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最強の魔将 ワズ

 俺は遠視の魔宝玉で、サズとセズの動向を監視していた。

 あいつらは、力をただ力としてしか理解しておらず、いつかはティタン様のお考えに理解できるわけがなく、裏切ると思っていたからだ。

 しかし結果は、情けなくも一撃で沈み、更に捕らえられるとは情けない。

 所詮、クズはクズという事か。

「力におぼれた馬鹿どもが、まさか力で敗れるとは皮肉なもんもだな」

 ティタン様は、あいつらにも命をいくつか与えている筈だ。それを有効に使えんとはな。

 残りの魔将は俺だけだ。俺が行くしかあるまい。あいつらに比べれば、今頃は王都を襲っている筈の、フォズの方がまだ役に立つ。

 フォズに頼んで用意できたガーゴイルは、6体だけか。

 6体とは言え、伝説の魔物だ。こいつらをうまく使えば、あんな小娘どもなど敵じゃない。

 それに俺がいる。

 ティタン様に俺が出ることを、報告しておいた方がいいだろう。

 俺はティタン様のところに向かう。


 王の間の玉座にティタン様が優雅に座っている。

 座る姿も美しい。本来なら、あの国の玉座は、この方の物なのに。

「ワズよ。何かあったか?」

「ティタン様。侵入者です。この島に、憎きアロン王国の勇者が侵入したようです」

「あぁ、分かっている。セズとサズは討伐に向かったのだろう?」

「はい。すでに敗れました。あいつらは自害もせずに捕縛されました」

 ティタン様の周りの空気が少し重くなる。少し不機嫌になられたな。

 ティタン様はため息を吐いた。

「サズは、冒険者としてはミスリルまでになったが、女癖が悪くギルドを追い出されたのをわざわざ拾ってやった、セズは巨人族の生き残りという事で使ってやったというのに、いざという時は役に立たん。お前は違うだろう?勇者ワズ」

「はい。しかしティタン様。俺を勇者というのは止めていただきたい。今は魔将ワズです」

 チッ。ティタン様といえど、俺を勇者と呼ぶことは許せない。こればかりは、俺の顔が不機嫌さを出してしまう。俺は今はティタン様の部下であり、ティタン様の剣だ。

「ははは。お前は、勇者と言われるのが本当に嫌いだな。悪かったな。頼んだぞ、魔将ワズ」

「はい」

 ティタン様に気を遣わせるとは、俺もまだまだだな。早く勇者を片付けて、ティタン様の王国を取り戻すとしよう。


 俺は出陣するためにガーゴイルのもとに向かう。

「ワズ。この薬を持っていけ。いざという時は使え」

 俺に声をかけてきたのは、俺達の上司のゼズ様だ。

「ゼズ様。この薬は?」

「一時的に肉体強化する薬だ。勇者は手強いと聞くからな」

 勇者が手強いといっても、バトスほどじゃあるまい。バトスは強かったが、今の俺の方がはるかに上だ。

 しかし、ゼズ様が言っているんだ。忠告と気遣いはありがたく頂いておこう。

「ありがとうございます」

 ガーゴイルに肉体強化の薬。それに聖剣フレーズヴェルグがあれば負けることはない。


 俺は、ガーゴイルを引き連れて勇者討伐へと向かった。

 壮観だ。

 伝説の魔物が5体。俺を乗せているのを含めると6体。アロン王国と言えど、この戦力で簡単に落とせる。

 前方の平原を4人が歩いている。

「あれか。女4人か、一人は子供か」

 実際見ると本当に弱そうな連中だ。

 しかし、俺は油断はしない。仮にも勇者。尚且つフォズを倒したもの。

 ガーゴイルたちに指示を出す。

「ガーゴイル!!勇者を殺せ!!」

 ガーゴイルは、勇者めがけて降りて行った。

________________


「みつき、上に何かいるっすね」

「うん」

 よいやみに言われて、上空を見る。

 あれは…ガーゴイル?フォズが作った魔物か。

「ガーゴイル!!勇者を殺せ!!」

 宣戦布告もなしに襲ってくるとはね。まぁ、あいつらからすれば、僕達が襲ってきてる側か。


 しかし、遅いな。石でできているから仕方ないとはいえ、あれじゃ撃ち落としてくださいって言ってるようなものだよね。

 僕とよいやみは、ガーゴイルに向かって斬撃(よいやみは衝撃波)を飛ばす。

 ガーゴイルは自身の防御力を過信して避けようともしない。

 轟音とともに、ガーゴイルに直撃する。

 一匹は真っ二つに、もう一匹は粉々になる。倒したようだ、ガーゴイルは上空で塵になって消えた。

「何!?」

 ガーゴイルに乗っている奴が驚いている。

 なんで、フォズのところで戦った魔物が、僕達に通用すると思っているの?

「ほかのもじゃまー」

 ゆーちゃんが詠唱らしきものを唱えている。

「ひっろいぐらびとん」

 ゆーちゃんが唱えた魔法で、残りの三体のガーゴイルが、重力に負けて地面めがけて落ちてくる。

「アースイーター」

 いつきさんが魔法を唱えると、地面の形が魔物も口のように変化した。その口のなかにガーゴイルが吸い込まれていく。

 ガーゴイルたちは口の中で起き上がろうとするが、大地の口に噛み砕かれる。

 いつきさんも魔法をいくつか覚えたみたいだ。しかし、えげつない魔法だね。

 これでガーゴイルは、あの男が乗っているのを除いて、全部片づけたことになるね。 


「く、くそ!!ガーゴイルが簡単にやられただと!?」

 ガーゴイルに乗った男が焦り出す。男は、なにかの魔法を詠唱をし始めた。

 男の右手に、徐々に光の槍が生まれてくる。

 光の槍が完成したようだ。男は魔法を放つ。

「ホーリーランス!!」

 男が放った光の槍が、ゆーちゃんに襲いかかる。

 僕はゆーちゃんを守ろうとするが、ゆーちゃんに止められる。

「しろけっかい」

 ゆーちゃんが手を前に広げると、白い光の膜がゆーちゃんの前に現れる。

 光の槍は白い膜に激突した瞬間、粉々に砕け散った。

 白結界は、光魔法を防ぐそうだ。本来なら詠唱があるから間に合わないが、無詠唱のゆーちゃんには関係ない。

「なんだと!?ホーリーランスは光魔法の中でも上位に位置する魔法だぞ!」

 威力があろうが、上位だろうが関係ないようだ。

 ゆーちゃんは魔法具の杖に魔力を込めて打ち出す。しかも連続で。

 男はガーゴイルに細かく指示して、うまく避ける。

 むきになったゆーちゃんが、更に連射速度を上げる。

 流石に対処できなくなったのか、ガーゴイルに少しずつ当たっている。防御力が高いので、一撃で落とすことは出来ないようだが、確実にダメージは蓄積されている。

「くそ!!避けきれん!?」

 男の焦りが、さらに激しくなる。その時、男の背後に何かの影が現れた。よいやみだ。

 どうやら脚部に魔力を込めて高く飛び上がったらしい。

「ば、ばかな!?」

「いつまでも、上空にいたんじゃ遊べないっすよ。降りてくるっす!!!!!」

 そう言って、よいやみがガーゴイルを思いっきり殴り落した。


 ガーゴイルは殴られた衝撃で、凄まじい勢いのまま地面に叩きつけられた。

 激しい轟音と土煙の後現れたガーゴイルは、ほとんど原形をとどめていなかった。

 ガーゴイルが徐々に塵に変わっていき、何もなくなっていくとそこには男が立っていた。

「くそ!!なんて、でたらめな力だ!!忌々しい!!」

 男はどこかから剣を取り出し、剣を構える。

 ん?あの剣?

 聖剣のように淡く光をを放っている。

 僕は、聖剣を構えた。

 聖剣が共鳴している。

 間違いない。あれは聖剣だ。

「俺はティタン様の部下。魔将ワズ。貴様らを殺しに来た!!」

 ワズ。こいつも魔将か。でも、さっきの二人やフォズとは格が違いそうだ。

 なんで聖剣を持っているかは分からないけど、こいつは勇者じゃない。

 こいつの放つ魔力なら、簡単に倒せそうだ。

 僕が、斬りかかろうとすると、いつきさんに止められた。

 どうして?

 いつきさんが、ワズの顔をじっと見ている。

 ワズはこちらを警戒しているようだ。

 お互いに警戒していると、いつきさんが前に出て、ワズにこう言った。

「まさかと思いますけど、あなたは十五年前に失踪した勇者ワイトですね」…と。

 

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