ティタン討伐へ
「アリ姉はティタンの居場所を知っているの?」
アリ姉が知らないとなると、一度アロン王国に戻らなくちゃいけなくなるかな?
「ゼクス~。地図はある~?」
アリ姉がそう言うと、テーブルの上に地図を広げてくれた。
アリ姉は、一つの島に指をさし「この島を支配してるみたいよ~」と教えてくれた。
魔大陸から結構離れていて、アロン王国には案外近いと来たか。攻め込むことを考えていたのだから、近くに陣取るのは、当然と言えば当然か。
「この島なら、王都から向かった方が近いかもしれませんね」
僕といつきさんが進行ルートを確認していると、アリ姉が「ワタシが送ってあげるよ」と転移魔法を唱えた。
目節い光とともに送られた先は、薄汚い空気をした場所だった。
「ここですか。ゲスが好みそうな空気ですね」
「死臭ってのが漂ってるっす」
僕達は島を探索するため歩き出す。
「魔物の気配すらないね。ここもフォズが作った魔物が襲ってくるのかな?」
「みつき見るっす」
よいやみが指さした先には、大量のヘルハウンドがいた。
「こっちをみてるね」
ゆーちゃんがヘルハウンドの群れに手を向けると魔法を発動させた。
「だんぜつけっかい」
断絶結界。ゆーちゃんの話では結界魔法唯一の攻撃魔法で、相手の体の一部を異空間に引きずり込む結界魔法だそうだ。なぜ結界魔法なのかはよく分からないそうだ。
今ので、ほとんどのヘルハウンドが塵になった。
残ったヘルハウンドが僕達を襲いに来た。
僕は聖剣を取り出す。同時によいやみも魔力を纏う。
ヘルハウンドくらいでは、準備運動にもなりやしない。
「やはり魔物は、戦利品も出さない、お金にならない魔物ですね」
いつきさんが少し残念そうに言う。ティタンを捕らえれば、報奨金も出るだろうし、アリ姉からの報酬もあると言っていたし、そんなに悲観することないんじゃないかな?
暫く歩いていると、遠くの方に城が見える。
「みつきさん、めんどくさいので聖剣であの城吹き飛ばしてくださいよ」
いつきさんもなかなか無茶を言う。
「流石に距離があるから、ちょっと届かないよ」
「そういう問題なんすか?」
よいやみが呆れた顔で僕を見る。いやいや、よいやみだって出来るでしょ?
僕達が、昼休憩にしようかと考えていると、前方に魔法陣が浮かび上がってきた。
「転移魔法ですね」
魔法陣からは、緑髪の顔の整った青年が現れた。僕達に殺気を向けている。
「敵っすかね?」
「敵でしょう」
青年は、僕達にサーベルを向けてきた。
敵だね。
「ミーは、ティタン様の魔将サズ!!いざ尋常に勝負!!」
そう言って、こちらに向かって踏み込んでき…って、次の瞬間には、よいやみの拳がサズの顔面にめり込んでいた。
吹っ飛ぶサズ。何度もバウンドして、地面を転がる。
よいやみは追撃を加えるためにサズに近づく。
「?」
よいやみはサズに近づいたが、何もしようとしない。
どうしたんだろう?
よいやみは寝転がっている、寝転がっているサズの腹部を蹴った。
「ぐげぇ!!」
うめき声をあげたあとは、ピクリとも動かない。
こっちに向かって、手を横に振っている。
「こいつ、めちゃくちゃ弱いっすよ?」
僕達は、サズを拘束して目を覚ますまで待った。
暫くすると、サズの意識が戻ったので、尋問という名の拷問を開始した。
「ひーる」
ゆーちゃんのひーるにより、サズは全身の痛覚が十倍になったそうだ。
あ、先に確認しておかないと。
「あんたは、いくつも命を持っているの?」
フォズは、ティタンから命を貰ったと言っていたので、こいつもそうなのかと思ったのだ。
「な、何故それを!?」
はい、思った通り。
それを知ったよいやみが、サズの顎を蹴り上げた。
よいやみの顔は怒りに染まっている。
「この島に来たときに、死臭が凄かったっす。お前らが、この島の住民を殺して命を奪ったんすよね?」
サズは怯えている。痛覚が十倍にになっているので、今の蹴りだけでも、気を失う寸前なんだろう。
「おら、起きるっすよ」
よいやみがサズを小突く。サズにとっては全力で殴られているのと変わらないだろう。
「ティタンの居場所は、あの城で間違いないっすか?」
よいやみがサズを苛めるように尋問としていると、地面が激しく揺れ始めた。
前方の地面が、盛り上がる。
盛り上がった地面は、僕達の三倍くらいまで大きくなり人の形を作り出していく。
ゴーレムだな。
僕はゴーレムに向かって走り出す。
牽制のつもりで聖剣を薙ぎ払ったら、ゴーレムは吹き飛んでしまった。
「あ、れ?」
いやいや、あんなの撫でるくらいに斬っただけだよ?
ゴーレムを倒した後も、地鳴りが止まない。
僕の周りに十数体のゴーレムが出現する。
ゴーレムの先に、巨人族が立っていた。
巨人族は、ゴーレムと大きさの変わらない一族で、亜人に分類されている。
「ぐあははは!!!絶望しただろう!!!最初のゴーレムを何とか倒したようだが、そいつは引き金でしかない!!本命はその15体のゴーレムだ!!」
僕が闘気を纏わせた剣で、周りのゴーレムを吹き飛ばすと、巨人族の顔が青褪めた。
「え?なに?」
僕が巨人族に話しかけても、反応がない。
「ねぇ。あんたは結局誰なの?」
反応がない。
「みつきー。腹を殴ってやれば、正気に戻るんじゃないっすか」
よいやみ、ナイスなアドバイスだ。
僕は巨人族の傍まで歩いていく、まだ反応がない。
巨人族なので、それなりに強く殴らないと反応してくれないだろうと思い、思いっきり殴った。
「ぐぼぉ!!!!!」
殴られた巨人族は腹部を抑えたまま蹲り、失神していた。
「みつき!何してるんすか!!もう少し優しく殴ってやらんとダメっすよ!!」
えー!?巨人族相手に優しく殴るって、そんなこと出来るわけないじゃないか。
「ともかくです。この、巨人は重要人物なんですかね?」
よいやみが青年の髪を掴んで、巨人族を見せる。
「おい!!あいつは知り合いっすか?」
「あ、が、が、う」
「何とか喋るっす!」
サズは、呂律が回らないのか、まともに喋れそうにない。
「チッ!!使えないっすね」
よいやみはサズの顔面を地面にたたきつける。
今の一撃で、サズも失神した。
「あれですね。第三者から見るとどっちが悪人なんですかね?」
いつきさんに悪人扱いされた。失礼な!!
「いつきー。こいつを拘束するっすから、拘束魔法かけてくれっす!!」
「分かりました」
あ、こっちの巨人族にも拘束魔法かけてもらわないと。
巨人族の方を見ると、よろめきながら立とうとしている。
僕はよいやみに「ほら!!優しく殴ったから、もう復活してるよ!!」と笑顔で言ったら、苦笑いをされた。なんでだ?
「き、貴様ら。な、なに、も、のだ?……さ、サズ!!!!!!!?」
やっぱり、こいつら知り合いだったか。
「魔将ともあろう者が、こんな女子供にやられるとは情けない!!!!」
いや、お前も一撃で失神していただろうが。
「俺は巨人のセズ!!ティタン様の魔将の一人だ!!!」
ほぅ、魔将だったのか。ならこいつも捕縛しないと。
「みーちゃん、ちょっとうしろにさがって」
ゆーちゃんがそういうので、ゆーちゃんの横に移動した。
「みつき、ちょっと下がるだけでいいと言われたっすよ?」
「ん?なに?」
「何でもないっす」
よいやみは呆れた顔をしていりる。失礼な。
セズは、僕が急にいなくなったので、キョロキョロしている。
あ、こっちに気付いた。でも、もう遅いよ。
「ぷちぐらびとん」
ゆーちゃんが魔法を唱えると、セズが地面に沈んだ。いや、つぶれているのか?
重力魔法は便利だな。ああやって相手を沈めて、完全に行動不能にすることもできる。
「みつきさん。ゆづきちゃんの使う魔法一つ一つが、常人には使えないような魔力を消費してるんですよ。あれを使えるのは、ゆづきちゃんのように枯渇しない魔力を、持つものだけです」
そいうなのか。流石は、無限の魔力の持ち主ってことか。流石はゆーちゃん!!
「ゆっきー病…」
よいやみが憐れんだ目で見てくる。
「ゆーちゃん、セズに近づいても大丈夫かな?」
「うん。いまなら、あいついがいにはじゅうりょくえいきょうでないはず」
僕はセズの近くまで行く。
若干、動きにくいが、まぁ動けるくらいだ。
「ねぇ、ティタンの事教えてくれないかな?あの城にいるのは、間違いないの?」
セズは、地面に押し付けられながら、僕の方を見る。
「だ、黙れ化け物どもめ!!ティタン様の崇高なお考えも理解しないカスが!!」
こいつムカつくな。
僕はセズの頭を踏む。重力が加算されて、セズが苦しむ。
なるほど、この重さが、重力魔法の効果か。僕の体重が重くなったみたいで嫌だな。
「ぐががががががが」
セズが無理やり立とうとする。
やるなぁ。こいつも、やっぱり命がいくつかあるのかな?
「いつきさん!こいつら捕縛した後、どうするの?」
いつきさんは少し考えて「ちょっと王都の拷問官のところに行ってきます」と言って、転移魔法で消えた。
僕は、セズの腹部にもう一撃加えて、完全に気絶させた。
「みつき。いつきがいないのに気絶させてどうするんすか?」
「ん?ゆーちゃんがいるじゃない」
「ひーる」
流石ゆーちゃん、僕の言いたいことが分かってるね。
ひーるをかけられたセズは、もがき苦しんでいる。どういう効果なんだろう?
「あくむをみてるみたい」
なるほど。その後は、目を覚ますたびに、蹴りを入れて気絶させるのを繰り返した。
「お待たせしました。王都の拷問部屋に、ルルさんの結界魔法をかけてもらいました。そこに転移させます」
いつきさんは、二人を拷問部屋に転送させた。サズは気絶しているし、セズはもがき苦しんでいる。無効にはバトスさんもいるから問題ないだろう。
「そういえば、王都がフォズに襲われたそうですよ。バトスさんが軽く蹴散らせたそうですが」
ちょっと前までなら焦っただろうけど、今のバトスさんなら王都の守護は簡単だろう。しかし、フォズのやつどうやって逃げたのかな?
それも気になるけど、今はティタンの討伐だ。
僕達は、城に向かって歩き始めた。




