まった所々が白い色のコート。あれは……!!?

「ふん、あれほど目にかけてやったというのに、役に立たん」

「お前、何者っすか?」

「この弱い世界でも、貴様らのような少しはまともな奴らもいたとはなぁ。我の部下になる気はないか?」

 男からは敵意を感じないが、こいつは何か危険な気がする。

「何者と聞いてるっすよ!!!」

 よいやみが殴りかかる。男は、よいやみの拳を掴む。

「いい攻撃だ。我に尽くすがよい。良い思いをさせてやるぞ?」

「結構っすよ!!」

 よいやみは掴まれている手を振りほどいて、僕達のところに戻ってくる。

「しね!!」

 ゆーちゃんが即死魔法を使った。

「おいおい、初対面の我に死ねは酷いだろう?」

 即死魔法が効かない!?

 僕達の男への警戒度が一気に上がる。


「ゼ、ゼズ……なんで俺を……刺した?」

 ティタンの意識が戻った?ゼズ?ティタンの知り合いなのか?

 ゼズと呼ばれた男は、足元のティタンを蹴る。

「お前のことは、随分利用させてもらったが、もう用済みだ。魔宝玉を人に食わせるとどうなるかという、実験結果は出たからな。この実験の為に、お前の我が儘も聞いてやってたんだ」

 ゼズはティタンを何度も蹴る。

「我が儘じゃないな。無能の妄想だな。はーっはっはっはっは」

 ティタンは裏切られたショックか、騙されたショックか涙を流している。

「ふ、ふざけ、るな。ワズや……お、おれのなか…」

「うるさい、死ね」

 ゼズがティタンの胸を再度突いた。ティタンは涙を流しながら動かなくなった。

「クズはクズなりに我の言うことを聞いていればよいのだ。我が死ねと言ったら死ね」


「そのコートの持ち主は…」

 いつきさんが、ゼズに尋ねた。

「これか?時の番人のだが?俺を倒すと息巻いていたからな。所詮は口だけのやつだったが」

 ゼズは、コートを宙に投げて、炎の魔法を使ったのかコートは燃え尽きる。

 時の番人を殺した!?嘘だろ?

 いつきさんも驚いている。


「さて、返事を聞こうか?俺の部下になるかここで死ぬかを」


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